グランドセイコーは2026年、直径40.8mmというデイリーユースしやすいサイズ感に、「スプリングドライブU.F.A.」の超高精度ムーブメントCal.9RB1を搭載した「エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A. Ushio 300 Diver」を発表した。この新作ダイバーズウォッチを、時計ライターの佐藤しんいちが4つのトピックスを柱にひもといていく。

自動巻きスプリングドライブ(Cal.9RB1)。33石。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタンケース(直径40.8mm、厚さ12.9mm)。300m空気潜水用防水。165万円(税込み)。
Text by Shin-ichi Sato
[2026年7月7日公開記事]
グランドセイコーの最新ダイバーズウォッチ「Ushio 300 Diver」を深掘り
今回深掘りするのは、グランドセイコーに追加された、ダイバーズウォッチ最新作「エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A. Ushio 300 Diver」(以下、Ushio 300 Diver)である。本作のトピックスは、①直径40.8mmのケースサイズと軽量なブライトチタン製外装②超高精度なスプリングドライブU.F.A.の搭載③日本列島を取り巻く海流をテーマとした奥行きのある文字盤④新採用の長さ調整機能付きバックルの、以上4つである。実機に触れてきた時計ライター・佐藤しんいちが、本作の完成度の高さや魅力について解説してゆこう。
①直径40.8mmのケースサイズと軽量なブライトチタン製の外装
本作のケースは、リュウズを含まない直径40.8mm、厚さ12.9mmと、デイリーユースしやすいダイバーズウォッチのサイズ感に仕立てられている。現代のインフォーマルウォッチの標準が直径40mm程度であることを考えると、本作は多くの人にとってなじみやすいシルエットを持つと言えるだろう。また、以前からラインナップされている「エボリューション9 コレクション」Ref.SLGA015のケースが直径43.8mm、厚さ13.8mmであったので、直径で比較して約3mm、厚さでは約1mmもコンパクトになっているのだ。

Ref.SLGA015をはじめとした従来のグランドセイコーのダイバーズウォッチについて、日本人には大きいが、手首の太いユーザーの多い欧米では受け入れられているのだろうと筆者は考えていた。グランドセイコーの欧米での人気を考えれば、それは間違いではないのであろうが、一方で、本作がお披露目となったウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2026では、Ushio 300 Diverのサイズを歓迎する、海外のファンの声が寄せられたようだ。グランドセイコーの新時代のダイバーズウォッチとして、幅広い層からの人気が高まることを予感させるエピソードである。
ケースやブレスレットといった外装は、軽量なブライトチタン製である。きめの細かいヘアライン仕上げを基調としたマットな質感で、エッジ部にはポリッシュが施され、落ち着いたエレガンスも感じられる仕立てとなっている。着用してみると、シャツとのマッチングも良好なサイズでフィット感が良く、軽量な仕立てによって着用感に優れていることが印象的であった。
②超高精度なスプリングドライブU.F.A.のCal.9RB1の搭載
本作に搭載されるのは、年差±20秒を誇る、超高精度なスプリングドライブU.F.A.のCal.9RB1である。“U.F.A.”とは超高精度(Ultra Fine Accuracy)を意味し、1969年に発売された高精度モデルに付けられた“V.F.A.(Very Fine Adjusted)”にちなんだネーミングだ。Cal.9RB1は、昨年発表されたCal.9RB2をノンデイト仕様とし、パワーリザーブ表示を文字盤側に移した構成を持つ。
Cal.9RB1には、温度補正機能を追加したスプリングドライブの制御ICとエイジング済みかつ選定品のクォーツが採用され、そこに緩急スイッチが搭載される。システム全体の精度を底上げしつつ、それを維持しやすい、極めて高い完成度が魅力だ。
③日本列島を取り巻く海流をテーマとした奥行きのある文字盤
発表されたブルー文字盤モデル、グリーン文字盤モデルは、いずれも日本を取り巻く海流をテーマにした型打ちとカラーリングが施されている。型打ちによるパターンは、海面の波や海流の流れを表現した有機的なもので、周囲が暗く、中央部が明るいグラデーションのカラーリングとなっている。
ブルーは、光がきらめきながら差し込む広大な海を表現し、グリーンは澄んだ海の浅瀬の透明感から着想を得たものとなっている。いずれも、彩度を落としたシックなカラーで、ややマットに仕上げられたことで落ち着いた印象である。光が当たると透明感が際立ち、型打ちパターンが浮かび上がることが特徴で、型打ちパターンがもたらす陰影が表情を生み出し、奥行きが感じられる仕上がりである。この表情の変化は、ぜひ実機で見ていただきたいポイントだ。
ベゼルは耐傷性の高いセラミックス製で、文字盤カラーに合わせた調色となっている。マットな仕立てとしている点が特徴で、文字盤や外装の質感にマッチしており、本作を落ち着いた印象とすることに一役買っている。

自動巻きスプリングドライブ(Cal.9RB1)。33石。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタンケース(直径40.8mm、厚さ12.9mm)。300m空気潜水用防水。165万円(税込み)。
④新採用の長さ調整機能付きバックル
最後に筆者が注目したのが、新採用の長さ調整機能付きバックルだ。ダイバーズウォッチに求められる堅牢さを確保しながら、長さ調整の機構を実現している。また、調整機能を持たないバックルと遜色のない、コンパクトで薄い仕立てが特徴である。

バックル中央部分でブレスレットが持ち上がり、そこに現れるロック機構を解除することで長さを調整する仕組みとなっており、意図せずに長さが変わることもなさそうだ。ブレスレットと同様にブライトチタン製であるため軽量で、着用感も良好だ。


完成度の高いUshio 300 Diverをぜひ店頭でチェックしよう
Ushio 300 Diverは、デイリーユースしやすいサイズ感と軽量な仕立ての外装、グランドセイコーの技術力を注ぎ込んだスプリングドライブU.F.A.の搭載、日本の情景を取り入れた落ち着いたデザイン、利便性の高い新開発のバックルという実用的かつ審美性に優れたモデルである。今回の深掘りを通じて筆者は本作の高い完成度に魅力を感じ、手にしたユーザーが十分な満足感を得られるモデルであると、自信を持ってお勧めする。
軽量な仕立てや良好な着用感、光が当たることで表情を変える文字盤は、実際に手に取って初めて分かるポイントであるので、購入を検討している読者はぜひ店頭でチェックいただきたい。




