カシオが2025年に発売した「G-SHOCK」と「オシアナス」の新作群の中から、筆者が選ぶ「本当に欲しい5本」を紹介する。多岐にわたるラインナップの中から、最上位ライン「MR-G」に加わった新色モデルや、クラシカルなルックスが与えられた「オシアナス マンタ」、先端技術が光る「MT-G」の新顔など、特に注目のコレクションを選出した。
Text by Kento Nii
[2025年9月9日公開記事]
これは欲しい! G-SHOCK、オシアナスの注目モデル5選
2024年で腕時計事業への参入から50周年を迎えたカシオ。続く2025年にも、同社が擁する多彩なブランドから多くの新作モデルをリリースしている。中でも、「エディフィス」より登場したブランド初となる機械式腕時計や、“オリジン”のフォルムを持つ「MR-G」を伝統的な鍛金技法で飾った限定モデルなどは、話題性があるだけでなく、カシオの次なる挑戦を感じさせるものとなっている。
本稿ではそれらの充実した新作の中から、G-SHOCK、オシアナスに焦点を当て、筆者が特に欲しいと感じた5本を紹介していく。
G-SHOCK「MR-G」Ref.MRG-BF1000RG-3AJR
G-SHOCKの最上位ラインMR-Gからは、ISO規格200m潜水用防水を誇るダイバーズウォッチ「フロッグマン」をベースとした「MRG-BF1000」の新色、Ref.MRG-BF1000RG-3AJRを選出した。

タフソーラー。フル充電時約29カ月駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(縦56×横49.7mm、厚さ18.6mm)。200m防水。57万2000円(税込み)。
本作のデザインモチーフは、世界最大のカエルである“ゴライアスガエル”である。ダイアルには、蓄光塗料が施されたベージュのインデックスとオレンジの針が配置されており、ツールウォッチさながらのストイックな表情を演出。さらに、カエルの体色を思わせるカーキカラーのラバーストラップとの組み合わせが、オトコの冒険心をくすぐる。
チタン製ケースは、70を超える細かなパーツで構成される。これは、フロッグマンの象徴的な左右非対称のフォルムを再現しつつ、細部に至るまで丹念な研磨を施すための構造だ。さらに、各パーツの間には緩衝材や気密性を保つOリングを緻密に組み込むことで、美観と優れた堅牢性を両立している。
機能も多彩であり、潜水時間と水面休息時間を記録するダイブモードや、潮汐と時刻を同時に把握できるタイドグラフモードなどを備える。加えて、裏蓋の中央部にはサファイアクリスタルが圧入されており、内蔵アンテナの電波受信感度を妨げない工夫も行われている。このサファイアクリスタルにはグリーンの蒸着が施されており、フロッグマンのアイコンであるカエルのキャラクターを見ることができる。
本作は、ガジェットとしての魅力とアーバンスタイルに映えるデザイン性を併せ持つ1本である。ダイビングの趣味がなくとも、そのミリタリー調のルックスから、ファッションの“外し”としてもぜひ選びたい。
オシアナス「OCW-S7000RA-5A」
“Elegance, Technology”を標榜するスリムウォッチライン「オシアナス」からは、クラシカルな佇まいの新シリーズ「レトロトーンコレクション」が登場している。これに属するRef.OCW-S7000RA-5Aは、世界限定1200本のクロノグラフモデルである。

タフソーラー。フル充電時約19カ月駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(直径42.8mm、厚さ9.5mm)。10気圧防水。世界限定1200本。21万4500円(税込み)。
本作のダイアルは、縦三つ目のレイアウトを持つ。カラーリングは、シルバー蒸着とカラー塗装、グラデーションパターンを組み合わせることで、深みのあるブラウンの色合いを演出。その表面は新開発の金型によってハーフマット調に仕上げられており、ソーラー発電に必要な光をモジュールへ透過させつつ、落ち着いた雰囲気となっている。
加えて、「OCW-S7000」シリーズに共通するサファイアクリスタルベゼルもまた、表面にレーザー加工を施すことでハーフマット調に仕上げられている。さらに、ブレスレットの中駒が従来とは異なるヘアライン仕上げに変更されるなど、腕時計全体で輝きが抑えられ、統一感のあるタイムレスな表情が構築されている。
チタンカーバイト処理が施されたケースは厚さ9.5mm、重量83gとスリムかつ軽やかだ。電波受信やワールドタイムといった多機能性を備えており、日常のあらゆるシーンで活躍が期待できる。その端正かつ落ち着いた佇まいは、カジュアルファッションはもちろん、ジャケットスタイルにも違和感なく馴染み、ビジネスシーンでも洒脱な個性を演出してくれるだろう。
G-SHOCK「MT-G」Ref.MTG-B4000-1AJF
樹脂とメタルを融合した「MT-G」シリーズからは、Ref.MTG-B4000-1AJFをセレクト。G-SHOCKのレギュラーモデルとして、初めて開発工程にAIを導入した画期的な1本だ。

