今年も百花繚乱な新作モデルが出そろったフランク ミュラー。グランドコンプリケーションから1920年代のアールデコの世界観を体現した優雅なコレクション、人気キャラクターとのコラボレーションウォッチまで、実に多彩なタイムピースが発表されている。本記事では、独自の哲学と卓越した時計製造技術で新たな表現に挑み続けるフランク ミュラーの2026年新作時計を一挙に紹介する。

Text by Kento Nii
[2026年5月16日公開記事]
ヴァンガード エアロ レボリューション3 スケルトン
“重力からの解放”という哲学を体現する多軸化トゥールビヨンシリーズ「レボリューション」より、最新作となる「ヴァンガード エアロ レボリューション3 スケルトン」が披露された。3つの軸が異なる周期で回転する複雑機構「トリ・アクシャル トゥールビヨン」を核に、これを際立たせるために一からリビルドされたスケルトンウォッチである。

手巻き(Cal.FMVT FM 2031-SMR-VS-NR)。21石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約240時間。SSケース(縦52.10×横43.90mm)。日常生活防水。世界限定8本。予価1億1660万円(税込み)。発売時期未定。
ベースモデルは、前衛的なスタイルを持つヴァンガードだ。正面からのぞく機構は極限までミニマル化されており、“エアロ”の名を冠する通り、表情に浮遊感が生み出されている。さらに、時計の表裏だけでなく、新たにケースの左右にもサファイアクリスタルの窓が配置されており、側面からも複雑な駆動を鑑賞できるようになった。

加えて、本作の開発にあたって専用の操作機構を持つリュウズも新設計されており、外観の透明度を保ちつつ、防水性と操作性が両立されている。また、12時位置に配された香箱には、約10日間ものロングパワーリザーブが蓄えられる。
トノウ カーベックス クレイジーアワーズ ミニッツリピーター トゥールビヨン
流麗なケースラインを描くアイコンコレクション「トノウ カーベックス」からは、「トノウ カーベックス クレイジーアワーズ ミニッツリピーター トゥールビヨン」が発表された。ブランドを象徴する3つの複雑機構を18Kホワイトゴールド製ケースに集約した、至極のマスターピースである。

手巻き(Cal.3310)。1万8000振動/時。18KWGケース(縦55.50×横39.50mm)。予価7370万円(税込み)。発売時期未定。
本作のコンセプトは、3つの複雑機構による“解放”である。トゥールビヨンは、時計の精度を左右する重力からの解放を、ミニッツリピーターは澄んだ音色によって時刻を知らせることで、視覚からの解放をそれぞれ表現している。そして、ランダムに配置された数字とジャンプする時針によって時刻を示すクレイジーアワーズは、現代人を縛り付ける“時間”という概念そのものからの解放をイメージしているという。

内部には、524個ものパーツから構成される新開発の手巻きムーブメント、Cal.3310を搭載する。フランク ミュラーは2003年時点ですでにトゥールビヨンとミニッツリピーターを兼ね備える自社製ムーブメントを発表しており、本機もまた、その系譜となる超絶技巧のムーブメントに仕上がっている。
マスター ジャンパー スケルトン
「マスター ジャンパー」シリーズからは、スケルトン仕様の新作モデル3種が登場した。ベースとなったのは多層的なケース構造を持つ「グランド カーベックス」および、レクタンギュラーケースを持つ「ロングアイランド」で、ケース素材には、ブラックに仕上げられたチタンおよび18Kピンクゴールドが用いられている。

手巻き(Cal.FM3100C1)。49石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約30時間。Ti×18KPGケース(縦55.70×横38.00mm、厚さ18.5mm)。日常生活防水。予価1601万6000円(税込み)。発売時期未定。

手巻き(Cal.FM3100C1)。49石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約30時間。18KPGケース(縦55.70×横38.00mm、厚さ18.5mm)。日常生活防水。予価1821万6000円(税込み)。発売時期未定。
マスター ジャンパーは、備えられた3つの表示すべてが瞬時に切り替わる、トリプルジャンピング機構を備えた複雑時計だ。ダイアル中央に縦に並べられた小窓では、上から時・分・日がそれぞれ表示され、直感的に情報を読み取ることができる。
一見するとシンプルなこの表示だが、回転ディスクを駆動するためのエネルギー制御や、3つの表示を整然とジャンプさせるための設計など、その実現には多くの課題があったという。さらに、複雑な構造を湾曲した樽型のケースに収める必要があったため、ブランドはモジュールではなく、一からムーブメントを開発した経緯がある。

