タイメックスの「ウィークエンダー」がリニューアルされ、直径37mmケースが登場したとのこと。これまでは40mmおよび38mmの展開だったので、同シリーズでは最小というわけだ。実際のサイズ感、その着用感やいかに。夏を惜しみつつ、オフのあらゆるシチュエーションで試してみた。

Photographs & Text by Tomoshige Kase
[2025年9月2日公開記事]
食わず嫌いだった真鍮ケース
2011年の登場以来多くのファンに支持され、今やタイメックスのアイコンのひとつとなっている「ウィークエンダー」。むろん製品としての完成度に疑問を挟む余地はない。だが個人的には、その最大の特徴である真鍮製のケースが苦手だったのだ。
ツヤ出し仕上げをした厚みのあるケースが、手元で悪目立ちしてしまうのでは……と勝手に思い込んでいたのである。そんなわけで長い間ウィークエンダーとは距離を置き、レジンケースの「キャンパー」を贔屓にしていた。

クォーツ。真鍮×SSケース(直径37mm、厚さ9mm)。50m防水。1万6500円(税込み)。
ところが今回この直径37mmモデルを着用して、自分の不明を恥じることになった。食わず嫌いだったこの真鍮ケースこそが、カジュアルな中に大人らしさを演出してくれる最大のポイントだったのだ。品が良く都会的。それでいてアウトドアにもマッチする適度な武骨さがある。
この時計、実は逸品じゃないか。
浅はかな私ではあるが、非はちゃんと認める。1カ月にわたりこの「ウィークエンダー 37mm」を借用し、オフの相棒としてさまざまなシーンに連れ出すことにした。この時計を、徹底的に楽しもうと思ったのである。
海に良し、山に良し、川に良し
ウィークエンダーのもうひとつの特徴は、ベルトである。その日の服装や気分によって簡単に取り外しできるリボンベルトを採用。さっそく付け替えることにする。
アメカジっぽくカーキのベルトにするか。ポップに赤いベルトを合わせるか。シンプルな黒文字盤だからたいていのベルトは合うはずだ。結局、黒地に水色のライン入りをチョイスした。
自画自賛だが、夏の海、夏の空といい感じにマッチしている。ベルトを替えるというのは実に些細なこと。でもその些細なことが、旅の気分を大いに盛り上げてくれるのだ。
海の次は山である。キャンプ&登山を楽しむために山梨県の北杜市へ。これまでアウトドア遊びにはキャンパーを相棒にしてきたが、さてウィークエンダーの塩梅はどうか。
結論から言えばまったく問題なし。邪魔にならないサイズ感、日中および暗所での視認性の良さ、安心の防水性能と、アウトドアシーンにおいて存分にその実力を発揮してくれたのである。

例えばキャンプ場。自然の、屋外の夜というのは、ランタンを点けても焚き火を焚いても暗いものである。ウィークエンダーは文字盤が発光する「Indiglo®(インディグロ)ナイトライト」機能を搭載し、抜群の視認性を確保。「こんなに見える?」と驚くほど、はっきりと時刻が読み取れた。
日中の視認性も◎。直射日光のもとでも木漏れ日の中でも、文字盤への映り込みは少なかったように思う。また50m防水を備えており、炊事や洗いもの、川遊びの際にも安心であった。

海、山、川と、あらゆるシチュエーションで活躍してくれたウィークエンダー 37mm。私のようなキャンパー信奉者にこそ、ぜひウィークエンダーを一度試してもらいたい。時計を替えるだけで、いつものアウトドア遊びがぐっと新鮮に感じられる。不思議なものである。
変更点はサイズだけじゃない
本作の最大の特徴は37mmというケース径だが、実はそのほかにも、いくつかのリニューアルポイントがある。
発売から13年目にして、初めてモデル名の“WEEKENDER”を文字盤に記載。ブランド名の下に小文字であしらわれている。またブランド名やインデックスの数字も、モダンな印象のフォントに変更された。

3時位置には拡大窓を備えた日付表示を追加。時分針のシェイプも一新し、針には蓄光素材が塗布され、暗所での視認性も向上している。
サイズもデザインもよりスマートに生まれ変わった「ウィークエンダー 37mm」。オフの相棒として、自信を持っておすすめしたい1本である。