オリエントスターの魅力はパワーリザーブ表示にあり!

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2026.04.25

日本の時計ブランド・オリエントスター。手の届きやすい価格から初めての腕時計として勧められる一方で、高品質な機械式腕時計の作り手ということから、コアな時計愛好家のファンも多い。そんなオリエントスターの魅力はさまざまであろうが、本記事では、文字盤に配されるパワーリザーブ表示にそれを見出していく。

M45 F8 メカニカルムーンフェイズ

オリエントスター「M45 F8 メカニカルムーンフェイズ ハンドワインディング」Ref.RK-BW0001S
手巻き(Cal.F8A62)。20石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39.5mm、厚さ11.9mm)。3気圧防水。41万8000円(税込み)。


オリエントスターとパワーリザーブ表示

 オリエントスターが文字盤にパワーリザーブ表示を配するようになったのは1996年だ。以来、ブランドのアイコンのひとつとして、継続的に採用されてきた

 パワーリザーブ表示またはパワーリザーブインジケーターとは、主ゼンマイの巻き上げ残量を示す機構であり、機械式腕時計の「動力の残り」を可視化するものだ。機械式腕時計は主ゼンマイの力をエネルギー源としているため、巻き上げ量が低下すると徐々にトルクが落ちたり、あるいは時計が止まってしまったりする。パワーリザーブ表示は、そうした状態の変化を事前に把握するための指標として役立つ。

 もっとも自動巻きを毎日着用しているのであれば、実用性はそれほど感じないかもしれない。とりわけ近年のオリエントスターや約70時間と、十分なパワーリザーブを備えたムーブメントを採用しており、例え週末に時計を手首から外していても、月曜日にはまだ動いている。しかしこの機構は、単に利便性のためだけでなく、「時計との対話」を生む要素と言えるのではないだろうか? そして、ここにこそ機械式腕時計ならではの楽しみや、オリエントスターならではの世界観がある。

小さな文字盤に見る技術力

 なぜパワーリザーブ表示が「時計との対話」と言えるのか? その理由は、この表示機構が機械式時計ならではのものであり、「理想の機械式時計をつくる」ことを掲げるオリエントスターがアイコンとするにふさわしいと筆者は感じたためだ。

 パワーリザーブ表示は設計面では制約を伴う。限られた文字盤の中で複数の情報を整理しながら、美しさと視認性を両立させる必要があるからだ。この「小さな機構」には、オリエントスターの技術が詰め込まれている。オリエントスターでは製品の企画開発からムーブメントの製造まで、自社で一貫して行っている。企画の段階からパワーリザーブ表示を前提とし、この表示が全体のデザインや機能と整合性を保ちながら、文字盤上での配置や針の動きも含めて無理のないレイアウトが実現されているのだ。表示機構とそのほかの要素をバランスよく構成できる点は、マニュファクチュールによる高い技術力があってこそである。

 なお、オリエントスターの機械式腕時計では、文字盤の12時位置やサブダイアル形式でパワーリザーブ表示が配置されているモデルが多い。しかし、後述するが、決してテンプレート的に配置されているわけではなく、モデルの特性によって針のサイズや目盛りの仕様などが異なり、それぞれのデザインに最適化されている。

 例えば「M42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト 200m チタン」のパワーリザーブ表示は、短くシンプルな針と目盛りで、一方で時分針やアワーマーカーを力強い大きさとすることでメリハリを利かせ、ダイビング中の判読性に配慮していることがうかがえる。

RK-AU0701B

オリエントスター「M42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト 200m チタン」Ref.RK-AU0701B
自動巻き(Cal.F6N47)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。Tiケース(直径41mm、厚さ14.3mm)。200m防水。18万7000円(税込み)。

 一方、レイヤードスケルトンの「コンテンポラリーコレクション」Ref.RK-AV0B12Eは、背景にムーブメントの一部をのぞかせつつ、ユニークなデザインのフレームを与えることで、時計コレクターの心をくすぐるようなデザインだ。いずれも表示針が時刻表示の視認性を妨げないようレイアウトされており、これは他のモデルも共有する点である。このようにオリエントスターの創意工夫が感じられるパワーリザーブ表示は紛れもなく同ブランドにとってアイコンであり、かつ理想の機械式時計を作り続ける同ブランドの姿勢を示す要素であるため、この表示で主ゼンマイの残量を確認したり、あるいは巻き上げ時に針が進むことを確認したりすることは、「時計との対話」を行っていると言える。

