世界的時計ジャーナリストSJXが選ぶ2020年新作時計 ベスト5

FEATURE本誌記事
2020.12.07
2020年12月発売1月号掲載

SJX

スー・ジャーシャン

SJXことスー・ジャーシャンは、watchesbysjx.comの創設者。1985年生まれ。12歳で時計に興味を持ち、ウェブサイトなどに寄稿。現在最も影響力のある時計ジャーナリストのひとりである。

2020年を通して最高の時計はフェルディナント・ベルトゥーだ
 2020年に良いと思った時計は5つある。まずはクロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーの「クロノメーター FB 2RE」。本作は、間違いなく2020年の最高の時計で、技術的な卓越性(複雑なムーブメントと洗練された設計)と、独立時計師と同等の卓越した仕上げの両方を兼ね備えている。FB 2REは明らかに、利益ではなく情熱によって推進されたプロジェクトの産物だ。2番目はパテック フィリップのグランドソヌリ 6301P。搭載するのはグランドマスター・チャイムのムーブメントを簡略化したものだが、デッドビートセコンドや3ゴングのカリヨンなど巧妙な設計を持つ。また、シリコン製のヒゲゼンマイといった最新のテクノロジーも搭載している。

 ベルナルド・レデラーの「セントラル インパルス クロノメーター」は、ブレゲ、ダニエルズ、それとデレク・プラットのアイデアに基づいて設計されたツインナチュラル脱進機を搭載するモデル。文字盤のデザインは言うほどではないが、これは本当に印象に残る成果だ。ペテルマン・ベダの「1967 デッドビートセコンド」は、ふたりの非常に若い時計職人による最初の作品。巧みに仕上げられた本作は、20世紀半ばのウォッチメイキングに大きな影響を受けている。そして最後は、S.U.F ヘルシンキの「サルパネヴァ×ムーミン」。魅力的で手頃な価格の時計だが、ケースは優れており、手仕上げの文字盤は、エントリーレベルの予算に適した「メティエダール」となっている。ムーミンのテーマに個人的な興味はないが、モチーフは魅力的だ。

世界的時計ジャーナリスト、ギズベルト・L・ブルーナーが選ぶ2020年新作時計 ベスト5
https://www.webchronos.net/features/56706


SJXが選ぶ2020年新作腕時計 BEST5

〈クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー〉 クロノメーター FB 2RE

確かにケースは分厚いが、ムーブメントは実に素晴らしいルモントワール・デガリテが備わり、多くのエレガントなディテールを備えた、構築的なレイアウトを持っている。少量生産と高品質を両立させたモデルだ。

クロノメーター FB 2RE

手巻き。18KエシカルWG。世界限定10本。予価2674万円。(問)ショパール ジャパン プレス TEL:03-5524-8922

〈S.U.F ヘルシンキ〉 サルパネヴァ×ムーミン “ブルーハンズ”

ヘルシンキ生まれの独立時計師、ステファン・サルパネヴァの手掛けるセカンドラインがS.U.Fヘルシンキだ。「魅力的で印象的で手頃な価格の時計であるムーミンエディションは、コストパフォーマンスに優れている」。

自動巻き。SS。63万5000円。 (問)小柳時計店 TEL:0744-22-3853

〈ペテルマン・ベダ〉 1967 デッドビートセコンド

セントラル インパルス クロノメーターの搭載するムーブメントは、ツインナチュラル脱進機という、すでに存在していた、複雑かつ伝統的なアイデアを組み合わせることで、真に心に残る、技術的な成果を挙げた。

1967 デッドビートセコンド

手巻き。18KYG。5万9800スイスフラン。(問)https://www.petermann-bedat.ch

〈ベルナルド・レデラー〉 セントラル インパルス クロノメーター

印象的なのは、毎年チューダーが時計のディテールを微妙に改良していることだ。このモデルは、ヴィンテージのコードを利用して理想的なモダンウォッチを作り上げた。ブレスレットも最高のもののひとつだ。

セントラル インパルス クロノメーター

手巻き。18KWG。12万8000スイスフラン。(問)https://www.ledererwatches.com

〈パテック フィリップ〉 グランドソヌリ 6301P

シリコン製のヒゲゼンマイやジャンピングセコンドを持つモダンな時計だが、パテック フィリップは、ムーブメントに少し伝統的な美学を与えた。より精巧な面取りを特徴とするエレガントな受けを採用している。

グランドソヌリ 6301P

手巻き。Pt。時価。(問)パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター TEL:03-3255-8109


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