2026年新作「モナーク」を深堀り! レトロながら手の込んだ外装がチューダーの最先端を表す

2026.04.21

スイス・ジュネーブで開催された時計の新作見本市ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2026にて、チューダーは「モナーク」を発表した。本作は「ブラックベイ」に代表される、実用的なツールウォッチの作り手として知られる同ブランドの研鑽の歴史が結実した、そして一方で新境地とも言える1本である。

2026年 チューダーの新作時計を一挙紹介!

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鶴岡智恵子(クロノス日本版):写真・文
Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2026年4月21日公開記事]


チューダーから「モナーク」が登場!

 4月14〜20日まで、スイスのジュネーブで開催されたウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2026。例年この時計業界の新作見本市に出展し、豊富な新作モデルを発表するのがチューダーだ。今年も豊作であった中、新コレクションも誕生させた。「モナーク」だ。

チューダー「モナーク」Ref.2639W1A0U-0001

チューダー「モナーク」Ref.2639W1A0U-0001
自動巻き(Cal.MT5662-2U)。32石。パワーリザーブ約65時間。SSケース(直径39mm、厚さ11.9mm)。100m防水。81万6200円(税込み)。

 モナークは、1世紀にわたるチューダーの遺産をその名に冠した腕時計なのだという。もっとも、この名前のコレクション自体の初出は1990年代で、筆者はその実物を見たことはないが、今回発表されたモデルの意匠とは異なるものだ。では、「遺産を名前に冠する」とは、どういう意味か? チューダーはモナークに1世紀にわたる時計製造のノウハウを注ぎ込んだとも語っており、英語で「君主」を意味するmonarchが与えられた本作は、同ブランドのこれまでの歴史の集大成であるのだ。本作の外装およびムーブメントの出来栄えは畢生のものがあり、チューダーの時計製造の、研鑽の歴史の結実を感じさせる。

レトロだけど最先端“ラグスポ”だと言いたい

チューダー「モナーク」

パピルストーンとチューダーが名付けた文字盤は、古代エジプトをはじめとした古典の世界で用いられた、植物由来の記録素材のような、赤みのあるベージュの色合いだ。エイジングをも彷彿とさせており、縦ラインのサテンと相まって、レトロ調にまとめられている。サファイアクリスタル製風防もドーム型で、超レトロ!

 モナークの意匠の特徴をひと言で表すなら、「レトロ」だ。チューダーがパピルストーンと呼ぶ、サーモンカラーのような色合いの文字盤はレトロで、縦ラインのサテン仕上げがそのテイストを強調する。また、ローマ数字とアラビア数字が並ぶアプライドのインデックスはプラックカラー(エッジがしっかり立っているので、おそらくPVDコーティング。問い合わせておきます)で、パピルストーンの色合いとマッチする。

 なぜローマ数字とアラビア数字が併用されているのかと言うと、エラープルーフ化のため。ローマ数字だと判読を誤りやすい4(IV)、5(V)、7(VII)、8(VIII)をアラビア数字とすることで、ヒューマンエラーを防止している。往年のロレックスでいうところの「ユニークダイアル」だ。フォントがエキゾチックな印象をもたらすことも、特筆すべき点だ。

チューダー「モナーク」

「ユニークダイアル」「カリフォルニアダイアル」など、他ブランドではいくつかの呼び方のあるローマ数字とアラビア数字インデックスの組み合わせ。チューダーは“エラープルーフダイアル”とそのまま呼んでおり、分かりやすくて良い。

 このようにレトロな文字盤であることに加えて、薄い仕立てのケースとブレスレットがドレッシーさも感じさせる。一方でこのケース・ブレスレットが非常に凝った作りをしており、ここにチューダーの技術力、そして“うまさ”が見て取れる。

