セイコーウオッチが機械式腕時計のメカニズムを体感できる展覧会「からくりの森」2026を東京・南青山のLIGHT BOX STUDIOで開催した。同展は腕時計の楽しさを育む活動「Seiko Seed」の一環である。会場ではクリエイター達がそれぞれの視点から多彩に解釈した、見て楽しめるインスタレーションが並ぶ。会期は11月23日までだ。

110年を超える機械式製造の歴史と「Seiko Seed」の歩み
セイコーウオッチは、時計の新しい魅力や価値を育む情報発信活動「Seiko Seed」の一環として、「からくりの森」2026を開催した。本展は、機械式腕時計の特性とムーブメントに込められた技術の可能性を伝える場として位置づけられている。同社は1913年に国産初の腕時計「ローレル」を完成させて以来、110年以上にわたって独自の機構開発を続けてきた。この取り組みは2022年秋の初開催から回を重ね、今回で5回目を迎える。

1階に集う外部クリエイターと自社デザイナーによる機構のアート表現
会場の1階フロアには、機械式腕時計の機構から着想を得た作品が並ぶ。そのひとつが、荒牧悠による「ムーブムーブメントメント」だ。文字盤から秒針にあたる部分を長く引き伸ばし、その先端に華奢なモチーフがあしらわれている。それがゆっくりと回転することで、純粋な物理的運動そのものを鑑賞させる作品に仕上がっている。

文字盤から長く引き伸ばされた秒針の先端には華奢なモチーフがあしらわれており、秒針の運行とともに12個のモチーフがゆっくりと優雅に回転する。
鈴木康洋が手掛けた作品は「時の花・時の模様」である。彼が着目したのは脱進機を構成するガンギ車だ。このパーツは軽量化と慣性低減を追求する過程で特有の造形となった。彼はその輪列部品を花に見立てた。作品は実際に時を刻む独立した機構として空間に佇む。

時計の速度を制御する特有の形状をしたガンギ車や、軽量化を突き詰めて生まれた歯車の機能美に着想を得たインスタレーションである。美しく広がる「花」のような姿を見せながら、実際には歯車として連動している。さらに、ムーブメントの微細なパーツで仕立てられた花の周囲を舞う昆虫たちも、極めて精緻に作り込まれている。
セイコーウオッチデザインセンターの合田貴子と浜田怜威による「時のダンス」は、自動巻きローターの巻き上げ原理を風力で再現した作品だ。それぞれ異なるポーズをとる3体の人形たちが、しなやかでありながら力強く舞う。

風を受けてローターが回転し、その動力が先端の人形たちへと伝わることで、生き生きとした舞いが立ち現れる。単に風に流されて回るのではなく、内部機構の力によって駆動していることを示すため、上半身と下半身は互いに逆方向へ旋回するよう設計されている。
2階でひもとかれるかれる機械式腕時計の内部構造と設計思想
階段を上がった2階フロアでは、機械式腕時計の内部構造に迫る展示が広がる。フロア中央に設置された大型の模型は、ハンドルを手で回すと連動して歯車が動き出し、エネルギーの伝達プロセスを直感的に理解できる仕掛けだ。

併せて活動の背景を伝える解説コーナーも設けられた。「Seiko Seed」の理念や「からくりの森」の歩みを紹介するパネルが並ぶ。セイコーウオッチデザインセンターの設計思想にも触れられている。愛好家にとっても機械式腕時計の神髄を構造面から再認識できる好機となるだろう。
機械式腕時計が紡ぎ出す小宇宙の魅力を体感しに、ぜひ行ってみてはいかがだろうか。
セイコーウオッチ「からくりの森」2026
会場:LIGHT BOX STUDIO
住所:東京都港区南青山5-16-7
Tel:03-5464-5628
期間:2026年10月30日(金)〜11月23日(月)
時間:11:00~20:00
入場料:無料
※入場は19:45 まで 会期中無休※



