大切な人と会う日、とっておきの腕時計を選ぶように、贈りものにもまた、その一本にふさわしい品格が求められる。時計とともに語られる背景や物語まで携えたギフトなら、贈る人の美意識はより鮮やかに伝わるだろう。今回は、世界でただひとつ、銀座にショップを構えるフランク ミュラー パティスリーより厳選した3品を紹介する。代表作である「マロングラッセ」をはじめとする大人のための贅沢な味わいは、卓越した美的感覚と高度な技術による時計づくりに通じるものばかり。甘く優雅な時間を具現化したようなスイーツの数々は、言葉にせずとも想いが伝わるほどの存在感を放っている。
Text by Yui Togawa
[2026年10月23日公開記事]
フランク ミュラーの“時の哲学“に包まれる、甘く優雅な銘品

2017年に東京・銀座のGINZA SIX内に、世界で初めてフランク ミュラーのブティックにパティスリーを併設するという店舗スタイルで誕生したフランク ミュラー パティスリー。現在に至るまで店舗を拡大することはなく、オンラインでの販売も行っていないため、銀座のショップでのみ商品を購入することができる。数量も限られるため、事前に予約をしてわざわざ買いに訪れるという行為もまた一層ギフトとしての価値を上げてくれるだろう。
展開されるアイテムは、時間そのものを楽しむための深い味わいの贅沢なスイーツ。卓越した美的感覚と高度な技術による時計づくりを通して、「時」という無形なものに彩りと幸せを与え続けてきたフランク ミュラーだからこそ誕生した銘品揃いだ。代表作の「マロングラッセ」をはじめ、焼き菓子やケーキ、和のテイストを取り入れたアイテムまで、そのバリエーションの豊富さにも目を見張る。

開業当時から愛される「マロングラッセ」は、イタリア産の洋栗をひとつひとつ選別しながら職人の手で丁寧に甘皮を剥いて手作りされている。ひと粒に凝縮された、奥行きのある風味にうっとりとさせられ、じっくりと多彩な工程を経て完成するまでの時間にも想いを馳せるような心地に浸れるだろう。アルコールと共に味わいたくなるフレーバーを展開しているので、シャンパン、ワイン、ウイスキーなど、贈る相手の好みに合わせてセレクトするのもおすすめだ。手のひらサイズながら存在感は抜群。インパクトある手土産で、常温で持ち運べてコンパクトかつ日持ちするものを、というシーンにうってつけだ。
ラムは、ラム酒の最高峰といわれるロン・サカパの香りをまとわせることで、栗の甘みが際立つ。ブランデーと共に味わいたくなる芳醇なテイスト。オレンジは、グランマニエ(オレンジのお酒)の香りをまとわせ、オレンジの表皮をふりかけて仕上げている。爽やかな香りはシャンパンと好相性。エピスは、シナモン、アニス、カルダモン、ジンジャーなどの数種の香辛料から醸し出される香りが、赤ワインに寄り添う。エッジの効いた風味は、ホットワインにもぴったりなので、ホリデーシーズンにも最適だ。レモンは、レモンリキュールに浸した洋栗に、イタリア産レモンダイスをトッピング。酸味だけでなく、爽やかなレモンの甘味も楽しむことができる。シャンパンはもちろん、白ワインにもいいだろう。チョコレートやナッツもいいが、風味が凝縮されたマロングラッセで味わう一杯は格別だ。
時の流れをじっくりと味わう、大人のためのスイーツ

エレガントなリボンをほどき、蓋を開けると、重厚感ある「サンドリヨン」が鎮座。カリフォルニア州ナパ・バレー地域の高品質なくるみを主役にした、ミルフィーユ仕立てのバタークリームケーキだ。シンプルな佇まいながら、ナイフを入れると美しい断面が現れる。時間をかけて焼き上げられたダコワーズ生地、ビターでなめらかなコーヒーバタークリーム、小さくクラッシュされたくるみが織りなす層は、まさに丁寧に時を重ねて生み出された味わい。1層目には、ダコワーズ生地に合う硬さのチョコレートを加えることで、味わいと食感のアクセントに。表面には、ローストしたクラッシュアーモンドスライスでデコレーションを施している。甘いものは苦手、という方にも満足してもらえるような大人好みのテイストだ。
クリームを使用していると日持ちしないケーキが多いが、サンドリヨンは入荷日を含めて賞味期限が30日というのも嬉しいところ。4~6名でシェアできるサイズなので、友人宅に招かれた時などの手土産にも好適。フランク ミュラー パティスリーでは、税込み3240円以上の購入で、オリジナルのトートバッグをプレゼントしてくれるので、そちらに入れて贈るのも素敵だ。
象徴的なビザン数字を粋なデザインに施したお猪口ショコラ

こちらのスイーツはぜひ、何も言わずに渡していただきたい。贈った相手は、箱から取り出して手に取った瞬間、思わず驚きと喜びの笑みを浮かべてくれるに違いない。フランク ミュラーだと一目で分かるアイコニックなビザン数字が日本の伝統文化であるお猪口に施されており、上品な深いブルーとホワイトを基調とした2色をセットにしている。
そして、お猪口だけでなく、ハードチョコレートの表面には踊るようなビザン数字がデザインされている。スプーンを入れるのを躊躇してしまう美しさだが、思い切って口へと運べば、一瞬にして華やかな吟醸香とカカオの深いコクが広がっていく。使用するチョコレートは、バランスに優れたベルギー産クーベルチュール。日本酒は「FRANCK MULLER 純米大吟醸」。洋と和が、デザインにおいても味わいにもいても見事に重なり合い、日常を贅沢な時間に変えてくれる。“お酒とのマリアージュを楽しむ”というフランク ミュラー パティスリーに込められた思いを体現するスイーツだ。
オリジナリティーにあふれたスイーツは、数々の独創的な時計づくりで時間に対する概念をゆさぶってきたフランク ミュラーならではのものばかり。贈られた相手にも、その特別なストーリーが届き、贅沢な時間を過ごしていただけるに違いない。
さて、「大吟醸ショコラ」の説明で登場した「FRANCK MULLER 純米大吟醸」。フランク ミュラーが日本酒を展開しているの!? と驚かれた方も多いのではないだろうか。続編として、アルコールの手土産をご案内するのでどうぞお楽しみに。
店舗詳細

フランク ミュラー パティスリー
住所:東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 2F
TEL:03-3569-0663
営業時間:10:30~20:30
https://contents.franckmuller-japan.com/patisserie/
外川ゆい氏のプロフィール

フードジャーナリスト。つくり手のストーリーや思いを伝えることを信条に、レストラン、ホテル、スイーツ、お酒など、食にまつわる記事を執筆する。『クロノス日本版』巻頭連載IN THE LIFEにて「この世ならぬ美味のクリエイター」を担当。