手巻き(Cal.FM3100C1)。49石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約30時間。18KPGケース。日常生活防水。予価1821万6000円(税込み)。発売時期未定。
今回登場した3モデルでは、新たにスケルトン仕様を採用することで、本ムーブメントが持つ精緻かつ秩序ある構造を露わにしている点がトピックとなる。なお、ロングアイランドモデルではケースに合わせてムーブメントも角形に再設計されており、トランスパレントバックからもその駆動を観賞することができる。
トリプル ミステリー スケルトン
時・分・秒の針を持たず、回転ディスクによって時間を表現する「ミステリー」コレクションの新作として、「トリプル ミステリー」のスケルトンモデルが披露された。

自動巻き。パワーリザーブ約42時間。18KPGケース(直径36mm)。予価1733万6000円(税込み)。発売時期未定。
ミステリーは、1枚のディスクで時を示す「シングル」、時と分を示す「ダブル」、そして2025年に秒を示す第3のディスクを追加した「トリプル」へと進化を続けてきたコレクションだ。新作では、この3枚のディスクに対し幾何学的なスケルトナイズを施すことで、いっそうミステリアスな一面が際立っている。
クラシカルなフォルムのケースは、18Kピンクゴールド製だ。前作から引き続き、腕時計の大部分にダイヤモンドセッティングが施されており、神秘的な機構にきらびやかな輝きが添えられている。また、3枚の回転ディスクには、それぞれトライアングルカットのダイヤモンドがあしらわれており、内側から外側に向かって秒・時・分が指し示される。
さらに、この機構の中でも、トリプル ミステリーより追加された秒表示のディスクは注目となる。その高速回転ゆえに、エネルギー効率の確保に向けた設計が行われており、ディスクをスケルトナイズするだけでなく、その素材にアルミニウムを採用することで軽量化が図られている。
トノウ カーベックス ギャッツビー
トノウ カーベックスからは、新作「トノウ カーベックス ギャッツビー」の3モデルも発表されている。F.スコット・フィッツジェラルドの小説『華麗なるギャツビー』から着想を得た本シリーズは、独創的なタイポグラフィのインデックスを特徴としている。

自動巻き。18KPGケース(縦35.00×横25.00mm)。予価358万6000円(税込み)。発売時期未定。

自動巻き。18KPGケース(縦35.00×横25.00mm)。予価275万円(税込み)。発売時期未定。
これらのインデックスは、未来への希望に満ちた1920年代のアメリカの高揚感を表現したものである。「円」「直線」「三角形」という基本図形の再解釈によって、アール・デコ調にデザインされており、ひとつひとつが立体的なスケルトンパーツとして作られている。また、サンレイギヨシェパターンの装飾が施されたダイアルとの組み合わせによって、建築物のような奥行きと立体感も生み出された。

自動巻き。18KPGケース(縦38.50×横28.50mm)。予価376万2000円(税込み)。発売時期未定。
ラインナップは、ケースサイズ、ダイヤモンドセットの有無で、3つのバリエーションが登場している。いずれもケースは、温かみのある輝きを放つ18Kピンクゴールド製だ。
ヴァンガード レディ スリム スフマート
奥行きのあるグラデーションダイアルを持つ「ヴァンガード レディ スリム スフマート」。レオナルド・ダ・ヴィンチが確立した、輪郭線を用いずに光と影のぼかしで立体感を生み出す「スフマート」技法を取り入れた、スリムなシルエットのタイムピースである。

自動巻き(Cal.FM708)。パワーリザーブ約35時間。18KPGケース(縦46.30×横35.00mm)。346万5000円(税込み)。

自動巻き(Cal.FM708)。パワーリザーブ約35時間。18KPGケース(縦46.30×横35.00mm)。346万5000円(税込み)。
本作のダイアルでは、放射状のヘアライン仕上げを施したベースの上に、手作業でエナメル塗料を20層も重ねて吹き付けることで、境界線のない深い色合いが生み出されている。バリエーションは、パステルピンク、パステルブルー、プラム、バイオレットの4色だ。外周から中心に向かって徐々に淡くなるこれらの色彩は、一色では語り尽くせない人生の喜びや感情のゆらぎを表現したものだという。

