現在開催中の「EXPO 2025 大阪・関西万博」内イベントで「マツケンサンバⅡ」を華やかに披露した松平健。世界中の人々が集う万博の野外特設ステージを、キャッチーなリズムと共に盛り上げ、現在71歳の松平健のイケオジっぷりに老若男女が酔いしれた。そんな“上様”こと松平健は、昭和〜平成〜令和を第一線で駆け抜ける紛れもない大スターだ。今回は、上様が自身のユーチューブチャンネルで着用した腕時計にフォーカスする。
Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集
Edited by Takashi Tsuchida
[2025年8月17日掲載記事]
万博で「マツケンサンバ」が大好評。6000人超えがビバ! サンバ!
大阪・関西万博の「大阪ウィーク〜夏〜」と題されたイベントのオープニングとして、7月25日に「マツケンサンバ@EXPO2025」が開催された。吉本興業所属の芸人で伝統河内音頭継承者、音頭取りでもある河内家菊水丸による「松づくし〜マツケンサンバ誕生秘話音頭〜」から始まり、吉村洋文大阪府知事、横山英幸大阪市長が浴衣姿で登場。その後、白い衣装に身を包んだ松平健が「暴れん坊将軍」の曲に合わせてステージから登場すると、会場は大歓声に包まれた。
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📍大阪ウィーク~夏~オープニングイベント マツケンサンバ #EXPO2025EXPO アリーナ「Matsuri」にて開催🎉#松平健 さんが #マツケンサンバII を披露し
会場は大盛り上がり!🎤
華やかなステージに、観客の熱気も最高潮でした👘🎉 pic.twitter.com/AcZbDNlvWV— Expo2025 大阪・関西万博 (@expo2025_japan) July 26, 2025
まずは「マツケンサンバⅡ」の盆踊りバージョン「マツケンサンバⅡ盆踊り」が演奏され、府知事らによるクロストークの後、金色に輝く衣装に着替えて、いよいよ「マツケンサンバⅡ」を披露。公式キャラクターミャクミャクも登場して一緒に踊る動画が万博公式SNS経由で配信、会場の熱気が世界に共有されていった。
万博以外でも、マツケンサンバの人気は健在だ。2025年7月30日には東京ベイコート俱楽部で『マツケンサンバのハッピーまちがいさがし2 昭和タイムスリップ編』(幻冬舎刊)の発表会見が開催。知られざるマツケンサンバの世界に密着した写真の中から間違いを見つけるこの書籍は、一人で楽しむことはもちろん、家族や友人とも盛り上がることができ、解けば解くほど元気に脳も冴えてくる実用書だ。
マツケンサンバ誕生から大ブレイクまでの軌跡
多くの人が耳にしたことがある2004年にリリースされた「マツケンサンバⅡ」だが、“Ⅱ”というからには“Ⅰ”が存在する。マツケンサンバ誕生の経緯は、松平健のエンタメ精神なしに語ることはできない。
第1部が芝居、第2部が歌と踊りのショーになっている松平健のワンマンショー。当初は洋装でタップダンスやピアノ演奏を披露していたが、次第に、着物のレビューショーへと変化し、最後に華やかな曲で盛り上げる構成に進化していった。ここから「松健音頭」「マツケン小唄」「マツケンマンボ」と次々に新しい曲が誕生、曲のテンポもだんだんと速くなっていき、それならばラテン曲をやってみようと1992年頃に作られたのが「マツケンサンバⅠ」だった。これがファンの間で好評だったため、Ⅱが生まれたのだ。
スパンコールのド派手な着物で、腰元ダンサーズを従え歌って踊る姿は、時代劇スターとして松平健を知る人々にとって、さぞかし衝撃的だっただろう。その斬新なスパンコールで覆われた着物というアイディアも、松平健自身が提案したという。最初のブームから20年以上が経った現在でも「マツケンサンバⅡ」がきっかけで、「暴れん坊将軍」を視聴したり、舞台に来るファンが増えていることを、本人も嬉しく感じているそうだ。
そんな松平健は常に観客目線、ファン目線でもの事を捉えることを忘れない。YouTubeチャンネル「マツケンTube」の動画においても、その姿勢が如実に表れている。
コラボカフェの“本気監修”で真摯な姿勢を見せる松平健
チャンネル登録者数21万人を超える「マツケンTube」の中に、2023年に東京・名古屋・大阪において期間限定でオープンした「マツケンカフェ」のメニュー試食会の様子がまとめられた動画がある。タイトルに“本気監修”とあるだけあり、時には仕上がりに難色を示しながらも的確なアドバイスを行う松平健の眼差しは真剣そのものだ。
通常、こうした企画は本人があまり関わっていない場合もあると言われるが、松平健の場合は違う。器の色にまでこだわり、ファンを楽しませよう、満足してもらおうという気持ちが溢れ出ている。ファンからも「上様の意見でビジュアルがどんどん良くなる…さすが本気監修!」「思ってた以上に健さんが意見を沢山出されて完成したメニューなんだと感じました。カフェ、満員御礼おめでとうございます!」「上様、真剣に向き合ってくれているのもすごいし、指摘が的確でセンスが素晴らしい」といったコメントが寄せられている。
上様の着用モデルはグランドセイコー「SBGC244」か?
動画内で松平健が着用しているのはグランドセイコー「SBGC244」、もしくは素材、カラーバリエーションの「SBGC242」と思われる。日本を代表する高級時計ブランドであるグランドセイコーの誕生は1960年。1953年生まれの松平健の人生と重なる歴史を持つ。

自動巻きスプリングドライブ(Cal.9R86)。50石。パワーリザーブ約72時間。18KPG×SSケース(直径43.8mm、厚さ16.1mm)。10気圧防水。258万5000円(税込み)。販売終了。
SBGC244はステンレススティールをベースに、18Kピンクゴールドとセラミックスを合わせた、知的で華やかな印象を持つモデルだ。特徴的な多角形のピンクゴールドベゼルは、インデックスの延長線上に12カ所の頂点が配された12角形となっており、あらゆる角度から時刻を判読しやすく、多様な光の表情を楽しむことができる。ベゼルには優れた耐傷性を持つセラミックスが採用され、腕時計本来の審美性を末長く保つことができるのも特徴だ。またプッシュボタンは、従来からの心地良いクリック感を引き継ぎながら、サイズダウンを図ることで装着性が向上している。
搭載するムーブメントは約72時間のパワーリザーブを備える自動巻きスプリングドライブCal.9R86である。平均月差±15秒の高精度で稼働し、秒針は流れるようなスイープ運針で、スポーティでありながらエレガントな雰囲気を醸している。年齢を重ねても活動的で上品さを忘れない松平健が本作を選んだことにも納得だ。
マツケンサンバで見せるユーモラスな表情とは異なり、普段は紳士的でエレガントな松平健。その様子は上記の動画からも伝わってくる。話し方の所作が落ち着いていて、まさにスターの振る舞いだ。そんな松平健に、グランドセイコーが持つ品性の高さが重なって見える。時代を超えて愛され続ける上様と、日本の時計製造技術の粋を集めた名機。両者の出合いは、まさに必然だったのかもしれない。