驚異的な日本語学習能力から、かつて“シカゴの神童”と呼ばれ、来日後は埼玉県出身疑惑さえ沸き起こしたデーブ・スペクター。テレビタレントとして活躍する一方、映像の輸出入業務を手掛ける会社の社長としての顔も持ち、日本のバラエティ番組を海外に輸出した立役者でもある。そんなデーブ・スペクターは、バラエティ番組で毎回時事ネタにちなんだファッションを披露。さらに彼の腕元に注目してみると、通好みのマニアックな腕時計を着用していることが分かった。今回は彼の個性あふれる腕時計に迫る!
Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集
Edited by Takashi Tsuchida
[2025年9月14日掲載記事]
メディアで大活躍する面白アメリカ人、デーブ・スペクター
「BSフジLIVEプライムニュース」「サンデージャポン」「情報ライブ ミヤネ屋」など、情報バラエティ番組にいまや欠かせない存在となったデーブ・スペクター。放送プロデューサーとしての確かな実力を持ちながら、独特のユーモアセンスで視聴者を魅了し続けている。
“自称外人”“埼玉県上尾市生まれ説があるが本当はシカゴ出身である”“芸能界のウィキリークスとも言われている”と、自らのXプロフィール欄にアメリカ人らしいウィットを交えて記載。投稿頻度も高く、持ち前のギャグセンスを日々披露している。
その日本語力は、もはや私たちも顔負けのレベルだ。「日本語がうますぎると思う外国人タレントランキング」では2位に大差をつけて、堂々の1位を獲得。「外国人であることを忘れてしまう」というコメントも寄せられるほど、言葉遊びやユーモアを理解し、日本語を使いこなす能力が突出している。ネイティブレベルに堪能で、ボキャブラリーも豊富であることは、彼の発言を聞けば“一聴瞭然”だ。
驚異的な日本語能力を少年時代に身に付けた経緯
そんなデーブ・スペクターが卓越した日本語能力を身に付けたのは、少年時代にまで遡る。日本語を学ぶきっかけとなったのは、小学5年生の頃に日本から転校してきた日本人少年と親しくなったことだという。日本語だけでなく日本文化にも興味を持ち始め、アメリカで学校生活を送りながら日本のマンガ、歌番組、映画に触れていった。
中学生の頃からは、少なくとも10個の日本語単語を覚えることを日課とした。現在のボキャブラリーの豊富さはその頃の努力の賜物である。日本人学生を対象にしたシカゴ日系人会主催の日本語弁論大会では2年連続で優勝。日系人でないアメリカ人の子どもが日本語弁論大会で優勝することは快挙だった。現在も日本語の単語を覚える努力を続けており、どんな場面でもコメンテーターとして適切な専門用語を理解して使いこなしている。
映像の輸出入業務を請け負う会社の社長としても手腕を発揮し、日本のバラエティ番組「風雲!たけし城」「料理の鉄人」を海外に輸出した立役者でもある。メディアプロデューサーとしての確かな実力と、タレントとしてのキャラクターを見事に両立させている稀有な存在だ。
毎回話題を呼ぶ“ネタコーデ”の数々
そんなデーブ・スペクターは、情報バラエティ番組で毎回時事ネタにちなんだファッションを披露している。ニュース性の高い番組に出演することが多いため、ちょっとしたエピソードや話題の糸口になるような要素を盛り込むのがデーブ流だ。
例えば、大谷翔平の愛犬デコピンが話題になった際は、いち早くデコピンをモチーフにしたパーカーを着用。ベースボールシャツを選んだり、ネクタイの柄で話題性を表現したりすることもある。スタイリストは付けていないというデーブ・スペクターだが、その手首に着目してみたところ、やはり時計にもその日の話題となる要素が感じられる選択がなされていた。
時計のチョイスもネタコーデ! オメガとゴリラで話題喚起
ドラえもんの最新映画作品「のび太の絵世界物語」のPRがあった日のコーディネートは、レトロフューチャーを感じさせるオメガの「フライトマスター」だった。1960年代にNASAの正式採用を受け、宇宙開発のシンボルのひとつとなったスピードマスターのバリエーションとして1969年に発表されたモデルだ。未来からやってきた猫型ロボットのドラえもんの世界観からインスピレーションを得たのではないだろうか。
また、この日はシカゴカブスとロサンゼルスドジャースの来日試合直前だったため、ドジャースのヴィンテージテイストなスタジアムジャンパーを着用。自身の出身地シカゴではなくドジャースを選んでいることも興味深い。そのジャンパーはよくよく見れば、ドラえもんカラーの青色……。デーブ・スペクターらしい、多層的な意味を込めたコーディネートと言えるだろう。
ワールド・ベースボール・クラシック開幕を知らせる投稿時は、懐かしの2004年アテネ五輪の日本代表ユニフォームで登場。腕元にはジャパンカラーのゴリラ「ファストバック」を合わせている。白・黒・赤の色彩が完璧にマッチしていることは、敢えて指摘するまでもない。
ゴリラは、オーデマ ピゲの元チーフ・アーティスティック・オフィサー(最高芸術責任者)のオクタヴィオ・ガルシアとシニアデザイナーであったルーカス・ゴップによって設立されたブランドで、“創造的破壊型”の時計作りを目指すメゾンだ。2016年に創業、人気を牽引するのは、このデーブ・スペクターが着用している「ファストバック」コレクションである。60年代から70年代のアメリカンマッスルカーの象徴的な外形、カラーリングからインスパイアされており、高級時計に使用されるハイテク素材を取り入れながら個性を表現するスタンスが際立っている。

自動巻き(Miyota Cal.8215)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約40時間。フォージド・カーボン×セラミックケース(直径44mm)。10気圧防水。
さて、注目が高まる総裁選に関する投稿も自身の公式Xで続々と投稿されている。「【速報】自民党の食堂で、新しいソウザイ候補を発表へ」「【速報】自民党総裁は、PK戦で決着の見込み」「石破総理の腕時計→辞職」といった投稿には多くのフォロワーから“イイね!”が付いている。
時事ネタに絡めたオヤジギャグとともに、今後もデーブ・スペクターの腕元から目が離せない。