チューダーのセラミックス遣いやいかに? 2026年新作「ブラックベイ セラミック」

2026.04.28

チューダーが2026年にリリースした、新作「ブラックベイ セラミック」。ケースのみならずブレスレットもセラミックスとして製造された本作は、107万300円(税込み)と、チューダーのプライスレンジの中では高めに設定されている。その素材遣い、そして性能の実力とは? 本作のディテールからひもといていく。

チューダー ブラックベイ セラミック

鶴岡智恵子(クロノス日本版):写真・文
Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2026年4月28日公開記事]


新しい「ブラックベイ セラミック」

 4月14〜20日にかけてスイス・ジュネーブで開催されたウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ。例年広いスペースで出展しているチューダーが打ち出した新作時計のひとつが「ブラックベイ セラミック」だ。

チューダー「ブラックベイ セラミック」Ref.7941A1ACNU-0001

チューダー「ブラックベイ セラミック」Ref.7941A1ACNU-0001
自動巻き(Cal.MT5602-U)。25石。パワーリザーブ約70時間。セラミックスケース(直径41mm、厚さ13.55mm)。200m防水。107万300円(税込み)。

 このブラックベイ セラミックというモデルは2021年にリリースされている。セラミックスをケースに使っていたこと、そしてそれまではオメガでのみ知られていたマスター クロノメーター認定ムーブメントを搭載していたことで話題となった。今回刷新されたブラックベイ セラミックも大きくコンセプトを変えていない。しかしストラップからセラミックス製ブレスレットへと装いを変えた。また、デザインは大きく変わっていないものの、ケースは新たに作り直され、意匠のディテールも変えられている。そんな新しいブラックベイ セラミックの注目点を紹介する。


セラミックス遣いに注目する

チューダー ブラックベイ セラミック

写真左が既存の、右が新しいブラックベイ セラミックだ。新作は“オールブラック”と呼べる装いへと変わった一方で、文字盤はブラックではなくチャコールグレーカラーである。

 新作モデルの最大の特徴は、ケースのみならず、ブレスレットもセラミックスで製造されている点である。セラミックスはステンレススティールや18Kゴールドなどオーセンティックな時計の素材と比べると軽量で、また耐傷性や耐食性に優れ、金属アレルギーを誘発しにくいという特徴がある。腕時計にとっては理想的な素材だ。一方でその硬度や割れやすさゆえに加工が難しく、高級感のある仕上げを与えにくいというデメリットがあった。そのためすべての時計ブランドが扱える素材というわけではないが、近年は時計の一部または外装パーツの多くをセラミックス製としたモデルが増えつつある。

 そんな中でチューダーが2026年に新たにラインナップに加えたブラックベイ セラミックは、ケースおよびブレスレットがセラミックス製という、チューダーでは初となる仕様である。

 

 ブレスレットは他の「ブラックベイ」にもあるコマを3連としたタイプで、すべてマットな仕上げだ。初のセラミックス製ブレスレットではあるものの、従来通り滑らかで、ステンレススティール製ブレスレットと比べると若干遊びがあるように感じたものの、仕上がりに変わりはない。ただし他のブラックベイの特徴となっているリベットブレスレット風のデザインではなく、シンプルになっている。

チューダー ブラックベイ セラミック

コマとコマ同士をつなぐのはネジ留め式。高級スポーツウォッチの仕様だ。なお、ネジはブラックPVD加工を施したステンレススティール製。ナットがコマの形状に沿うように湾曲しているのがユニークだ。

 バックルは両開き式で、近年のブラックベイに採用されている、工具なしで微調整が可能な“T-fit”クイックアジャストクラスプは搭載されていない。

チューダー ブラックベイ セラミック

“T-fit”クイックアジャストクラスプは搭載されていないものの、開閉しやすくしっかりとフォールド感のあるバックルをセラミックスで実現する本作。厚みも控えめで、デスクワークの邪魔にはなりにくそうだ。

 ケースは従来モデルと同じくサンドブラストの仕上げが大きい部分を占め、ラグの面取りが施された部分はポリッシュ仕上げとなっている。

チューダー ブラックベイ セラミック

近年の高級腕時計では主流となった仕上げ分けはセラミックスのように硬い素材だと難しい場合も少なくないが、本作は面取り部分にポリッシュ仕上げが与えられている。

 前述の通り、既存のブラックベイ セラミックと比べて、ケースのデザイン自体が大きく変わった印象はなく、直径41mmというのも同じ。しかし厚みがやや抑えられており、前作が厚さ14.4mmであったことに対して本作は13.6mmだ。薄型というほどではないものの、本作の装着感は手首回り14.7cmの女性である筆者にも収まりが良かった。なお、ケースは前作のトランスパレントバックからソリッドバックへと改められた。

チューダー ブラックベイ セラミック

グレーがかったインデックスや針には蓄光塗料が配されているのはブラックベイに共通する仕様だ。暗所での視認性が確保されている。


チューダーで100万円超え……だがしかし!

 本作の販売価格は107万300円(税込み)と、ステンレススティール製モデルの多くを50〜70万円台で展開しているチューダーの中では、ハイエンドにあたる。とはいえケース・ブレスレットともにセラミックスであることを鑑みれば、決して高すぎるとは言えないだろう。外国為替や世界的なインフレも手伝って、外装の大きい部分にセラミックスを使った現行の高級腕時計は100万円超が珍しくない。

 また、ケースバックからムーブメントを観賞できなくなったとはいえ、スイス連邦計量・認定局(METAS)が制定するマスター クロノメーター認定機であることも、高価格の理由のひとつとなる。チューダーのマスター クロノメーターはCOSC認定の精度に加えて、1万5000ガウスの耐磁性能やパワーリザーブ残量時の精度規定、200mの防水性能がテストされており、その分性能は高い。パワーリザーブ約70時間という長い持続力も相まって、たとえ価格に上乗せされていたとしても、まだ良心的と言えるのではないだろうか。


今後は“買いやすさ”も注視したい

 チューダーが2026年にリリースした新作「ブラックベイ セラミック」を紹介した。

 価格は高め設定ながら、セラミックス遣い、性能ともに優れていると言える本作。しかし懸念点をひとつ挙げるとしたら、あまり買いにくくなってほしくないなということだ。直近だと、2025年にチューダーからリリースされた「ブラックベイ 54 “ラグーンブルー”」が、発売からしばらく経っても品薄傾向にあり、購入時に待たなくてはいけないと聞いた(2025年末に聞いたことなので、新作がリリースされた今はまた状況が変わっているかもしれない)。もちろん昔から人気モデルであれば品薄は避けられないことだが、チューダーには珍しいセラミックス製ウォッチということもあり、一度実機を見たいというユーザーは少なくないだろう。性能が反映された分の価格とはいえ、チューダーには変わらず「手の届きやすい高級腕時計ブランド」であってほしい。



Contact info:日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570


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