現代ガストロノミーを代表する世界的シェフのひとりであるアラン・デュカス氏の新業態「アラン・デュカス・サロン・デ・マニュファクチュール・パリ」が、2026年4月25日に阪急うめだ本店にオープンした。“新たな⾷の魅⼒に出合う場所”として構想されたサロンは、軽やかで洗練された、現代的なダイニングに加え、ショコラとビスケットの専門店も併設。アラン・デュカス氏の技と哲学の神髄が集約されたスポットを、フードジャーナリストであり、『クロノス日本版』巻頭コラム「この世ならぬ美味のクリエイター」を連載する外川ゆいが紹介する。

Photographs & Text by Yui Togawa
[2026年6月xx日公開記事]
フランス料理界を牽引する世界的シェフの新業態
モナコ「ル・ルイ・キャーンズ」、パリ「ル・ムーリス・アラン・デュカス」、東京「ベージュ アラン・デュカス東京」など、現在世界8カ国で約30のレストランの指揮を執る、アラン・デュカス氏。卓越した職⼈技の追求と、⾰新的なアプローチで知られている。グランメゾンと称されるフランス料理店の他、チョコレートやビスケット、アイスクリームなどの専門店も展開。また、フランス料理の継承・後進育成に向け、料理・製菓の国際的な専⾨機関「デュカス・エデュケーション」を創設するなど実に多彩だ。

1956年、フランス生まれ。現在はモナコ国籍。1990年、モナコ「ルイ・キャーンズ」で総料理長としてミシュラン三つ星を獲得。この時アラン・デュカス氏は33歳で、ミシュランガイド史上最年少での三つ星獲得となった。現在では世界8カ国、約30のレストランで腕を振るうとともに、ショコラトリー「ル・ショコラ・アラン・デュカス」をはじめ、多岐にわたる事業を展開している。
「アラン・デュカス・サロン・デ・マニュファクチュール・パリ」が店を構えるのは、阪急うめだ本店の6階。今年3月に「HANKYU LUXURY」としてリニューアルを果たしたフロアでラグジュアリーウォッチブランドが並んでいる。そんな上品な雰囲気が漂う一角にあるサロンは、ふらりと立ち寄れる気軽さとフランスのエレガンスが共存。

ゆったりと配されたテーブル席の他、カウンター席、さらに奥には個室も完備する。空間デザインにもアラン・デュカス氏の哲学を取り入れており、クラシックとモダンを融合。天然⽊と天然⽯にステンレススティールの質感を合わせ、ダークグリーンとゴールドのアクセントを効かせた空間は、洗練されながらも居心地がいい。

アラン・デュカス氏の哲学を1皿から味わえる贅沢
メニューを開くと、魅力的なセイボリーとデザートが1皿からオーダーできるスタイルで並ぶ。前菜、メイン、デザートと組み合わせるのもよし、お好みの1皿と1杯を楽しむのもよし、ティータイムなどにはデザートを1皿味わうのもよし。また、じっくりと味わうことができるコースやアフタヌーンティーが用意されているので、多彩なシチュエーションに合わせて利用できるのもうれしい限り。

今回は、アラカルトからおすすめの4品をいただいた。鮮やかな色調が印象的な「プティポワのヴルーテ フロマージュフレとレモンコンフィ」は、目の前でスープが注がれて完成する“食べるスープ”。口へと運ぶと、一気にアラン・デュカス氏の世界に引き込まれた。風味豊かなえんどう豆に神戸・裏六甲にある弓削(ゆげ)牧場のチーズがまろやかに溶け、味わいが変化していく様が楽しい。レモンのコンフィが爽やかさを演出し、これからの暑い季節に心も体も喜ぶような仕立てだ。

続いて運ばれてきた「ハタのグージョネット タルタルソース」は、ハタを小魚に見立てたフライを特製のタルタルをたっぷりと添えていただく1品。エストラゴン、レモン、ライム、イタリアンパセリなどを使用しており、ハーブを豊かに感じる風味はシャンパーニュについ手が伸びてしまう。ワインリストは、フランス各地から厳選し、テロワールを巡る新たな発⾒へと導いてくれるラインナップ。さらに、「七賢」を代表銘柄にもつ山梨銘醸が手掛ける、スパークリング⽇本酒「アラン・デュカス スパークリングサケ」も用意する。

「牛ほほ肉のコンフィ赤ワイン仕立て 人参のフォンダン」は、鹿児島の黒毛和牛を赤ワインでじっくりと煮込んだ食べ応えあるメニュー。添えられたポートワインで煮込んだ赤玉葱のマリネと柔らかな人参も秀逸。いずれのセイボリーも素材の恵みを⼤切にするアラン・デュカス氏の料理哲学に基づき考案されており、上質でありながら、自由度の高いオーダースタイルで、肩肘張らずに楽しむことができる。

デザートは「ムース・オ・ショコラ」や「アフォーガードとプラリネ」など魅力的なメニューがおよそ10種も並ぶ。今回は「柑橘のフレッシュとコンフィ オリーブオイルアイスクリーム」をセレクトした。ピンクグレープフルーツやオレンジなどの柑橘をフレッシュとコンフィの状態で並べた上に、フロマージュブラン、オリーブオイルのアイスクリーム、レモンとライムの皮、さらにアクセントとしてパウダー状の唐辛子がトッピングされている。仕上げに柑橘のソースを回しかけると鮮やかな1皿に。多彩な食感が緻密に構成されている。
ショコラとビスケットの専門店を併設
サロンのエントランスには、アラン・デュカス氏が手掛けるショコラ専⾨店「ル・ショコラ・アラン・デュカス」とビスケット専⾨店「ル・ビスキュイ・アラン・デュカス」のブティックを併設する。ショコラでは7種のアソート「エグザ・アンコントルナーブル」(1万2960円)、ビスケットでは抹茶フレーバーが入った「ピュール・ブール&ピュール・ブール・マッチャ」(8640円)がこちらでしか購入できない限定商品だ。

ショーケースや棚に並ぶ多彩なアイテムから、自分へのご褒美や大切な人へのギフトを選ぶ時間も楽しいだろう。ブティックの一角には「カカオ75%ショコラとビスキュイ ピュール・ブールのミックス」(1100円)など、全3種のソフトクリームのイートイン席も用意する。

百貨店での買い物の合間に訪れるもよし、こちらのサロンを目的に訪れるもよし。ティータイムから本格的な食事まで、幅広いシーンに寄り添ってくれる一軒だ。同フロアの悩ましい腕時計選びの際などは、こちらで一服して想いを馳せるのもいいだろう。もしパートナーを伴っていたなら、アラン・デュカス氏の味わいで相手も機嫌よく買い物に付き合ってくれるに違いない。
店舗情報
アラン・デュカス・サロン・デ・マニュファクチュール・パリ
(ALAIN DUCASSE SALON DES MANUFACTURES PARIS)
住所:⼤阪府⼤阪市北区⾓⽥町8-7 阪急うめだ本店 6F
TEL:06-6313-0529
営業時間:10:00〜20:00
URL:https://www.salondesmanufactures.jp/
※掲載価格はすべて税込み表記。
外川ゆい氏のプロフィール

フードジャーナリスト。つくり手のストーリーや思いを伝えることを信条に、レストラン、ホテル、スイーツ、お酒など、食にまつわる記事を執筆する。『クロノス日本版』巻頭連載IN THE LIFEにて「この世ならぬ美味のクリエイター」を担当。



