各社がしのぎを削る複雑時計の世界。2026年新作コンプリケーションから傑作5本を紹介

2026.04.30

2026年のウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで発表された新作時計より、コンプリケーションウォッチの傑作5本を紹介する。各社の叡智が注ぎ込まれたコンプリケーションウォッチから、ブランドの技術力や機械式腕時計の可能性に思いを馳せてみよう。

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野島翼:文
Text by Tsubasa Nojima
[2026年4月30日公開記事]


各社がしのぎを削る、コンプリケーション開発

 毎年のように開発される新機構。それらを搭載したコンプリケーションウォッチは、常に時計愛好家たちに驚きをもたらしてきた。2026年にも多くの新作コンプリケーションウォッチが発表されたが、中でも特に際立ったのは、ブランドの象徴的な機構やアイコニックピースをベースとしたモデルではないだろうか。

 パテック フィリップでは、「セレスティアル」に複雑な日の出と日の入り表示を加えた新作が登場し、IWCはクルト・クラウスが開発したパーペチュアルカレンダー機構のウィークポイントを見事克服して見せた。ユリス・ナルダンが「フリーク」25周年の節目に送り出した「スーパーフリーク」は、まさにシリーズの集大成と呼べる機構を備えている。

 生産本数が少ないうえに超高額なコンプリケーションウォッチは、実際にはなかなか手にする機会のない存在かもしれない。しかし、各社の技術力や機械式腕時計の可能性を知るにあたっては最適な好例だ。今回はウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2026で発表された新作から5本のモデルをピックアップし、その魅力を紹介したい。

パテック フィリップ「グランド・コンプリケーション セレスティアル」Ref.6105G-001

 パテック フィリップの天文表示機構を備えたコンプリケーションウォッチ「セレスティアル」の新作。ダイアル上には北半球の星空が広がり、恒星時や星の位置、月の軌道と月齢、子午線通過時刻を表示する。さらに本作の目玉の機構が、日の出・日の入り時刻表示だ。センターの2本の白い針によって、それぞれ日の出と日の入りの時刻を示す。この機能は、ケースサイドに配されたプッシャーによって、冬時間と夏時間を切り替えることが可能だ。2時位置のリュウズではムーンフェイズや天球図などの調整、4時位置のリュウズは時刻調整に使用する。

ダイアルはサファイアクリスタル製。楕円に囲われた部分にはスイス・ジュネーブおよび同緯度のエリアから見える空の領域が示されている。

 これまでのセレスティアルとは大きく異なるケースデザインも、本作の特徴である。ラグの無い円盤状のケースには、随所にX字型のモチーフがあしらわれ、ブラックのポリマーストラップへと続いている。ケース素材は18Kホワイトゴールド。直径は47mmと迫力のあるサイズだ。ソリッドタイプのケースバックには、カラトラバクロスの装飾が施されている。ムーブメントは、マイクロローター式自動巻きのCal.240をベースとしたCal.240 C LU CL LCSOを搭載。

パテック フィリップ「セレスティアル・日昇・日没時刻」Ref.6105G

パテック フィリップ「グランド・コンプリケーション セレスティアル」Ref.6105G-001
ラグの無いラウンド型ケースによって登場したセレスティアルの新作。センターから伸びる2本の針によって、日の出と日の入りの時刻を示す。自動巻き(Cal.240 C LU CL LCSO)。51石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KWGケース(直径47mm、厚さ12.39mm)。3気圧防水。7123万円(税込み)。(問)パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109

A.ランゲ&ゾーネ「ランゲ 1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー“ルーメン”」Ref.720.035FE

 アシンメトリーなレイアウトが特徴のA.ランゲ&ゾーネ「ランゲ1」に、ルーメン仕様のコンプリケーションモデルの新作が登場。アウトサイズデイトとレトログラード式の曜日表示、ダイアル外周の月表示、6時位置の閏年表示によるパーペチュアルカレンダーを搭載している。7時半位置にはデイ&ナイト表示付きのムーンフェイズが配され、シースルーバックからはトゥールビヨンを鑑賞することが可能だ。

「ランゲ 1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー」を“ルーメン”で表現するために、デザインのみならず、ムーブメントも新たに開発されることとなった。

 ルーメンの特徴であるスモーキーなサファイアクリスタルダイアルを採用し、内部に隠されたディスクやムーブメントの機構を楽しむことができる。アウトサイズデイトや閏年表示、ムーンフェイズのディスク、針、インデックスの縁取り、目盛りにはふんだんに蓄光塗料が塗布され、暗所で幻想的な輝きを放つ。コンプリケーションウォッチならではの複雑な構造を審美性へと落とし込んだ、独創性の光るモデルだ。

 ケース素材はプラチナ。内部には、自社製自動巻きムーブメントCal.L225.1が搭載されている。ジャーマンシルバー製の4分の3プレート、ハンドエングレービングが刻まれたテンプ受け、ビス留め式ゴールドシャトンなど、グラスヒュッテ様式が取り入れられている。

A.ランゲ&ゾーネ「ランゲ 1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー“ルーメン”」

A.ランゲ&ゾーネ「ランゲ 1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー“ルーメン”」Ref. 720.035FE
サファイアクリスタル製ダイアルと蓄光塗料を特徴とする、ルーメンの新作。パーペチュアルカレンダーと高精度なムーンフェイズを搭載している。自動巻き(Cal.L225.1)。74石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。Ptケース(直径41.9mm、厚さ13.0mm)。世界限定50本。要価格問い合わせ。(問)A.ランゲ&ゾーネ Tel.0120-23-1845

