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日々の生活に連れ出したい腕時計。セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ」最新作を着用レビュー!

2026.07.28

セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ」からデビューしたケース径38mmの最新作。今回はそのうち、日本人に長きにわたって愛されてきた「桜色」の文字盤を持つRef.HCC003Jをインプレッションする。ベースとなったのは、富岡のシルク文化から着想を得た限定モデルであるRef.HCC010Jであり、上質な国産シルクのドレープから着想を得た型打ちパターンが本作にも施されている。文字盤の桜色は、本物の桜の花びらを思わせる繊細な淡さを有しており、さまざまなコーディネートに取り入れたくなる魅力を持つモデルに仕上がっている。

セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ」Ref.HCC003J

セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ」Ref.HCC003J
光の加減によって、本記事に掲載した他の写真よりもホワイトに近い写りとなっている。本作の桜色は、それほど淡く繊細な色調を持っており、これが魅力となっている。自動巻き(Cal.6R51)。24石。2万1600振動。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径38.0mm、厚さ12.9mm)。12万9800円(税込み)。

セイコー プレザージュの新作は世界遺産「富岡製糸場」のシルク文化を新たな型打ち文字盤で表現する

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佐藤しんいち:文・写真
Text & Photographs by Shin-ichi Sato
[2026年7月28日公開記事]


セイコー プレザージュにケース径38mmのレギュラーモデルが登場

 今回インプレッションするのは、セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ」の最新作だ。本作は、限定モデルの「クラシックシリーズ 富岡シルク推進機構 限定モデル」Ref.HCC010Jと同様のシルエットや、型打ちパターンを採用したレギュラーモデルとして企画されている。バリエーションとして、「桜色」の文字盤を持つ本作(Ref.HCC003J)のほかに、シルクを精錬することで生まれる混じりけのない白である「白練(しろねり)」を文字盤で表現したRef.HCC001Jと、着物の染め色としても親しまれてきた「若竹色」文字盤のRef.HCC002Jが並んでいる。なお、限定モデルおよび本作を含むレギュラーモデル3型は、プレザージュ初となる直径38mmケースを持つことがポイントだ。

セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ 富岡シルク推進機構 限定モデル」Ref.HCC010J

セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ 富岡シルク推進機構 限定モデル」Ref.HCC010J
自動巻き(Cal.6R51)。24石。2万1600振動。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径38.0mm、厚さ12.9mm)。国内限定500本。14万8500円(税込み)。

セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ」Ref.HCC001J

セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ」Ref.HCC001J
自動巻き(Cal.6R51)。24石。2万1600振動。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径38.0mm、厚さ12.9mm)。13万2000円(税込み)。

セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ」Ref.HCC002J

セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ」Ref.HCC002J
自動巻き(Cal.6R51)。24石。2万1600振動。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径38.0mm、厚さ12.9mm)。13万2000円(税込み)。

 そこで、注目すべき文字盤の型打ちパターンと淡く繊細な桜色の色調といったデザイン面に加えて、直径38mmというサイズ感がもたらす着用感や、コーディネートとのマッチングについて解説してゆく。

純国産シルクのしなやかなドレープを型打ちパターンで表現

 インプレッションを始めるにあたって、本作の文字盤の型打ちパターンが生まれるきっかけとなったクラシックシリーズ 富岡シルク推進機構 限定モデルRef.HCC010Jを簡単に説明しよう。Ref.HCC010Jは、1872年に明治政府によって創建され、その後の日本の近代化を支えた富岡製糸場や、富岡製糸場を起点として培われた日本のシルク文化から着想を得たモデルである。文字盤に施された型打ちパターンは、純国産の「富岡シルク」の中でも稀少な最高級蚕品種である「ぐんま細(ほそ)」によるシルクをモチーフとしたものとなっている。波状のパターンは上質なシルクが生み出すドレープが、この波状のパターンと表面の艶がもたらす光の反射はシルクの光沢感が表現されている。

 インプレッションするレギュラーモデルのRef.HCC003Jは、そんなドレープを模した型打ちパターンや、表面の艶感はそのままに、日本人に古くから親しまれてきた桜の花びらのような、淡いピンクの桜色を採用している点が特徴だ。

絶妙な調色の淡く繊細な桜色

 桜色を取り入れた文字盤は、“ピンク”と聞いてイメージするよりも淡く繊細である。写真を趣味にする読者であればイメージいただけるだろうが、肉眼では柔らかなピンクであるのに、写真にすると白く映ってしまう程の、桜らしい淡さを本作は持っている。

 明るい屋外では、わずかにピンクのニュアンスを感じるものの、ホワイトに分類したくなる色調だ。一方、日陰や色のある室内灯の下では桜色を感じ取れるようになる。この絶妙な色合いは実にレビュワー泣かせで、写真でうまく表現するのが難しかった。

 組み合わされるのは、桜の木の幹から着想を得たダークチョコレートのレザーストラップだ。艶のある仕立てで、シックな本作にマッチしたクラシカルな仕上がりである。

セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ」Ref.HCC003J

しなやかなドレープを見せる、シルクからインスピレーションを得た型打ちパターンは、光が当たると光の筋を作って表情を生み出す。文字盤の桜色も相まって、柔らかな印象の仕立ての中に、エッジの効いたアルファ型の時分針とストレートなインデックスの組み合わせが際立っている。