チューダー「モナーク」

ケース直径39mm、厚さ11.9mmと、「ブラックベイ」と比べると小径薄型。ドレッシーな印象を持ちつつ、ドレスウォッチほどの薄い仕立てではない。なお、筆者はリュウズの薄さもドレッシーさを感じさせる理由のひとつだと思っており、小誌およびwebChronosライターであり、最近時計ブランド「Tertium Quid(ターシャム・クイッド)」を山科拓氏とともに立ち上げた堀内俊氏にそのことを話した。すると堀内氏は「1930〜40年代の手巻きに寄せてますね」と。Tertium Quidの時計とも共通するという。なるほど……(参考:https://tertiumquidwatch.com/)。

 チューダーの人気コレクション「ブラックベイ」は丸みを帯びたケース・ブレスレットを有しているが、モナークはファセットが多用され、エッジの立った意匠となっている(むろんチューダークラスであるがゆえ、エッジが立っているとはいえ手に当たって痛いなどということはない。ご安心を)。しかもファセットはポリッシュとサテン仕上げがコンビネーションされており、分かりやすい高級感につながっている。ちなみにこういった複雑な形状に仕上げを与えるというのは難易度が高い。チューダーによると、通常モデルに比べてポリッシュに倍の時間がかけられているという。

チューダー「モナーク」

ブレスレットも薄い仕立て。ステンレススティール製ながら、ヘッドは思いの外軽いので、バランスが良い。実用時計の作り手として巧みで、さすがチューダー!

 ケース以上に凝った作りで驚かされたのがブレスレットだ。薄い仕立てとなったブレスレットは滑らかで、この部分にもポリッシュとサテンの仕上げ分けがなされている。しかも、コマとコマのつなぎ目はピン式ではなくねじ止め式だ。

 高級スポーツウォッチの文法にのっとった本作、チューダーは決して標榜していないものの、筆者は新しい形のラグジュアリースポーツウォッチだと強く感じた。“ラグスポ”と言うと、パテック フィリップ「ノーチラス」やオーデマ ピゲ「ロイヤルオーク」等に代表される、ケースとブレスレットが一体型となった薄い外装を指す場合が多い。本作はケースとブレスレットが一体型にこそなっていないものの、ドレスウォッチのテイストすら感じさせる薄型の外装に高級時計たりえる仕上げ、そして質感の良い文字盤を備えており、かつ100m防水、後述するが超耐磁性能というスペックが、ラグジュアリーなスポーツウォッチと言わずして、何と呼べば良いのか。既存の“ラグスポ”の枠ではなく、新ジャンルの“ラグスポ”と分類したい1本である。

チューダー「モナーク」

女性である筆者の手首(手首回りは14.7cm)に載せてもしっくりなじむ薄型ケース。男女問わず愛されるモデルとなるだろう。ちなみに工具なしでサイズの微調整が可能な“T-fit”式バックルなので、手首にフィットさせて快適に着けることができる。至れり尽くせり。

ムーブメントはマスター クロノメーター!

 レトロさを感じさせつつ、ムーブメントはチューダーの最先端技術を表す、マスター クロノメーター認定のCal. MT5662-2Uが搭載されている。COSC認定ムーブメントを対象に、さらに厳格な8つのテストが課されるこの認定、特筆するべきは1万5000ガウス以上の耐磁性能だ。これだけの耐磁性能があれば、磁気にあふれる現代の日常生活における相棒として最適だ。パワーリザーブ約65時間と、薄型ながらも実用的な持続性を有している。

チューダー「モナーク」

チューダーでは珍しいシースルーバックが採用されているため、Cal. MT5662-2Uを観賞することができる。ローターの盾ロゴやMASTER CHRONOMETERのゴールドの印字が目を引く。


チューダーの現在地を示す1本

 ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2026で発表された「モナーク」を取材のうえ、紹介した。

「ブラックベイ」や「ロイヤル」といった、既存のコレクションとはまったく異なるテイストを有するモナークは、しかしながらチューダーの現在地を知るのに、最も好適な1本かもしれない。チューダーがこれまで培ってきた時計製造技術のノウハウを、各所から感じられるためだ。

 もっともモナーク以外の新作も、さすがチューダーと言うべき快作がそろっている。順次webChronosで紹介していく。



Contact info:日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570


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