タフソーラー。フル充電時約18カ月駆動(パワーセーブ時)SS×カーボンファイバー強化樹脂ケース(縦56.6×横45.3mm、厚さ14.4mm)。20気圧防水。16万5000円(税込み)。
本作の開発では、AIがG-SHOCKで積み上げられてきた耐衝撃データに基づき荷重シミュレーションを行い、強度や加工性を考慮した最適な構造を算出。これを人間のデザイナーが検証・改良を重ねる手法が取られた。こうして生まれたフレームは、G-SHOCKの力強さとAIならではの独創的な造形美を両立している。
また、このフレームはカーボンとステンレススティールを融合させたもので、バンド接続部を一体化させる新構造によって、センターケースへの衝撃を緩和し、より高い耐衝撃性能を実現している。ケースサイドからのぞくカーボンの積層模様もユニークで、2体構造のステンレススティール製ベゼルに施された縦横のヘアライン仕上げが、力強い印象をさらに際立たせる。
機能面では、「MULTIBAND6」やBluetoothによるモバイルリンク機能、タフソーラーなどを網羅する。AIという先端技術を取り入れた本作は、カシオの新たな時計製造を体感できる点でも魅力的と言える。
G-SHOCK「MT-G」Ref.MTG-B2000YBD-2AJF
同じくMT-Gの「MTG-B2000」シリーズからは、Ref.MTG-B2000YBD-2AJFを挙げる。メタルと樹脂の組み合わせでモジュールを強固に保護する「デュアルコアガード構造」や、良好な装着感と金属の質感を両立する「レイヤーコンポジットバンド」といった、MT-Gならではの先進技術を採用する定番シリーズの最新カラーモデルだ。
タフソーラー。フル充電時約29カ月駆動(パワーセーブ時)。SS×カーボンファイバー強化樹脂ケース(縦55.1×横49.8mm、厚さ15.9mm)。20気圧防水。18万1500円(税込み)。
ケースはブラックを基調としており、シリーズに共通する12角形のベゼルにはブルーグレーIPを採用。同色に仕上げられたプッシャー、リュウズとの組み合わせがクールなバイカラーを演出している。
ベゼルフレームには、カーボンファイバーとブルーグラスファイバーシートを積層した素材が使用され、サイドに浮かぶブラックとブルーのストライプがデザインのアクセントとなっている。また、ケースの要所にカーボンシートが巻き付けられており、ほのかな格子模様を見せるだけでなく、耐久性がいっそう高められた。
機能面では、Bluetooth通信機能により専用アプリと連携し、時刻情報を取得可能。MULTIBAND6、タフソーラーなども備えている。汎用性の高いカラーリングや多機能性に加え、アンダー20万円という価格帯から、上記のMTG-B4000と並んで、G-SHOCKの高級ラインの第一歩に好適なモデルと言える。
G-SHOCK「FINE METALLIC SERIES」Ref.GM-2100YMG-9AJF
G-SHOCKの上位ラインだけでなく、10万円以下のレンジにも魅力的な新作は多く登場している。中でも目を引くのが、新コンセプトシリーズ「FINE METALLIC SERIES」だ。新開発の「タフシリコーンバンド」を採用した、フルメタリック調の外観を特徴とするG-SHOCKである。

クォーツ。SS×樹脂ケース(縦49.3×横44.4mm、厚さ11.8mm)。20気圧防水。4万5650円(税込み)。
Ref.GM-2100YMG-9AJFは、薄型で人気の「2100」シリーズをベースに、ゴールドカラーのメタルケースと、同色の蒸着を施したタフシリコーンバンドを組み合わせたモデルだ。このバンドは、スケルトン樹脂にゴールドの蒸着処理を行い、シリコン樹脂を張り合わせることで、メタルの質感に近い輝きと、肌触りの良い装着感を兼ね備えている。また、このバンドは傷を気にせず気軽に扱え、金属アレルギーを持つ人も選びやすいという実用的なメリットもある。
ダイアルは縦の筋目加工が施されたブラックを基調とし、ゴールドカラーのインデックス、針とのコントラストが表情に映える。ソーラー発電を持たない一次電池式で、機能性もシンプルだが、5万円を切る価格は大きな魅力となるだろう。G-SHOCKならではの優れた耐衝撃性と20気圧防水も備えており、気軽に使えるゴールドカラーウォッチとして、ぜひとも押さえておきたい1本である。