自動巻き(Cal.FM708)。パワーリザーブ約35時間。18KPGケース(縦46.30×横35.00mm)。346万5000円(税込み)。

自動巻き(Cal.FM708)。パワーリザーブ約35時間。18KPGケース(縦46.30×横35.00mm)。346万5000円(税込み)。
ケースは、1920〜1930年代にかけてのストリームライン・モダンの思想が息づく、優雅なトノー型のフォルムを採用する。加えて、表地にカーフ、裏地にラバーを用いたストラップを組み合わせることで、上質な質感と快適な装着感が両立された。
トノウ カーベックス マジェスティック
1930年代のアメリカン・アールデコが象徴する、“上へ向かう精神”をテーマとした「トノウ カーベックス マジェスティック」も披露されている。冠する“マジェスティック”という名は、豪華であることを示すだけでなく、時代がどのような状況にあっても未来を信じ、前を向こうとする人間の姿勢を表現したものである。

手巻き。パワーリザーブ約38時間。18KPGケース(縦35.00×横25.00mm)。330万円(税込み)。
本作のハイライトは、12時位置のみにインデックスを配し、ブランドロゴ、時分針、そしてスモールセコンドを一本の縦軸上に配置している点だ。この、自然と上方へ視線を導くレイアウトは、当時の時代背景や、前を向き続ける精神を象徴する「エンパイア・ステート・ビル」を想起させるものとなっている。

手巻き。パワーリザーブ約38時間。18KPGケース(縦35.00×横25.00mm)。330万円(税込み)。
またこのダイアルやスモールセコンドには、外周へと放射状に広がるサンレイギヨシェパターンが施されている。アール・デコを象徴するこの装飾は、表情豊かであるだけでなく、機械文明や人間の技術が放つ光をイメージしている。さらに、スモールセコンド、ベゼルがダイヤモンドで華やかに飾られたことで、彫刻的な美観と、ダイヤモンドの輝きが響き合う1本に仕上げられた。
トノウ カーベックス ハローキティ
人気キャラクター「ハローキティ」とコラボレーションした「トノウ カーベックス ハローキティ」が発表された。フランク ミュラーが時計づくりの中で向き合ってきた“前に進むことも、立ち止まることも、遠回りをすることも、そのすべてが人生の時間である”という哲学と、評価せず、比べず、ただ隣に寄り添ってくれるハローキティという存在が、重なり合って生まれた特別なタイムピースである。

クォーツ。SSケース(縦35.00×横25.00mm)。世界限定50本。予価176万円(税込み)。発売時期未定。
バリエーションは、スタンダードなステンレススティールモデルと、ベゼルにダイヤモンドセッティングを施した華やかなモデルという選択肢が用意される。前者は50本限定、後者は25本限定で販売される予定だ。サンレイギヨシェパターンをあしらったダイアル上では、それぞれ異なるポーズのハローキティの姿が描かれており、いずれもイラストに合わせてインデックスが省略されている。

クォーツ。SSケース(縦35.00mm×横25.00mm)。世界限定25本。予価259万6000円(税込み)。発売時期未定。
また、やわらかな曲線を描くトノウ カーベックスのケースには、ピンクあるいはホワイトのクロコダイルストラップが取り付けられており、その佇まいは、いっそう愛らしい印象を与える。
ヴァンガード レディ バービー
もうひとつのコラボモデルとして「ヴァンガード レディ バービー」も発表されている。1959年の誕生以来、子供たちに“You Can be Anything(何にだってなれる)”というメッセージを伝えてきたバービーと、“自分で選んだ時がその人らしい人生をつくる”というフランク ミュラーの哲学の両方を表現した、数量限定のスペシャルピースである。

自動巻き。SSケース(縦42.3×横32.0mm)。世界限定200本。予価215万6000円(税込み)。発売時期未定。
本コラボレーションでは、1950年代のクラシカルなエッセンスを取り入れた、ふたつのデザインが用意されている。ひとつは、12時から6時方向に向かってバービーピンクが広がるグラデーションダイアルモデルだ。アイコニックな「B」のモノグラムを施したクロコダイル×ラバーストラップが組み合わされ、鮮やかなダイアルとの一体感が生まれている。

もう一方は、クラシックバービーのフェイスデザインと、ダイヤモンドセットのケースを組み合わせたモデルである。ダイアルの大部分を、ピンクのサングラスをかけたバービーのフェイスが占めており、圧倒的な立体美が演出されている。また、ストラップにはバービーのデビュー当時を思い起こさせる、シェブロンモチーフがあしらわれており、ポップでアヴァンギャルドな1本に仕上げられている。

自動巻き。SSケース(縦42.3×横32.0mm)。世界限定100本。予価523万6000円(税込み)。発売時期未定。