ヴァン クリーフ&アーペル「ミッドナイト ジュール ニュイ ファーズ ドゥ リュンヌ ウォッチ」Ref.VCARPESA00

 デイ&ナイト表示とムーンフェイズ機構を融合させた、詩的な情景が魅力的なヴァン クリーフ&アーペルの新作。地平線をモチーフとしたグラデーションカラーのマザー・オブ・パール製ダイアルの下には、24時間かけて1周する大型のムラーノ アヴェンチュリンガラス製ディスクが搭載され、日中はギヨシェ装飾を施したゴールドの太陽、夜間はアクリルによって描かれた星々に囲まれた月が姿を現す。月の素材にはマザー・オブ・パールが採用され、29.5日の周期で満ち欠けを表示するムーンフェイズとして機能する。

回転するディスクを二層構造とすることで、ムーンフェイズと昼夜表示の併催を可能とした本作。ブルーの多いアヴェンチュリンガラスをブラックとしている点にも注目だ。

 18Kホワイトゴールド製ケースの8時位置にはプッシュボタンが配され、押下することによって10秒間かけてディスクが1周するアニメーションを楽しむことが可能だ。これによって、昼夜を問わず現在の月相を確認することができる。ケースバックからは、月面をモチーフとしたエングレービングと、エナメルで描かれた地球、ミニアチュールペインティングによる惑星を楽しむことが可能だ。

ヴァン クリーフ&アーペル「ミッドナイト ジュール ニュイ ファーズ ドゥ リュンヌ ウォッチ」Ref.VCARPESA00

ヴァン クリーフ&アーペル「ミッドナイト ジュール ニュイ ファーズ ドゥ リュンヌ ウォッチ」Ref.VCARPESA00
多層構造のダイアルを用いて、デイ&ナイト表示とムーンフェイズ機構を収めたモデル。8時位置のプッシュボタンによって、オンデマンドでディスクを1回転させることができる。自動巻き。パワーリザーブ約36時間。18KWGケース(直径42mm)。予価2574万円(税込み)。(問)ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク Tel.0120-10-1906

IWC「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー・プロセット “プティ・プランス”」Ref.IW329601

 IWCが「プロセット」と名付けた、新開発のパーペチュアルカレンダー機構を搭載したパイロットウォッチ。プロセットは、1985年にクルト・クラウスが開発したパーペチュアルカレンダー機構を大幅に進化させたものだ。プッシュボタンを使用しない点は同じだが、戻すことができないというウィークポイントを克服し、リュウズ操作によってカレンダーを前後に調整することが可能となった。

IWC「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー・プロセット “プティ・プランス”」Ref.IW329601

IWC「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー・プロセット “プティ・プランス”」Ref.IW339601
クルト・クラウスが開発したパーペチュアルカレンダー機構を大幅に進化させた、「プロセット」を採用。リュウズ操作によって、カレンダーを前後に調整することが可能だ。自動巻き(Cal.82665)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。セラミックケース(直径42.9mm、厚さ14.3mm)。10気圧防水。631万4000円(税込み)。(問)IWC Tel.0120-05-1868

「プティ・プランス」シリーズに共通するサンレイ仕上げのディープブルーダイアルは、アントワーヌ・ド・サン・テグジュペリの『星の王子さま』にインスパイアされたものだ。12時位置には南北両半球のムーンフェイズが配され、3、6、9時位置のインダイアルによってカレンダーを表示する。

 直径42.9mmのケースは、同社のパーペチュアルカレンダームーブメントを搭載したセラミックケースとしては、控えめなサイズ感。10気圧防水や、ワンタッチでベルトを脱着することが可能な「EasX-CHANGE®」システムなど、日常的に使いやすい仕様であることも魅力だ。

ユリス・ナルダン「スーパーフリーク」Ref.2520-500LE-3A-BLUE/3A

 誕生25周年を迎えた、ユリス・ナルダンを象徴するフリークの集大成を飾る新作。優れた透明度と硬度を誇る、ライトブルーのナノシタル®製アワーディスクの上には、フリークの特徴であるカルーセル機構が配されている。このカルーセル機構は1時間で1回転し、分針としての役割を果たす。両サイドには、10度の傾斜を設けたチタン製のフライングトゥールビヨンが搭載され、シリコン製のテンワとヒゲゼンマイ、シリコンをダイアモンドコーティングすることで硬度を高めた、ダイアモンシル®製の脱進機を採用している。

ユリス・ナルダン「スーパーフリーク」Ref.2520-500LE-3A-BLUE/3A

ユリス・ナルダン「スーパーフリーク」Ref.2520-500LE-3A-BLUE/3A
フリーク25周年を飾る、世界限定50本の希少モデル。フリークとして初めて秒表示を搭載している。自動巻き(Cal.UN-252)。42石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KWGケース(直径44mm、厚さ16.54mm)。30m防水。世界限定50本。5594万6000円(税込み)。(問)ソーウインド ジャパン Tel.03-5211-1791

 専用に新開発されたディファレンシャルとジンバルによって、フリーク初の秒表示を搭載していることも本作の特徴だ。先端に取り付けられたシリンダー型のパーツが回転することによって、秒単位の時刻を読み取ることが可能となっている。

 直径44mmのケースは、18Kホワイトゴールド製。シースルーバックからは、高い巻き上げ効率を誇るグラインダー®テクノロジーを採用した自動巻き機構を鑑賞することができる。


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