サブマリーナー? シードゥエラー? ロレックスのダイバーズウォッチにはどんな種類があるの?

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2025.10.10

ロレックスは時計業界でいち早くねじ込み式の裏蓋とリュウズを採用し、現在では「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」を筆頭に、信頼性の高いダイバーズウォッチを多数輩出してきたブランドである。本記事ではそのダイバーズウォッチの現行コレクションにどのような種類があるのか、代表的なモデルとともに解説する。

ロレックス サブマリーナー グリーンサブ

新居賢人:文
Text by Kento Nii
[2025年10月10日公開記事]


ロレックスのダイバーズウォッチの種類を解説!

 ロレックスは1953年、プロユースの需要、そしてスキューバダイビングが一般に普及し始めた時代背景にも応える形で、「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」を発表した。本作は100mの防水性能を備えた世界初のダイバーズウォッチのひとつとして、後に続く多くのツールウォッチの礎を築くこととなった。

 このサブマリーナーは、回転ベゼルや高い判読性を誇るダイアルレイアウトを持つだけでなく、二重の密閉構造を持つ「ツインロックリュウズ」の採用により、当時としては画期的な防水性能を実現していた。そして、その後も三重密閉構造の「トリプロックリュウズ」の開発などを経て、300m防水を達成するなど、その性能は着実な進化を遂げていった。

 また、サブマリーナーのスペックアップと並行して、逆回転防止ベゼルや高い判読性を引き継ぎつつ、潜水ツールとしての性能を高めた上位モデルも誕生し、ロレックスの防水技術はより先鋭化。2022年には、地球上の海洋の最深部にも到達し得る、1万1000m防水を有するコレクションを一般モデルとしてリリースするまでに至っている。さらに近年では、各コレクションでケース素材、カラーリングのバリエーションを多彩に展開し、プロユースに限らない幅広いニーズへの対応を可能としている。

 以下より、そんなロレックスのダイバーズウォッチの原点であるサブマリーナーに加え、「オイスター パーペチュアル シードゥエラー」および「オイスター パーペチュアル ロレックス ディープシー」の2種を詳しく紹介する。

 なお、現行のロレックスのダイバーズウォッチは、共通して自社製ムーブメント、Cal.3235(ノンデイトモデルはCal.3230)を搭載している。ケーシング状態での優れた精度と、約70時間のパワーリザーブを兼ね備えるほか、各種ツールウォッチには欠かせない、優れた耐衝撃性と耐磁性をも実現したムーブメントである。

「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」

 1953年に発表されたサブマリーナーは、その後のダイバーズウォッチの礎となったコレクションだ。現行モデルは300m防水を有しており、後述するコレクションと共通する、耐傷性と耐紫外線性に優れるセラクロムベゼルインサートや、高い視認性を確保する夜光塗料であるクロマライトディスプレイなどを標準装備している。

 そのデザインは、初代モデルから大きく変わることなく、幾度とないアップグレードが施されており、実用性を重んじる一方で、洗練された印象も与える。また、カラーリングの選択肢も豊富であり、ビジネス、プライベートシーンを問わず着用できるダイバーズウォッチと言える。

 ラインナップは、初代モデルと同様の日付表示を持たないモデルと、日付表示付きの「サブマリーナー デイト」が展開されている。現行では、オイスタースチールモデルを基本とし、デイトモデルに限り18Kイエローゴールドとオイスタースチールを組み合わせたイエローロレゾールや、18Kイエローゴールド、18Kホワイトゴールドの金無垢モデルが登場している。

ロレックス サブマリーナー

ロレックス「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」Ref.124060
自動巻き(Cal.3230)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径41mm)。300m防水。

 このノンデイトモデルは、ブラックダイアルと同色のセラクロムベゼルインサートを組み合わせたベーシックな1本だ。2020年に発表された現行機は、ケース直径が従来の40mmから41mmへと大型化された一方で、ラグはよりスリムになり、ブレスレット幅も広げられるなど、全体のバランスが再設計されている。ツールウォッチとしての機能美とスタイリッシュさが両立されたものだと言える。

ロレックス サブマリーナー グリーンサブ

ロレックス「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」Ref.126610LV
自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径41mm)。300m防水。