オリエントスター「コンテンポラリーコレクション」Ref.RK-AV0B12E
自動巻き(Cal.F6F44)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.6mm)。10気圧防水。国内限定400本。11万7700円(税込み)。

進化し続ける表示デザイン

オリエントスター「M34 F8 スケルトン ハンドワインディング」Ref.RK-AZ0105N

オリエントスター「M34 F8 スケルトン ハンドワインディング」Ref.RK-AZ0105N
手巻き(Cal.F8B65)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS+黒めっきケース(直径39mm、厚さ10.8mm)。5気圧防水。世界限定450本(うち国内300本)。41万2500円(税込み)。

 パワーリザーブ表示はオリエントスターの象徴として長く継承されている一方で、常に時代やモデルに合わせた進化を遂げてきた。初期モデルでは比較的機能性重視のシンプルな表示であったが、2026年、オリエントスター75周年記念で発表された最新モデルをはじめとする「M34 F8 スケルトン ハンドワインディング」では、肉抜きされた針や色調を合わせたフレームを使うことで、スケルトナイズされた文字盤デザインとの調和が見て取れる。

 表示の配置、目盛りの形状、情報量のバランスなどはモデルごとに最適化されており、クラシック、コンテンポラリー、スケルトンといった各コレクションの個性を引き立てている。つまりオリエントスターのパワーリザーブ表示は、単なる“残量計”ではなく、文字盤全体と調和する“実用性のあるデザインの一部” としても機能しているのだ。


オリエントスターのお勧めモデル3選

 最後に、オリエントスターのお勧めモデルを紹介する。パワーリザーブ表示に注目してピックアップした。

「M45 F8 メカニカルムーンフェイズ ハンドワインディング」

オリエントスター「M45 F8 メカニカルムーンフェイズ ハンドワインディング」Ref.RK-BW0003N

オリエントスター「M45 F8 メカニカルムーンフェイズ ハンドワインディング」Ref.RK-BW0003N
手巻き(Cal.F8A62)。20石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39.5mm、厚さ11.9mm)。3気圧防水。公式オンラインストア限定20本。45万1000円(税込み)。

「ゆったりとした時間を演出する」ことをコンセプトに新開発された、手巻きムーブメントCal.F8A62を搭載した限定モデル。新しくなったマザー・オブ・パール製のムーンフェイズも特筆すべき点だが、約70時間のパワーリザーブがありながら、その表示は目盛りを持たず控えめだ。文字盤同様に暗くなっており、しかし段差が設けられることで奥行きを有しており、高級感漂う1本に仕上げられた。

「モダンスケルトン」

オリエントスター「モダンスケルトン」Ref.RK-AV0134E

オリエントスター「モダンスケルトン」Ref.RK-AV0134E
自動巻き(Cal.F6F44)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径41mm、厚さ12mm)。10気圧防水。10万3400円(税込み)。

 2026年、文字盤デザインを一新してリリースされた「モダンスケルトン」のグリーンモデル。より立体感のあるデザインとなった一方で、オリエントスターらしい個性的なスケルトナイズ仕様は引き継がれている。パワーリザーブ表示の針がゴールドカラーに彩られており、グリーンに映えて目を引く。

「M34 F7 セミスケルトン」

オリエントスター M34 F7 セミスケルトン

オリエントスター「M34 F7 セミスケルトン」Ref.RK-BY0002A
自動巻き(Cal.F7F44)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径40mm、厚さ13mm)。10気圧防水。14万3000円(税込み)。

 文字盤9時位置が肉抜きされることで、ムーブメントの心臓部がちらりとのぞく「M34 F7 セミスケルトン」。本作はブラウングラデーションのマザー・オブ・パールが文字盤に使われており、これはオーロラがイメージされているのだという。パワーリザーブ表示の内側がスモールセコンドと同色となっており、エレガントなブラウンカラーとマッチする。


ガジェットにはない、機械式時計ならではの機構として

 スマートフォンで正確な時刻を容易に確認できる現代において、機械式腕時計の価値は単なる時間表示にとどまらない。内部で動き続ける機構の状態を感じながら使うという体験こそ、機械式腕時計の魅力のひとつである。

 しかし、パワーリザーブ表示の実装や、より洗練された機能とデザインの実現には、機械式腕時計を設計し製造する高い技術力とデザイン力が求められる。そして、その技術力とデザイン力こそ、オリエントスターの強みでもある。

 時計の状態を視覚的に確認し、管理する。この体験は機械式腕時計ならではであり、デジタル機器にはない魅力である。

川部憲 Text by Ken Kawabe



Contact info:オリエントお客様相談室 Tel.042-847-3380


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