 本作の着用時、“気軽に”時間を確認すると、富岡シルクに代表されるシルクの質感から着想を得た型打ちパターンは、凹凸を感じさせないシンプルでエッセンシャルな表情を見せる。しかし“じっくりと”鑑賞すると、この型打ちパターンはしなやかなドレープや艶を想起させる存在感のある仕上がりだ。このように表情を大きく変えてくれるのは、波の形状や凹凸の深さの調整が巧みであることが理由であろう。また、文字盤に光が当たることで、型打ちパターンが放射状の光の筋を作り、本作特有の上品さを生み出している。このように、一見シンプルだが、素材の良さがにじみ出てくるような魅力を本作が持つという点は、上質なシルクをモチーフとしているというストーリーにふさわしいものだ。

 もう少し文字盤のデザインに注目しよう。アルファ型の時分針とストレートな秒針の組み合わせとなっており、分針と秒針は文字盤の縁までしっかりと届いていて視認性に優れる。また、分針と秒針の先端が文字盤側に少し曲げられており、視認性を高めている。これらはヴィンテージのドレスウォッチに通ずるディテールで、本作のクラシカルな印象を構成する重要な要素だ。

さまざまなシーンでの活躍が期待される完成度の高いデザイン

 先にも述べた通り、本作の文字盤は環境によってはホワイトにも見える淡いピンクで、組み合わされるのがブラックに近いブラウンのストラップである。そのため、コーディネートを考えるうえでは、ホワイト&ブラックのクラシカルな1本として扱ってよさそうだ。

 一方で、単純な“真っ白”、“真っ黒”とは異なる色調を持っていることが本作の強みとなる。服装や他のアイテムとのマッチングを考える際に、“真っ白”または“真っ黒”の配色は端正であるが、視覚的な印象が強く、コーディネート全体をドレッシーに調整しないと浮きやすい。これに対して、本作のようにわずかな色味を感じさせるアイテムは、他の色や肌とのなじみが良い。このようなメリットによって本作は、改まったスーツスタイルだけでなく、カジュアルなコーディネートに合せたくなる魅力を持っている。

 そこで筆者は今回、オフホワイトのカットソーと合わせてみた。カジュアルでリラックスした雰囲気のコーディネートであっても良く馴染んでおり、さまざまなシーンに本作を連れ出したいと思わせる魅力をご理解いただけるのではないだろうか。もちろん、艶のあるブロードシャツとヘビーなダークスーツとのマッチングも良好である。

セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ」Ref.HCC003J

手首周長約18cmの筆者によるリストショット。手首の細いユーザーにもマッチするサイズ感で、幅広く受け入れられることだろう。コンパクトなシルエットは、本作のドレッシーさやクラシカルさにつながっている。

直径38mmのシルエットが生み出す良好な着用感

 本作は、プレザージュとしては初となるケース径38mmのモデルだ。プレザージュはケースデザインが豊富で、サイズに関して筆者が調べた限りでは直径42.2mmから30.3mmまでと、幅広く並んでいる。そんなラインナップの中で、近年のドレスウォッチの標準に近い直径40.2mmや39.5mmのモデルが存在し、そこからワンサイズ小さいモデルは直径36.0mmとなっていた。この間を埋めるように登場するのが直径38mmの本作である。

 日本人平均より太めと思われる手首周長約18cmの筆者にとっては、“少しコンパクト”と感じつつ、良好な着用感が得られて高評価であった。より手首の細いユーザーにもフィットしそうだ。コンパクトなため軽快で、これも着用感の良さにつながっている。時計の厚さは12.9mmと薄いとは言えないが、コンパクトな仕立てのおかげか袖への収まりが良かったし、視覚的なバランスも取れているように筆者は感じた。

セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ」Ref.HCC003J

ケースの上面はサテン仕上げ、サイドはポリッシュ仕上げとなる。サイドはふっくらとしたラインを描いており、これがクラシカルな印象を本作に加えている。直径38.0mm、厚さ12.9mmというシルエットのバランスも良かった。

 搭載されるムーブメントは自動巻きのCal.6R51である。Cal.6R51は、パワーリザーブ約72時間を備え、十分に主ゼンマイを巻き上げておくことで、週末に着用することがなくても月曜日にそのまま使用可能という、現代のライフスタイルにマッチした実用性を備える。インプレッションを通じて厳密なテストはできなかったが、不満のない性能であった。


日々の生活に連れ出したくなる魅力のある1本

 セイコー プレザージュ クラシックシリーズの新作となる本作は、表情豊かな型打ちパターン、絶妙な調色の文字盤、クラシカルなデザイン、実用性の高いムーブメントによって完成度が高かった。インプレッション中に唯一気になったことは、レザーストラップが固く、手首が挟まれるようになってしまったことだけだ。これは、厚い仕立てかつ、コシのある革を使用しており、新品状態では本領を発揮できていなかったことが原因だ。

 そこで筆者からは、本作を手にしたら“とっておきの1本”にとどめておかず、日々の生活に連れ出すことを提案する。本作はカジュアルな装いに合わせやすいデザインや色調を持っており、コーディネートに困ることもない。使ってゆくにつれて、レザーストラップとともに本作がユーザーの生活になじんでゆき、掛け替えのない1本となることだろう。



Contact info:セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012


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