今回、レイモンド ウェイルがBEST ISHIDAのために製作した限定100本のスペシャルエディション。直径35mmのネオ・ヴィンテージをまとめ上げた、本誌編集長の広田雅将自身が語る。
Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
Edited by Chieko Tsuruoka (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2025年11月号掲載記事]
『クロノス日本版』編集長、広田雅将監修の「ミレジム」限定モデル

直径35mmのミレジム ムーンフェイズをベースに、クラシック感を強調したBEST ISHIDAおよびレイモンド ウェイル日本公式サイト向け限定モデル。レギュラーモデルとは文字盤の仕上げが異なるほか、ムーンフェイズが専用に、そして裏蓋の刻印もフランス語に改められた。2025年10月10日にISHIDA表参道で開催されるローンチイベントでの販売モデルには、キュリオスキュリオのストラップが付属する(イベントの参加受付は終了)。自動巻き(Cal.RW4280)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約41時間。SSケース(直径35mm、厚さ9.98mm)。5気圧防水。限定100本。46万2000円(税込み)。
本誌では作り手が手掛けた時計を自身で説明することはない。しかし今回は、例外としてご容赦いただきたい。というのも2025年10月にレイモンド ウェイルが発表したBEST ISHIDA限定の「ミレジム」は、この原稿を書いている、広田雅将本人が監修したものだからだ。ベースは直径35mmのムーンフェイズモデル。これにツートーン文字盤とリアルムーンを合わせたのが本作だ。
そもそもは、筆者がウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブの会場で見た、35mmサイズのムーンフェイズを褒めたのがきっかけだ。代理店のジーエムインターナショナルに、「そんなに気に入ったなら日本限定モデルを監修しませんか?」と提案され、引き受けることになった。
デザインを考える際、筆者はふたつのポイントを考えた。ひとつはかつてありそうで、しかし存在しなかったデザインにすること。文字盤をあえてのツートーンにしたのは、文字盤の中心部に今風の強い筋目を施したかったためだ。そしてもうひとつはミレジムの美点である高い視認性を殺さないこと。その精緻なインデックスにそろえるべく、レイモンド ウェイルは、わざわざ専用の「リアルムーン」を製作してくれた。月に表情を付けても良かったが、サンセリフ体のインデックスに顔付きの月齢表示を合わせたら、時計全体がファニーでありすぎただろう。
サイズを含めて、ニッチになりすぎた感もある今回の限定モデル。ただし、普段使いできるネオ・ヴィンテージ感を好む物好きは世界に100人はいるだろうし、パートナーとシェアできるサイズ感も、気に入る人は気に入ると勝手に思っている。ご興味のある方は、BEST ISHIDAの店頭で実物をチェックしていただければ幸甚です。