【93点】オメガ/シーマスター プラネットオーシャン マスター クロノメーター

FEATUREスペックテスト
2017.08.24

 オメガのポートフォリオにおけるシーマスター プラネットオーシャン マスター クロノメーターの立ち位置は、ダイビングスポットに例えるならセイシェル諸島に相当するだろう。サメやマンタなど、魅力的な大型魚が生息するこの海域は、潮流が激しいことから、経験者向きのダイビングスポットとして知られている。こうした場所でのダイビングには、600mの高い防水性とヘリウムエスケープバルブを備え、ダイバーズウォッチとして十二分のスペックを提供するシーマスター プラネットオーシャンほど携行するのにふさわしい時計はない。さまざまな装備品を必要とする大深度への潜水時には、防水性1200mを備えた、よりプロフェッショナル仕様のシーマスター プロプロフが推奨される。一方、シュノーケリングや海岸での水泳には、価格的にも手に入れやすいエントリーモデル、シーマスター ダイバー 300が向いている。また、美しいレトロルックのシーマスター 300はダイビングに適していることは言うに及ばず、ウェットスーツよりもリゾート服によく似合うことから、地中海で過ごす際には完璧な伴侶となってくれるだろう。

 2016年、オメガは2005年に導入したコレクション、シーマスター プラネットオーシャンに手を加えた。ケースはダウンサイジングされ、最新のムーブメントが搭載。さらに、色使いも刷新された。今回のテストウォッチは、生まれ変わったラインの中で最もカラフルなモデルである。とりわけ、ダイバーベゼルの15分までを彩るオレンジのラバー、文字盤に配されたオレンジ色の数字、そして、オレンジ色のステッチの入ったオレンジとブラックのラバーストラップは目に鮮やかである。このモデルのほか、同コレクションには、ブルーやオレンジの控えめなアクセントを備えたグレーのモデルも用意されている。

きらめく外観

 この時計には、実物の方が写真よりもずっと美しく見える要素がある。ポリッシュ仕上げのセラミックス製文字盤と、同じくポリッシュ仕上げのセラミックス製ベゼルである。これらはまるで、低い位置にある太陽の光が海面に反射する時のように強いきらめきを放つ。また、アプライドインデックス、針、そして、ポリッシュ仕上げを施したケースの面も輝きが美しい。色使いとの相乗効果もあってか、ツールウォッチのような印象は薄く、ダイバーズウォッチのデザインを備えながらも、浜辺でカクテルを飲む時に身に着けたくなるようなエレガントな時計に生まれ変わった。

 にもかかわらず、輝きを放つこれらの要素によって視認性が阻害されるわけではない。日中は時刻を素早く認識することができ、夜間は月や星の光に負けじと明るく輝く。暗所では潜水時間を表示する要素、つまり、分針と回転ベゼルの12時位置のドットは緑色で、それ以外の表示要素は青い光を放つ。

 扱いやすい刻み付きのベゼルは回す時の抵抗感が心地よく、手袋をしたまま操作できるのでダイバーにとって使い勝手が良い。また、逆回転防止ベゼルのため、設定した潜水時間が不用意にずれてしまう危険もない。

 ヘリウムエスケープバルブがねじ込み式リュウズの仕様になっているのはオメガの特徴である。ヘリウムエスケープバルブを実際に必要とするのは、基本的に職業ダイバーのみである。彼らは、大深度の水中で作業するため、ヘリウムと酸素の混合気で満たされた減圧タンク内で活動する。この環境下では、ヘリウムエスケープバルブがなければケース内に浸透したガスが外に逃げきれず、風防が破損してしまう恐れがある。