 同じく41mmのオイスタースチール製ケースを採用したサブマリーナー デイトの現行モデル。風防の3時位置には、日付を拡大表示するサイクロップレンズを備えている。ブラックダイアルとグリーンのセラクロムベゼルインサートの組み合わせは、コレクション誕生から50周年を迎えた2003年が初出であり、以来、高い人気を集めている。

「オイスター パーペチュアル シードゥエラー」

 1960年代により深く長時間の潜水を可能とする飽和潜水が実用化されると、ロレックスはこれに対応するダイバーズウォッチとして、1967年に「オイスター パーペチュアル シードゥエラー」を発表した。本コレクションの大きな特徴が、ヘリウム排出バルブの搭載である。この機能は、飽和潜水時に時計内部に侵入するヘリウム分子を、減圧過程で自動的にケース外へ排出する機構で、減圧の際に内部のヘリウムが膨張し、風防が破裂、損傷するのを防ぐことができる。

 防水性能は、1967年の誕生当初から610m防水を有しており、1978年にはフランスの潜水専門会社コメックス社との協力関係のもと、現行モデルと同じ1220m防水にまで強化されている。現在は直径43mm径ケースのモデルとなっており、オイスタースチール製モデルに加えて、18Kイエローゴールドを使用したロレゾールモデルが用意されている。

ロレックス オイスター パーペチュアル シードゥエラー

ロレックス「オイスター パーペチュアル シードゥエラー」Ref.126603
自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS×18KYGケース(直径43mm)。1220m防水。

 2019年に発表された、コレクション初のイエローロレゾールモデルが本作だ。ベゼル、リュウズ、ブレスレットの中央リンクに18Kイエローゴールドが使用されたほか、針、インデックスがイエローゴールドで縁取りされ、ブラックダイアルに記された「SEA-DWELLER」の名称もイエローゴールドカラーで記されている。ツールウォッチの魅力を残しつつ、エレガントな側面が与えられた1本である。

「オイスター パーペチュアル ディープシー」

 2008年に発表された「オイスター パーペチュアル ディープシー」は、現行のロレックスのダイバーズウォッチにおけるハイエンドラインである。その防水性の要となるのが、2008年に発表された特許取得のケース構造・リングロックシステムだ。これは、厚いドーム型サファイアクリスタル、窒素合金スチール製の耐圧リング、RLXチタン製の裏蓋という3つの要素で構成される堅牢な構造であり、その採用によって3900m防水という圧倒的なタフネスを達成している。

 さらに2022年には、水深1万1000mでの水圧にも耐える「ディープシー チャレンジ」も登場し、一般ユーザー向けに販売される腕時計として、最高峰の防水性を実現している。現行のラインナップは、ディープシーにオイスタースチール、18Kイエローゴールドと、2種のケースバリエーションがそろい、ディープシー チャレンジには、RLXチタン製ケースモデルが存在している。

ロレックス ディープシー

ロレックス「オイスター パーペチュアル ディープシー」Ref.136668LB
自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KYGケース(直径44mm)。3900m防水。

 2024年に発表された、コレクション初となる18Kイエローゴールドの無垢モデル。ケース直径は44mmで、ずっしりとしたゴールドの重量感とともに、圧倒的な存在感を放つ。ダイアルとセラクロムベゼルインサートは、鮮やかなブルーカラーで彩られ、輝きを放つケースとのコントラストが際立っている。なお本作では、リングロックシステムを構成する耐圧リングに、窒素合金スチールに代わってブルーセラミックスが使用されており、一体感のある表情が追求されている。

ロレックス ディープシーチャレンジ

ロレックス「オイスター パーペチュアル ディープシー チャレンジ」Ref.126067
自動巻き(Cal.3230)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。RLXチタンケース(直径50mm)。1万1000m防水。

 2012年のジェームズ・キャメロンのマリアナ海溝潜航に同行した、同名のプロトタイプモデルをインスピレーション源とするモデル。1万1000m防水という破格の性能を実現するため、厚さ9.5mmのドーム型サファイアクリスタルを有する、直径50mm、厚み23.3mmの巨大なケースを採用するが、その素材にRLXチタンを用いることで、卓越した性能と良好な着用感の両立を図っている。オーバースペックというロマンの観点では、随一の魅力を持つ1本と言える。


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