大切な人と会う日、とっておきの腕時計を選ぶように、贈りものにもまた、その一本にふさわしい品格が求められる。時計とともに語られる背景や物語まで携えたギフトなら、贈る人の美意識はより鮮やかに伝わるだろう。今回は、フランク ミュラーがワイナリーや酒蔵とコラボレーションしたスペシャルなお酒を紹介する。スイスの機械式時計のつくり手として、奇想天外な発想で人々を驚かせ、人と時間を結びつける哲学的な思いを込めた作品を生み出すフランク ミュラー。その精神は、ワインや日本酒においても忠実に反映されており、味わいや佇まいから感じ取っていただけるに違いない。
Text by Yui Togawa
[2026年10月29日公開記事]
世界で唯一のアートをまとう、海で時を過ごしたワイン

唯一無二の発想と哲学が共鳴し合う「FRANCK MULLER × SUBRINA 海底熟成ワイン」。第一弾から装いも味わいも深化を遂げた待望の第二弾として、「Vintage 2022<Act 6>」が200本限定でリリースされた。
フランク ミュラーとコラボレーションするのは、SUBRINA(サブリナ)。サブリナは、国内初の“海底熟成”ワインとして2011年に誕生。海底熟成ワインをスタートしようと思ったきっかけは、サブリナを立ち上げた代表・青樹英輔氏のダイビングの師匠がプレゼントしてくれた海底熟成した赤ワインで、日本ではもちろん世界でも類を見ない熟成方法であった。そのような伝統にとらわれない発想は、フランク ミュラーの時計づくりに通ずる独創性の追求であり、情熱が共鳴し合ってコラボレーションする運びに。
サブリナは、日本有数の透明度を誇る南伊豆・奥石廊中木沖(おくいろうなかぎおき)の海、水深約15mにて約半年間、海底熟成される。光や温度変化、振動といった地上の環境から解き放たれ、穏やかな海の揺らぎに身を委ねることで、ワインは角の取れたまろやかさと、比類のない奥行きを備えた味わいへと昇華していく。

ボトルのなかで眠るのは、冷涼な気候で造られた“クールクライメット・シラー”100%のワイン。南アフリカの名醸地ステレンボッシュ、その中でも上質な赤ワインの産地として知られる“ゴールデントライアングル”に畑を持つグレイスランド ヴィンヤーズが手掛ける逸品だ。
グラスに注げば、熟したベリーを思わせる華やかな香りとフレッシュな酸味、わずかなスパイシーさも心地よい。しっかりとした骨格を備えながら、気品ある飲み心地が魅力で、余韻が豊かに続く。海で時を過ごすという特別な熟成がもたらすのは、単なる変化ではなく、時間そのものが溶け込んだような調和だ。
そして、海底熟成によってもたらされるのは、特別な味わいだけではない。引き揚げられたワインは海底に眠っていた証しとして、ボトルに石灰藻やフジツボ、砂などの海の贈り物をまとっている。その装いはひとつとして同じものはない。まさに、世界にたった1本。アートなボトルの包みは、海底を思わせる深いブルーにフランク ミュラーを象徴するビザン数字のデザインを施したもの。随所に同ブランドの哲学と美学が宿っている。
ニュージーランドの奇跡のワインで「時間を味わう」

“時間”という概念を芸術へと昇華させ、腕時計の枠を超えて「豊かな時を過ごす歓び」を提案してきたフランク ミュラー。その哲学を知れば、ワインとのコラボレーションは実に自然な流れだと感じる。続いて紹介する「FRANCK MULLER × WAIMARAMA プレミアムワイン『CSS 2018』」は、恵まれた気候条件の年にしか仕込まれない稀少な1本。
シャトー・ワイマラマは、ニュージーランドのホークス・ベイに広がる4.5haのブティック ワイナリー。“ワイマラマ”とは、マオリ語で「水面に映る月光」を意味する。世界でも名高い銘醸地ホークス・ベイは、温暖で肥沃なテロワールが、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロといったボルドー系品種やシラーに、他にはない深みと調和を与えており、果実の力強さと奥深さからくる洗練が同居するその味わいは、まさにホークス・ベイの個性そのもの。シャトー・ワイマラマは「テロワール主義」を掲げ、年間わずか2〜3万本という少量生産で、卓越した品質のワイン造りを追求している。日本人オーナーの美意識のもと、自然環境に敬意を払ったサスティナブル農法を取り入れているのも特徴。醸造はフランス人醸造家が担い、バランスとエレガンスを追求するスタイルを徹底している。
「CSS 2018」は、90%のカベルネ・ソーヴィニョンに10%のシラーをブレンドし、フレンチオーク樽で11カ月熟成。深みのあるガーネットレッドの色調で、チェリーやプラムといった芳醇なアロマに、クローブやナツメグを思わせるスパイスのニュアンス、そして土を連想させる複雑な香りが重なる。口に含むとふくよかで、しっかりとしたボディ感と肉厚さが印象的。躍動感のあるフィニッシュを演出する。
生産本数わずか997本の稀少なプレミアムワイン「FRANCK MULLER × WAIMARAMA プレミアムワイン『CSS 2018』」。「フランク ミュラー ジュネーブ(GINZA SIX)」では、オリジナルのグラスなどをラインナップしているので、ワインとセットにしてギフトにするのもおすすめだ。「時間を味わう」という贅沢に浸っていただけるだろう。
フランク ミュラー×江戸時代創業の酒蔵

最後にもう1本、フランク ミュラーのロゴが崇高にデザインされた日本酒を紹介しよう。寛政元年(1789年)創業の宮城県の田中酒造店とのコラボレーションによって誕生した「FRANCK MULLER 純米大吟醸」だ。「真鶴」を代表銘柄とする田中酒造店は、奥羽山脈の豊かな伏流水に恵まれ、古くから宮城の酒どころとして有名な加美郡加美町に位置する伝統ある酒蔵。今回、初の試みとなる35%まで酒米を磨く高精白に挑み、フランク ミュラーオリジナルの日本酒を完成させた。原料となる酒米は、宮城県産の良質な美山錦(みやまにしき)を100%使用して醸している。
酒器に注ぐと白い花や洋梨を連想させるような上品な香りが漂い、口に含むと柔らかな輪郭を感じ、優しく穏やかな甘味が広がっていく。透明感があり、後味も軽やかだ。お猪口もいいが、ワイングラスなどで存分に香りを楽しみながら味わうのもいいだろう。
味わいの秀逸さは勿論だが、その佇まいにも目を奪われ、随所に時計に通ずる美意識を感じさせてくれるだろう。大切な相手へのギフトや、自身の特別な記念日を祝う美酒にもってこいだ。
店舗詳細
フランク ミュラー ジュネーブ
住所:東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 2F
TEL:03-3569-0660
営業時間:10:30~20:30
外川ゆい氏のプロフィール

フードジャーナリスト。つくり手のストーリーや思いを伝えることを信条に、レストラン、ホテル、スイーツ、お酒など、食にまつわる記事を執筆する。『クロノス日本版』巻頭連載IN THE LIFEにて「この世ならぬ美味のクリエイター」を担当。




