ブレゲの伝統と軌跡を今に伝える「クラシック 5177」に、ノンデイト仕様のレギュラーモデルが登場。精悍な顔立ちに宿る職人技が物語るのは、いつの世も変わらぬ不朽のエレガンスだ。
Text by Tsubasa Nojima
Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2025年9月号]
創業250年の節目を飾るピュアドレスウォッチ

日付表示を廃したことで、よりシンプルなデザインを獲得した「クラシック5177」の新作。ブレゲ針やブレゲ数字インデックス、ケースサイドのコインエッジ装飾など、ブレゲを象徴するデザインコードでまとめられている。自動巻き(Cal.7775)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KRGケース(直径38mm、厚さ8.8mm)。3気圧防水。422万4000円(税込み)。
いつの世も変わらない、不朽の名作を意味する“クラシック”。ブレゲ「クラシック 5177」は、その名に違わぬ腕時計だ。グラン フー エナメルダイアルに、コインエッジ装飾のラウンドケースと、溶接されたストレートなラグ。ひとつひとつの要素は普遍的だが、それらが組み合わさることで、唯一無二のハーモニーを奏でる。その姿はまるで、ブレゲが創業した1775年と、現代の間に流れる250年の時をつなぐ、架け橋のような存在だ。
そのクラシック 5177に、密やかに待ち望まれていた新作が加わった。艶やかなブラックのグラン フー エナメルダイアルに、シルバーのブレゲ数字インデックスを配した今作には、なんと日付表示がない。一部の限定モデルを除き、日付表示を標準仕様としてきた5177。ピュアなドレスウォッチを求めるファンにとって、今作の登場はまさに福音であるに違いない。

ノンデイトである以外は、これまでと共通したデザインを持つ。6時位置にはシークレットサインがあしらわれ、アイコニックなブレゲ針がゆったりと時刻を指し示す。18Kローズゴールド製の薄型ケースは、シャツの袖口にもすっきりと収まり、シャープなコインエッジが、柔らかな雰囲気に程よい緊張感を添える。
シースルーバックから露わになったムーブメントは、波状の装飾が施されたローターと、ストライプ装飾や面取りが加えられたブリッジを備え、伝統的な職人の技術を味わうことができる。その一方で、シリコン製の脱進機が現行機にふさわしい高いスペックをもたらす。
殊更もてはやされることもなければ、廃れて忘却されることもない。ただ毅然と時を刻む。それがクラシックなのだ。



