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マイクロローターと複雑時計 / [マイクロローター新時代]コンプリケーションのプラットフォームとしてのマイクロローター(1/3)

薄型化への新たな挑戦

市場が薄型時計に目を向けるようになって以降、複雑なコンプリケーションを、厚いケースに収める従来の手法は、変化を強いられつつある。複雑な機能を薄いケースに収めて欲しいという市場の声は、かつては薄くて、ある程度の頑強さがあれば良かったマイクロローターに、コンプリケーションの土台としても使えるだけの基礎体力を求めるようになった。そんな新しいマイクロローターの好例が、ロジェ・デュブイとヴァン クリーフ&アーペルである。

吉江正倫、三田村優:写真
Photographs by Masanori Yoshie, Yu Mitamura
広田雅将、倉野路凡、鈴木幸也(本誌):文
Text by Masayuki Hirota, Rohan Kurao, Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)

PATEK PHILIPPE

永久カレンダーRef.5940
Cal.240 Qを搭載した最新モデル。文字盤に工夫を凝らす近年のパテック フィリップらしいベルベットシルバーの文字盤を持つ。かなり高価な時計だが、相応の価値はある。近年、ムーブメントの仕上げも改善された。18KWG(縦44.6×横37mm)。3気圧防水。883万円。問パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109

Cal.240 Q
古典的な永久カレンダーのいわば「基準機」。マイクロローター自動巻きを複雑時計のベースに使うというアイデアは、事実上このムーブメントに始まった。基本設計が優れている上、初出から30年以上経っているため、信頼性も極めて高い。自動巻き(直径27.5mm、厚さ3.88mm)。27石。パワーリザーブ約48時間。


 薄型ムーブメントをコンプリケーションのプラットフォームに使うのは定石である。事実、パテック フィリップは、1977年にリリースしたキャリバー240に、すぐに永久カレンダーモジュールを載せるようになった。90年代にマイクロローターで大きな成功を収めたショパールも、やはりさまざまなモジュールを、マイクロローター自動巻きの上に重ねた。

 ただし、マイクロローター自動巻きをコンプリケーション化するというアイデアがさほど普及しなかったのは、ローターと香箱がともに小さいマイクロローター自動巻きに、コンプリケーションを動かせるだけのトルクはない、と多くのメーカーが考えていたためである。しかも、コンプリケーションを載せたがるような老舗は総じて保守的な設計を好み、つまりはトルクのマージンを過剰に取りたがったのだ。

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