【ネオヴィンテージウォッチ】ヴィンテージで仕上げる夏時計の流儀

2025.07.24

今、ヴィンテージが新鮮だ。過去の空気感を醸し出す古着は、僕らにとって〝選ばれた自由〟であり、サステナブルな価値観や自己表現の手段として、存在感を放っている。そしてこの夏に合わせたいのは、最先端の「夏時計」。軽やかで機能的でありながら、どこかノスタルジーを漂わせるコーディネートが、手元に深みと抑揚をもたらす。時代を超えて共鳴する〝今と昔〟。そのミックス感覚がお洒落なのだ。スタイルを、時間を、自分らしくまとう。6つのカテゴリーに分けて最高の組み合わせを提案する。

清水将之(人物/mili)、鈴木泰之(静物):写真
菊池陽之介:スタイリング
松本和也(W):ヘア&メイク
平井智正(BE NATURAL):モデル
安部 毅:編集・文
※価格はすべて消費税を含んだ税込み価格です。


印象的なパープルが、洒落感と地味の品をつなぐ

シャツ/7590円、ネクタイ/4290円。(問)古着屋JAM 原宿店 Tel.03-6427-3961。パンツ/1万800円、膝にかけたジャケット/2万5000円。(問)Gleeful HARAJUKU Tel.03-6427-6039

 着込んだパンツと、くったりしたシャツ&ニット。そんな装いの中で、時計のパープルが静かに映える。キングセイコーのバナック SDKV001は、1970年代の名作を現代に継ぐモデル。立体的なケースとインデックス、鏡面とヘアラインの対比が、穏やかな着こなしの中に凛とした緊張感を宿す。ムーブメントは約72時間パワーリザーブを備える新開発のCal.8L45。東京の地平線をイメージしたというデザインコンセプトの通り、スタイルに広がりをもたらす1本だ。


ネオヴィンテージ × グランパコア

キングセイコー「バナック SDKV001」

キングセイコー「バナック SDKV001」
立体的なケース構成と、夕暮れ時の東京の情景を映すパープルダイアルに際立つインデックスリングが、1970年代らしい力強さを印象づける。“Tokyo Horizon”を体現する水平ラインは、都市のスカイラインに着想を得た造形として全体に一貫性をもたらす。自動巻き(Cal.8L45)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径41mm、厚さ14.3mm)。10気圧防水。39万6000円。(問)セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012

 ネオヴィンテージという美意識は、過去への回帰ではなく、再構築の意思である。キングセイコーが手掛ける「バナック SDKV001」は、そんな精神性を語る1本だ。1970年代の「バナック」から着想を得て、東京の夕暮れを思わせるパープルダイアルを採用し、光の角度で豊かな表情を見せる。インデックスやケースの立体構成、鏡面とヘアラインの仕上げがつくる陰影も、佇まいに凛とした緊張感を与える。実用性も申し分なく、過去の美しさと今の機能性が見事に調和する。

ブライトリング「トップタイム B31」

ブライトリング「トップタイム B31」
1960年代に誕生した「トップタイム」の自由な精神を現代技術で再構築。自社製3針ムーブメント、Cal.B31を搭載し、38mm径のスリムケースに高精度を宿す。往時を彷彿させる配色のダイアルとSSブレスレットが調和し、クラシックとモダンが巧みに融合する。自動巻き(Cal.B31)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約78時間。SSケース(直径38mm、厚さ10.3mm)。100m防水。86万9000円。(問)ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707
ジラール・ペルゴ「ディープ ダイバー」

ジラール・ペルゴ「ディープ ダイバー」
1970年代の名作を、英国のバンフォード ウォッチデパートメントとの共創により現代的に再解釈。軽量なチタン製クッションケースに十四角ベゼルやオレンジ×ブルーの配色が際立つ。最新の自社製ムーブメントを搭載し、伝統と革新が共鳴するモデル。自動巻き(Cal.GP03300-2339)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。Tiケース(縦40.3×横38mm、厚さ13.91mm)。200m防水。世界限定350本。213万4000円。(問)ソーウインド ジャパン Tel.03-5211-1791

 そんな時計になじむのが、注目を集める〝グランパコア〞のスタイルだ。「グランパ(祖父)」+「コア(核)」を語源とし、年配男性が好んで着るようなクラシックな服を、あえて今風に着こなすムーブメントを指す。

 まず紹介したいのは、90~2000年代に作られた2タック入りのトラウザー(写真1)。穏やかなチョコレートブラウンの色味と、立体感を生むタック構造が特徴で、落ち着きの中に深みがある。次に、1990年代のチャップスによるアーガイル柄のニットベスト(写真2)。伝統的なモチーフを鮮やかな配色で仕上げ、温もりとさりげない遊び心を添える。最後は、90~2000年代のバスケットチェック柄カーディガン(写真3)。グレーベースの控えめな色調とニットの柔らかさが、大人の余白を感じさせる1着だ。

 クラシックな気配をまといながらも、どこか新しい。それが、ネオヴィンテージとグランパコアの交差が生み出す魅力だ。

1_パンツ/3190円。(問)Albatross Tel.03-3314-5030。 2_ベスト/4290円。(問)古着屋JAM 原宿店 Tel.03-6427-3961。 3_カーディガン/5390円。(問)Albatross 2nd Tel.03-6383-2945


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