ジン(SINN)「356.SA.FLIEGER.Ⅲ」/ 編集部の気ままにインプレッション

FEATUREインプレッション
2020.01.22

搭載するのは自動巻きのSW500。ETA7750の代替機として多くのブランドが使用する。仕上げなどの有無によってグレードがあり、こちらはグリシデュール製テンプを使用し、地板にペルラージュ仕上げなどを施したトップグレードだ。

ジン「356.SA.FLIEGER.Ⅲ」
自動巻き(Cal.SW500)。25石。2万8800振動/時。約46時間のパワーリザーブ。耐衝撃性DIN(ドイツ工業規格)8308。耐磁性DIN8309。SS(直径38.5㎜、厚さ15㎜)。10気圧防水。37万円(5連ブレス仕様は42万円)。価格はすべて税別。

 このモデルのハイライトのひとつは、曲面サファイアクリスタルである。5種類の異なる曲率半径を持つドーム型であり、特別工具を使用して厚さ5㎜のソリッドガラスを丁寧に研磨することで完成する。外観に古典的な様相を加えるだけでなく、フラットなクリスタルに比べると耐久性が高く、弾力性にも富む。もちろん、無反射コーティングが両面に施されているため、暗所での視認性も抜群だ。

 裏蓋に目を転じてみよう。サファイアクリスタルごしに搭載するSW500を鑑賞することができる。個人的には、ETA7750やSW500クラスの汎用ムーブメントをサファイアクリスタルで見せる必要はないと思うのだが、このモデルに搭載されているSW500は青色のネジを使い、テンプは温度変化に強いグリシデュール製。いわゆる〝トップ〟グレードを採用しているため、トランスパレントで白日のもとにさらしたいと考えるブランドの考え方にも納得ができる。

 もともと356は手巻きのクロノグラフとして日本限定で発表され、瞬く間に完売となったシリーズだ。つまり、手首の細い日本人との親和性が非常に高いということがいえる。昨年にはコスメティックチェンジを与えられた伊勢丹新宿店限定モデルがリリースされたことも記憶に新しいし、356の自動巻きモデルは日本でのヒットを受けて商品化された経緯もある。デビューから20年以上経っても根強い人気を誇る356は、カタログから姿を消してもらいたくないし、できうるならば、38.5㎜というサイズを堅持し続けて欲しいと思ったのが、着用後の偽らざる心境である。

 

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