【オープンワーク仕様の腕時計】ヴィンテージで仕上げる夏時計の流儀

2025.07.21

今、ヴィンテージが新鮮だ。過去の空気感を醸し出す古着は、僕らにとって〝選ばれた自由〟であり、サステナブルな価値観や自己表現の手段として、存在感を放っている。そしてこの夏に合わせたいのは、最先端の「夏時計」。軽やかで機能的でありながら、どこかノスタルジーを漂わせるコーディネートが、手元に深みと抑揚をもたらす。時代を超えて共鳴する〝今と昔〟。そのミックス感覚がお洒落なのだ。スタイルを、時間を、自分らしくまとう。6つのカテゴリーに分けて最高の組み合わせを提案する。

清水将之(人物/mili)、鈴木泰之(静物):写真
菊池陽之介:スタイリング
松本和也(W):ヘア&メイク
平井智正(BE NATURAL):モデル
安部 毅:編集・文
※価格はすべて消費税を含んだ税込み価格です。


オープンワーク仕様で“構造をまとう”感覚を楽しむ

シャツ/6490円。(問)古着屋JAM 原宿店 Tel.03-6427-3961。パンツ/5390円。(問)SLAT Tel.03-5913-8470

 モーリス・ラクロアの「アイコン オートマティック スケルトン」と軽やかなキューバシャツが生む透明感が、構造美と涼感の絶妙なバランスを描く。見どころは、文字盤越しにのぞくスケルトン仕様のムーブメント。セリタと共同開発したCal.ML135が規則正しく動き続ける様は、まさに“構造をまとう”感覚。都市建築から着想を得たデザインは精密さと開放感を両立し、スタイルとのなじみも抜群。透ける腕時計と通気する服。その関係が、夏の手元をセンス良く仕上げる。


オープンワーク × リゾートシャツ

モーリス・ラクロア「アイコン オートマティック スケルトン」

モーリス・ラクロア「アイコン オートマティック スケルトン」
建築構造に着想を得たスケルトン設計は、光を透過させながらムーブメントの動きを視覚化。搭載するCal.ML135はセリタとの共同開発によるもの。精度と仕上げ・装着性のバランスが取れた都会的な1本となっている。自動巻き(Cal.ML135)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(直径39mm、厚さ11mm)。20気圧防水。58万6300円。(問)DKSHマーケットエクスパンションサービスジャパン cg.csc1@dksh.com

 時計が〝見せる〟ことを選んだとき、そこには精緻さと開放の二面性が宿る。内部構造を露出させたスケルトンやオープンワークのデザインは、時計製造技術の証明であり、創造性の賜物でもある。そして今では、都会的な抜け感と構造美の象徴となった。モーリス・ラクロアの「アイコン オートマティック スケルトン」は、その進化を体現する。建築から着想を得た交差ブリッジやメタリックな光沢、風を通すような透け感──精度と余白を可視化し、スタイルに緊張感を与える。都市の光を反射しながら視線を集める。

ベル&ロス「BR-03 スケルトン ブラック セラミック」

ベル&ロス「BR-03 スケルトン ブラック セラミック」
航空計器に着想を得たデザインに、スケルトン仕様のムーブメントを組み合わせた機能美が映えるモデル。耐傷性・耐熱性に優れるブラックセラミックケースは軽量かつ堅牢で、視認性と実用性も高水準。スクエア型フォルムが手元に個性と現代性を添える。自動巻き(BR-CAL.328)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。セラミックケース(幅41mm、厚さ10.6mm)。100m防水。94万6000円。(問)ベル&ロス 銀座ブティック Tel.03-6264-3989
オリエントスター「M34 アバンギャルド F8 スケルトン」

オリエントスター「M34 アバンギャルド F8 スケルトン」
2層構造のスケルトンダイアルからのぞく精緻な機構に、無垢のSSケースが硬質な輝きを添える。約60時間駆動の自社開発Cal.F8F64は、特許取得のシリコン製ガンギ車を搭載し、高精度と耐久性を両立。積層的な造形と技術が呼応しながら、先鋭的な個性を鮮やかに映し出す。自動巻き(Cal.F8F64)。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径42.3mm、厚さ12.4mm)。10気圧防水。限定300本。29万7000円。(問)オリエントお客様相談室 Tel.042-847-3380

 そんな時計に呼応するのが、風に揺れるリゾートシャツ。まずは、ブランド名や年代は不明ながら、上質なリネンを用いたキューバシャツ(写真1)。ややルーズなシルエットと4ポケット構造が装いに軽快さをもたらす。次に紹介するのは、1990年代のハバネラ製ツートンカラーシャツ(写真2)。ブランド名はキューバの首都ハバナに由来し、その名の通りどこかラテンの空気感を漂わせる。シンプルな配色ながらも、コントラストの効いたツートーンが、着こなしに程よいリズムを与えてくれる。最後は90年代のハバンドのキューバシャツ(写真3)。涼やかな質感と素朴な佇まいが魅力の1枚だ。

 透ける時計と、風と戯れるシャツ。その重ね合わせが生み出すのは、光と影が織りなす、奥行きと透明感のある軽やかなレイヤー感だ。オープンワークという構造美が、夏の装いに涼やかで洗練された緊張感を与えてくれる。

1_シャツ/1万2800円。(問)Gleeful HARAJUKU Tel.03-6427-6039。 2_シャツ/6490円。(問)古着屋JAM 原宿店 Tel.03-6427-3961。 3_シャツ/6490円。(問)古着屋JAM 原宿店 Tel.03-6427-3961P


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