永遠に語り継がれるタイムピース #04 ブランパン「フィフティ ファゾムス」

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仏海軍の要請から1953年に誕生したブランパンの「フィフティ ファゾムス」。その優秀さは軍隊のみならず科学の分野でも証明され、瞬く間にトップクラスのプロフェッショナルツールとして、その存在感を高めていった。そして21世紀の今日では、新たに海洋環境の世界へも進出し、さらなる進化を見せている。

ブランパン「フィフティ ファゾムス」

ケース素材を充実させるだけでなく、直径38.20mmモデル(上)が追加されたことで、直径42.30mm(中)、直径45.00mm(下)と3種類のケースサイズが揃った「フィフティ ファゾムス オートマティック」。飛び数字のダイアルインデックス、幅広のベゼル等、1953年のファーストモデルのエッセンスを可能な限り抽出し、最新の技術で再解釈した傑作だ。
奥山栄一:写真
Photographs by Eiichi Okuyama
田中克幸:文
Text by Katsuyuki Tanaka
Edited by Yuzo Takeishi
[クロノス日本版 2025年11月号掲載記事]


後世に継がれるスタンダードを作り上げた、モダンダイバーズウォッチの始祖

 1943年、当時仏海軍将校であったジャック=イブ・クストーは、技師エミール・ガニヨンとともに世界初の自給式水中呼吸装置「アクアラング(正式名称はスキューバ)」を開発する。それは以前までの排気弁付きヘルメット式潜水器と比べて、水中での人間の活動範囲を格段に広げる画期的な発明品となった。一方、第1次世界大戦で精密な軍事行動の必要性が認識されると、精度・視認性・耐久性に優れる腕時計は時代の要請するところとなり、ダイバーズウォッチはパイロットウォッチに比肩する重要装備品として認識されるようになる。

Cal.1315

直径42.30mmと直径45.00mmモデルに搭載される自動巻きのCal.1315。2007年に初搭載され、フリースプラングテンプやマスロットによる精度調整、3つのメインスプリング、約120時間のパワーリザーブを特徴とする。自動巻きローターの素材には全ケースサイズでゴールドを採用。

 水中での軍事行動は第2次世界大戦後に本格化する。50年代初頭、自国の精鋭潜水部隊の腕時計を必要としていた仏海軍のロベール・〝ボブ〞・マルビエ大尉とクロード・リフォー中尉は、ブランパンに開発・製造を依頼。こうして53年に誕生したのが「フィフティ ファゾムス」である。開発には50年から80年までブランパンのCEOを務めた故ジャン=ジャック・フィスターに負うところが大きい。彼は防水性向上のために高度なガスケットシステムの開発等の指揮を執った。

ブランパン「フィフティ ファゾムス」

2003年発表モデルから採用されているサファイアクリスタル製ベゼル。1953年のファーストモデルはベークライト製の透明ベゼルであったが、現在はボンベ状のサファイアクリスタル製リングをインサートさせ、耐傷性を向上させている。インデックスの素材には全ケースサイズでゴールドを採用。

 記念すべき最初の仏海軍納入モデルは、二重Oリングガスケットを採用していた。このモデルはすぐに高い評価を獲得し、50〜70年代にかけて米、西独(当時)、イスラエル、デンマークなどの海軍で採用された。また、軍用のみならず、海洋調査から民間ダイバーにまで広く普及し、有名なエピソードとしては前述のクストーが、仏の映画監督ルイ・マルと共同監督したドキュメンタリー映画『沈黙の世界』(1956年)に登場したことが挙げられる。57年の第29回米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞したこの作品で、クストーはフィフティ ファゾムスを着用した。なお、「ファゾム」とは英語圏で使用される水深単位のこと。1ファゾムは約1.8542mで、50ファゾムスは約92.71m。これは50年代当時にアクアラングで潜水可能な最大深度を意味した。

 クォーツ革命などの影響により、しばらくは静かな時を過ごしたフィフティファゾムスだが、97年〜2003年まで、GMT、エアーコマンドとともに「ブランパン トリロジー」(三部作)として復活する。2003年にはオリジナルモデルを顕彰する誕生50周年記念モデルを発表。約100時間のパワーリザーブを持つ自動巻きのキャリバー1151を搭載し、回転ベゼルには耐擦傷性加工を施したサファイアクリスタルを採用した(オリジナルモデルはベークライト)。4年後の07年には、50周年記念モデルを改良した新型キャリバー1315搭載の約5日間パワーリザーブモデルも登場。さらに誕生70周年となる23年には、ケース径がオリジナルに近い42.30mmの自動巻きキャリバー1315搭載モデルを発表し、時代とともに確実な進化を遂げていることを証明している。

ブランパン「フィフティ ファゾムス」

1953年誕生のファーストモデル。ケースに対して幅広で存在感のあるベゼルが現行のデザインとは異なる。インデックスのボリューム感ある蓄光塗料はベゼルのマークにも塗布され、ベークライトで封印している。

 一方でブランパンは海洋調査活動の一環として、11年から5年間にわたるナショナル ジオグラフィック協会の「原始の海」プロジェクトを支援。また13年には南アフリカ沖の自然生息地で生きたシーラカンスの撮影に初めて成功した、仏の海洋科学者であり著名な水中写真家でもあるローラン・バレスタのゴンベッサプロジェクトの創設に関わる。このような活動は02年からブランパンの社長兼CEOを務め、自身もダイバーであり水中写真家でもあるマーク・A・ハイエックの存在抜きでは成功しなかったはずだ。

 軍事用デバイスとして誕生したフィフティ ファゾムスは21世紀の現在、人類が誕生した母なる海との共生を謳う新たな高級ダイバーズのシンボルとして、今なお進化し続けている。

ブランパン「フィフティ ファゾムス」

フィフティ ファゾムス
左から直径38.20mm、42.30mm、45.00mm。いずれも均衡の整った意匠を持つ。
(左)自動巻き(Cal.1150)。28石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約100時間。SSケース(直径38.20mm、厚さ12.00mm)。30気圧防水。233万2000円(税込み)。
(中)自動巻き(Cal.1315)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。SSケース(直径42.30mm、厚さ14.30mm)。30気圧防水。237万6000円(税込み)。
(右)自動巻き(Cal.1315)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。SSケース(直径45.00mm、厚さ15.50mm)。30気圧防水。239万8000円(税込み)。



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