今、ヴィンテージが新鮮だ。過去の空気感を醸し出す古着は、僕らにとって〝選ばれた自由〟であり、サステナブルな価値観や自己表現の手段として、存在感を放っている。そしてこの夏に合わせたいのは、最先端の「夏時計」。軽やかで機能的でありながら、どこかノスタルジーを漂わせるコーディネートが、手元に深みと抑揚をもたらす。時代を超えて共鳴する〝今と昔〟。そのミックス感覚がお洒落なのだ。スタイルを、時間を、自分らしくまとう。6つのカテゴリーに分けて最高の組み合わせを提案する。
菊池陽之介:スタイリング
松本和也(W):ヘア&メイク
平井智正(BE NATURAL):モデル
安部 毅:編集・文
※価格はすべて消費税を含んだ税込み価格です。
迫力の大径ケースが与える、意外な軽さと信頼感

1960年代のファティーグジャケットを羽織った無骨なデニムスタイルに合わせたのは、チューダーの「ペラゴス ウルトラ」。1000m防水というスペックに圧倒されるが、手に取れば意外な軽さに驚く。素材はグレード2チタン。軽量なため、真夏でも装着ストレスはなし。METAS認定マスター クロノメーターの高精度&高耐磁性に加え、視認性の高いダイアルや調整自在なブレスレット機構も備える。見た目はタフ、着け心地は軽快、そのギャップが魅力だ。
軽量マテリアル × ミリタリーミックス

1000m防水、特許取得のブレスレット調整機構、METAS認定の自社ムーブメントを搭載。外装は耐食性の高いチタン製で、深海環境にも耐える設計。厚みのある本体に反して装着感は快適のひと言。日常にもなじむ洗練を備えたプロフェッショナルツール。自動巻き(Cal.MT5612-U)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。Tiケース(直径43mm、厚さ14.5mm)。1000m防水。87万3400円。(問)日本ロレックス/チューダー Tel.0120-929-570
ミリタリーデザインの力強さと現代技術が交差する今、時計はタフさと快適性を両立しはじめている。チューダーの「ペラゴス ウルトラ」はまさにその好例。43mm径の大ぶりなケースは、グレード2チタンによる高耐食性と軽量性を備え、METAS認定マスター クロノメーターの高精度も魅力。そして1000m防水という高スペックとは裏腹に、装着感は驚くほど軽やか。調整可能なブレスレットや厚みのある外装も相まって、道具としての信頼感は揺るがない。強さと軽さが共存するその姿は、街にも野にもよくなじむ。

軽量で耐傷性に優れ、肌なじみの良いハイテクセラミックケース&ブレスレットが、快適な装着感を実現。自動巻きクロノグラフ、夜光針、300m防水と高機能を備えつつ、深みのあるダークグリーンが造形美を引き立てる。自動巻き(Cal.R801)。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。プラズマハイテクセラミックケース(直径43mm、厚さ16.2mm)。300m防水。91万7400円。(問)ラドー/スウォッチ グループ ジャパン Tel.03-6254-7330

藍染めの土佐和紙を文字盤に用い、日本の感性を写し取ったデザインが際立つ。ケースにはスーパーチタニウムを採用し、軽さと耐久性を実現する。年差±5秒という高精度エコ・ドライブを内に秘め、詩情と技術が一体となった、現代日本の美意識を静かに物語る1本だ。光発電エコ・ドライブ(Cal.A060)。フル充電時約1.5年稼動。スーパーチタニウムケース(直径38.3mm、厚さ12.2mm)。10気圧防水。42万9000円。(問)シチズンお客様時計相談室 Tel.0120-78-4807
そんな先進的な時計と好相性なのが、実用の中で磨かれてきたミリタリーヴィンテージのアイテムだ。まずは、1960年代にアメリカ陸軍に採用されていたサードタイプのジャングルファティーグジャケット(写真1)。時を経て褪色したグリーンと柔らかなシワ感が、無骨なシルエットに味わいを添える。
次に、イギリス海軍=ロイヤルネイビーのコンバットトラウザーズ(写真2)。斜めポケット仕様の後期型で、実用性とスタイルの双方に優れる。最後は、1902年に北極探検家ベン・ウィリスにより創設されたウィリス&ガイガーのオーストラリアンブッシュジャケット(写真3)。背面のアクションプリーツや曲線的なフラップポケットが特徴で、そこには確かな機能性が息づく。
軽さがもたらす自由と、ミリタリーの骨太さ。その対比が織りなす装いは、夏の光を受けていっそう研ぎ澄まされていく。