平均年齢69歳ながら、延べ動員数75万人にものぼる全国ツアーを大成功に導いたサザンオールスターズ。デビューから47年が経過した今年も精力的なパフォーマンスを見せる同バンドのバンドマスター・桑田佳祐が愛用するのは、ロレックスの名作「バブルバック」とIWCの知的な“バブルバック”だ。時計選びにも光るセンスが、時代を先読みするアーティストの偉大さを物語っている。
Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集
Edited by Takashi Tsuchida
[2025年8月31日掲載記事]
大盛況を収めた全国ツアー「THANK YOU SO MUCH」
2025年3月に最新アルバム「THANK YOU SO MUCH」を発表したサザンオールスターズ。同名で開催された全国ツアーは、全13会場26公演で、会場約60万人、ライブビューイング約15万人、合計約75万人にものぼる動員数となった。 まずは1月11日に開催された金沢公演を皮切りに、広島、神戸、埼玉、宮城、香川、沖縄、神奈川とアリーナ公演が行われ、4月以降は福岡、名古屋、札幌、大阪、東京での5大ドームツアーへと展開。ファンクラブに入っていてもチケット入手は困難と噂されるほどで、実際に機材開放席すら即完する状況だった。
5大ドーム公演を行ったバンドとして、その最年長記録を更新。メンバーの平均年齢は2025年現在で69歳となっているが、その年齢を感じさせないパワフルなパフォーマンスで観客を魅了し続けた。 最初の「サザンオールスターズ」は、青山学院大学のフォークソング同好会で1975年に誕生。「最初」と形容したのは、彼らは次々にバンド名を変えていったからだ。当時、逆立てた髪にサングラス姿の桑田佳祐、胸の辺りまで伸びた髪の関口和之(ベース)の姿を見た原由子は「近寄らないようにしましょうね」と学友と話していたが、結局、原由子はバンドの一員となり、バンド名は最終的に「サザンオールスターズ」となった。これは友人が風呂の中で思いついたものだった。
1978年6月、ラテンタッチの演奏に、ハチャメチャなヴォーカルを載せたシングル「勝手にシンドバッド」でメジャーデビュー。1979年にはのちにR&Bの大御所レイ・チャールズがカバーし、世界中に美しいメロディラインが知られることとなった「いとしのエリー」が大ヒット。その後も記憶に残る作品を生み続け、日本を代表するロックグループとなっていったことは多くの方々の知るところだろう。
桑田佳祐の人柄とファンへの姿勢
桑田佳祐は、音楽的な実績に加え、メンバーやスタッフ、ファンに対する気遣いの人柄でも知られている。2008年の活動休止時にも「メンバーあってのサザン」と語るなど、常に仲間を大切にしてきた。パフォーマンスにはユーモアや挑発的な要素も多いが、その根底には“ラブ&ピース”の精神が流れており、幅広い層の支持を集めている。
2000年夏に実現した地元・茅ヶ崎での野外コンサートや、その時期にキャンペーンソングとして起用された「HOTEL PACIFIC」のエピソードは、ファンの記憶にも鮮やかに残っている。
長年愛用するロレックス“バブルバック”
そんな桑田佳祐が長年愛用している時計は、ロレックスの「オイスター パーペチュアル」の初期型モデル、通称“バブルバック”のようだ。“バブルバック”という愛称は、自動巻きローターを収納するためにケースバックが大きな泡のように膨らんでいることから名付けられた。また、竜頭まわりのケース部分がやや張り出した形状も特徴的だ。
#air_g「Start me up!」⛅️@AIRG_FM @AIRG_Startmeup #スタミア #桑田佳祐 が生出演させていただきました☺️🌟
パーソナリティの猪飼雄一さん、特別DJ北川久仁子さん、そしてAIR-G'パーソナリティのトッティーこと戸田耕陽さんも一緒に📸💓
北海道の皆さん、AIR-G'… pic.twitter.com/9lPr42QJGq
— サザンオールスターズ official (@sasfannet) May 12, 2025
ロレックスがバブルバックを製造していたのは1930年代から1950年代半ばまでのこと。1956年生まれの桑田佳祐が長年愛用するロレックスが、自身と同年代以上のヴィンテージであることが味わい深い。
KUWATA CUP 2019
〜みんなのボウリング大会 〜
【決勝大会】
ヒカリエホール 特設レーン
〈プロボウラー部門 女子〉優勝決定戦
中野麻理子 264 [優勝]
坂本かや 227[第2位]3位決定戦
中野麻理子 235
浅田梨奈 224[第3位]㊗️おめでとうございます㊗️#KUWATACUP#決勝大会#桑田佳祐 pic.twitter.com/E8gZ17giAX
— KUWATA CUP 公式 (@KUWATA_CUP) February 11, 2019
同モデルは2008年、「ロッキング・オン」のウェブサイトに掲載された画像でも着用が確認できたほか、桑田佳祐が主催するボウリングイベントでも度々、腕にしている。その独特なフォルムは、桑田佳祐の個性とも相まってとても印象的だ。
「悲しきプロボウラー」で見せたIWCの粋な選択
2019年から2023年にかけて桑田佳祐が旗振り役となり全国47都道府県で行われていたボウリング大会「KUWATA CUP」。学生時代はプロボウラーを目指した時期があったほどボウリングファンである桑田佳祐は、これまで3度、パーフェクト(300点)を達成するなど、腕前も相当なものだ。
その「KUWATA CUP」公式Xに投稿された「悲しきプロボウラー」のリリースを知らせる画像では、IWC「ダ・ヴィンチ・オートマティック 36」が存在感を放っていた。 「KUWATA CUP」公式Xに2019年12月に投稿された「悲しきプロボウラー」のイメージ画像。桑田佳祐の左腕に確認できるのが、IWC「ダ・ヴィンチ・オートマティック 36」である。
レオナルド・ダ・ヴィンチの発明家精神にインスパイアされたコレクションで、IWCのコレクションの中でもエレガントで知的な雰囲気が強い。特筆すべきは、桑田がケース径36mmという絶妙なサイズをチョイスしていることだ。現在の時計界は小径モデルへの回帰が顕著に見られるが、2020年の時点でこのサイズを選択した先見性は、見事と言うほかない。
ボウリングのリプロデュースという目的から懐古感を演出する小径モデルを選んだという線も推察できるが、時代感覚を的確に捉える表現の鋭さを改めて感じさせる。つまり、桑田佳祐の感性の鋭さは、音楽だけでなく時計選びにおいても発揮されているのだ。

自動巻き(Cal.35111)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径36mm、厚さ9.9mm)。3気圧防水。販売終了。
ロレックスのバブルバックという自身と同世代以上のヴィンテージウォッチを日常使いし、楽曲のプロモーションやイベント企画に合わせてIWCのモダンクラシックモデルを選ぶ。そのTPOに応じた時計使いは、47年間にわたって日本の音楽シーンの最前線を走り続けてきた桑田佳祐ならでは、と言えるだろう。
アナログレコードがデジタル配信と共存するように、クラシックとモダンを自在に使い分ける桑田佳祐の姿勢は、時代に流されることなく“自分らしさ”を貫くブレない感性を印象付ける。
2028年に迎えるメジャーデビュー50周年に向けて、桑田佳祐がメンバーと共に生み出す新たな楽曲、そして腕元の時計が引き続き楽しみだ。きっと彼の傍には、常に納得の一本が寄り添っていることだろう。