ハイスペックと“デカ厚” で市場を挑発。チューダーの2025年新作時計を振り返り

2025.12.26

時計専門誌『クロノス日本版』編集部が取材した、時計業界の新作見本市ウォッチズ&ワンダーズ2025。「ジュネーブで輝いた新作時計 キーワードは“カラー”と“小径”」として特集した本誌でのこの取材記事を、webChronosに転載する。今回紹介するのは、トレンドに逆行するような“デカ厚”、そしてハイスペックな新作時計を打ち出した、チューダーだ。

ブラックベイ 68

チューダー「ブラックベイ 68」
今時珍しい、直径43mmというサイズを押し出した新作。チューダーのアイコンカラーも文字盤に採用された。ケースサイズは拡大されたが、細かなチューニングにより装着感は快適だ。自動巻き(Cal.MT5601-U)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径43mm、厚さ13.6mm)。200m防水。
堀内僚太郎:写真
Photographs by Ryotaro Horiuchi
広田雅将(本誌):取材・文
Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2025年7月号掲載記事]


チューダーのウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2025

 良質なツールウォッチで評価を得てきたチューダー。しかし同社には、挑発的なプロダクトで市場に一石を投じるという一面もある。2025年に目を引いたのは、今時珍しいハイスペックダイバーの「ペラゴス ウルトラ」と、巨大なケースを打ち出したダイバーズウォッチの「ブラックベイ 68」だ。

ペラゴス ウルトラ

チューダー「ペラゴス ウルトラ」
こちらは普段使いのできるハイスペックダイバー。単にケースを厚くしたのではなく、文字盤や針、文字盤の開口部も既存モデルとは異なる。普通はブルー、分針のみグリーンの蓄光塗料を採用。自動巻き(Cal.MT5612-U)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。Tiケース(直径43mm、厚さ14.5mm)。1000m防水。

 チューダー初の1000mダイバーズウォッチとなる前者は、外装にグレード5とグレード2のチタンを使い、ケースの厚みを14.5mmに抑えることで、普段使いも難しくない。とはいえ、プロユースのためにインデックスと針を拡大し、2色の蓄光塗料を加えたのはチューダーらしい。そして後者は、あえてケースを拡大させた試み。「チューダーらしい思い切った大型モデル」と述べるように、ドレスウォッチと小径という時計業界の気分への挑発、と言って良さそうだ。しかし、普通のブラックベイに比べてブレスレットの幅を1mm広げるなど、やはり細かいツメが際立っている。

ブラックベイ 58

ブラックベイ 58
傑作、ブラックベイ 58に加わった色違い。光沢のあるバーガンディーダイアルと、それに調和するベゼルは、往年のRef.79190の要素だ。ちなみにマスター クロノメーターをクリアする。自動巻き(Cal.MT5400-U)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39mm、厚さ11.7mm)。200m防水。63万3600円(税込み)。
ブラックベイ 58

チューダー「ブラックベイ 58」
こちらは5連ブレスレットを備えたモデル。薄くて使いやすく高性能と、上質なツールウォッチとしては言うことなし。しかし、今年「68」が加わったことで、モデルが増えすぎた印象は否めない。自動巻き(Cal.MT5400-U)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39mm、厚さ11.7mm)。200m防水。

 なお、写真で挙げた新作は「ブラックベイ プロ」以外、すべて1万5000ガウス耐磁を持つマスター クロノメーター。挑発しつつも抜かりがないのもまた、チューダーらしい。

ブラックベイ プロ

チューダー「ブラックベイ プロ」
定番の「プロ」も、オパラインダイアルでビジュアルが進化した。注目すべきはインデックス。ブラックセラミックス製の枠に蓄光塗料を充填することで、ホワイトダイアルであっても、明るい環境下での視認性を確保した。自動巻き(Cal.MT5652)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39mm)。200m防水。



Contact info: 日本ロレックス/チューダー Tel.0120-929-570


チューダーの2025年新作「ブラックベイ 58」は、バーガンディーカラーよりも〝完全刷新〟に注目したい

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チューダー史上最強のスペック。2025年新作「ペラゴス ウルトラ」を深掘り!

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2025年 チューダーの新作時計を一挙紹介!

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