2025年、今やジラール・ペルゴを代表するアイコンモデルである「ロレアート」が誕生50周年を迎えた。その誕生を祝すように、新型基幹キャリバーGP4800と、それを搭載した最新モデル「ロレアート フィフティ」が発表された。その真価を問う。
Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2025年11月号掲載記事]
ジラール・ペルゴの新型基幹キャリバー、Cal.GP4800

ジラール・ペルゴが約30年ぶりに発表した自社開発基幹キャリバーGP4800。パワーリザーブは約55時間まで延長され、セラミックス製ボールベアリングを用いた片方向巻き上げの自動巻き機構と組み合わせることで、優れた巻き上げ効率によって日常使いでの実用性を担保している。このベアリングには緩衝装置が内蔵されているため、巻き上げ時の騒音を軽減し、耐衝撃性も備える。性能面での進化は、機械式時計の心臓部である脱進機と調速機に顕著だ。非磁性のシリコン製脱進機を採用することで耐磁性・耐摩耗性に加え、軽量化もかなえ、機械式時計の中でも負荷がかかる脱進機の耐久性を高め、ムーブメントの長寿命化にも貢献している。調速機のテンプは緩急針を廃したフリースプラング式で、テンワに備えられた4つのホワイトゴールド製のマスロットで歩度調整可能な可変慣性テンプを採用。さらに、テンプを両側から受けでがっちりと支えることで耐衝撃性と安定性を向上させ、シリコン製脱進機と併せて、基幹キャリバーに要求される高い精度と信頼性を獲得した。

かように、現代的に進化したジラール・ペルゴの基幹キャリバーの見所は、性能面だけではない。意匠においても同社を象徴する要素がふんだんに盛り込まれている。最も注目すべきは、3つのブリッジで構成されるムーブメント全体を覆う受けだ。これは同社の象徴のひとつである1867年の傑作懐中時計が持つスリーブリッジ・トゥールビヨンの3つの受けに着想を得て、現代の基幹キャリバーのために再解釈されたものである。
ロレアート50周年を機にジラール・ペルゴが発表したGP4800。歴史に現代技術を紡ぎ、実用性と審美性を兼ね備えたマニュファクチュールの矜恃の形だ。

18KYG×SSケース(直径39.00mm、厚さ9.80mm)。15気圧防水。世界限定200本。375万1000円(税込み)。



