ティーザー発表後、熱狂的な注目を集めたオーデマ ピゲとのコラボレーションモデルであるスウォッチ「ロイヤルポップ」。この“事件”とも言える時計を、欧米の時計業界人およびコレクターが思うがままに語った。

[2026年6月2日掲載記事]
想像以上の熱狂を生み出したオーデマ ピゲとスウォッチとのコラボレーション懐中時計「ロイヤルポップ」
ここ最近、時計業界でこれほど強烈な印象を残したコラボレーションは、あの「ムーンスウォッチ」以来なかったのではないだろうか?
さて、「ムーンスウォッチ」以来明確になったものがある。それはこのようなコラボレーションは、決して単なる「短絡的なマーケティング施策」ではなく、それをはるかに超える力を持ちうるということだ。

12時位置にリュウズが来る、レピーヌ式のモデル。手巻き(Cal.SISTEM51)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約90時間。バイオセラミックスケース(直径40mm、厚さ8.4mm)。2気圧防水。5万7200円(税込み)。
このコラボレーションは、ブランド認知の裾野を広げ、所有欲を刺激し、高級品へのアクセス方法のあり方さえも再定義すると言ってもよいだろう。スウォッチとオーデマ ピゲによる今回の新たなコラボレーションにより、コラボレーションという戦略は、まったく新しい次元へと突入した。
なぜなら、スウォッチが過去に組んだ多くのパートナーとは異なり、オーデマ ピゲは、限定生産、高額なエントリー価格、そして何よりも「エクスクルーシビティ」によって築かれたブランドアイデンティティを持つ、きわめて特別な世界に位置しているからだ。

まるで腕時計のように3時位置にリュウズが来るサヴォネット式のモデルもラインナップされている。手巻き(Cal.SISTEM51)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約90時間。バイオセラミックスケース(直径40mm、厚さ8.4mm)。2気圧防水。6万1600円(税込み)。
予想通り、その反応は熱を帯びている。純粋な熱狂、長年のコレクターからの懐疑的な目、業界オブザーバーの戦略的評価の間で、浮かび上がってきたのは驚くほど深く考察された全体像である。
時計業界関係者の見解
アメリカの高級時計二次流通ディーラー、ヨーロピアン・ウォッチ・カンパニーのCEOであるジョシュア・ガンジェイは、この新作を高級時計の呼び水的存在になるのではないか、と捉えている。

「ムーンスウォッチの時に見られた傾向からすると、こうしたコラボレーションは本家の価値を損なうどころか、むしろその関心を高める傾向にあります。あのローンチ後、スピードマスターの売上は大幅に伸びました。今回も同様のことが起きると予想しています。スウォッチがロイヤル オークの代わりになるわけではありません。どちらかと言えば、将来のロイヤル オークの買い手をさらに増やすだけです」
また、ふたりのコレクターにも意見を求めた。
そのうちのひとりであるアンドレアス・Wは「アクセサリーとして――特に女性向けとして――は、実はかなりクールだと思います。爆発的な数が売れるとは思いませんが、それこそがこのモデルの魅力かもしれません。少し特別で、ファッショナブルで、他とは違うものを求める人のためのアイテムですね」と肯定的に捉えている。
一方で別のコレクターであるレオ・Sはその存在に否定的だ。「私にとって、このようなコラボレーションはブランドの魅力を高めるものではありません。どちらかと言えば、私が元々そのブランドに抱いていた特別感を損なってしまうように感じます」
ウォッチタイム編集部の意見
『ウォッチタイム』ドイツ版編集長ダニエラ・プッシュはロイヤルポップをこのように評価した。
「オーデマ ピゲとスウォッチの新しいコラボは単純に楽しくて、10代の頃のコレクター熱を思い出させてくれます。個性があって、会話のきっかけになる。時計が今でもそうしたカルチャーの一部であり続け、しかも手の届きやすい価格帯で実現したことは素晴らしいですね。
お店の前に並ぶつもりはありませんが、数週間後に運を試してみるつもりです。私のお気に入りは、カラーネジがあしらわれたホワイトのモデルです」
『ウォッチタイム』ドイツ版のジュニア編集者であるヨハネス・ベアは以下のように語る。
「今回のコラボは、ロイヤル オーク本来の精神を、新しい消費者の価値観へと翻訳しています。畏敬の念より気楽さを重視した、遊び心のあるストリート感が最大の強みです。時計の歴史を尊重する真摯さはありつつも、決して深刻になりすぎず、純粋に楽しめるバランスに仕上がっています。
他のラグジュアリーブランドが距離感を演出する一方で、スウォッチは『単に所有するだけでなく、気取らず日常に取り入れたい』という現代のニーズを完璧に理解していますね」
ロイヤルポップ
スウォッチとオーデマ ピゲのコラボレーションを特に魅力的にしているのは、その手軽さと同等に、文化的ポジショニングにある。製品を「懐中時計」として再解釈することで、伝統的な時計製造の規範を超え、コレクターズアクセサリーの領域へと踏み出した。

つまり、より個人的で表現力豊かな方法でスタイリングし、ディスプレイし、身に着けるためのアイテムだ。バッグチャームやカスタマイズといったトレンドが消費者行動を形作っている今、これは信じられないほどタイムリーに感じられるのではないか?
これにより、通常の平均価格を非常に高く展開しているブランドが、より幅広い層にアプローチできるようになり、ブランドの核心を薄めることなく、長期的な憧れを醸成しながら、本物の興奮を生み出すことができるのだ。



