「高須クリニック」のテレビCMがいまだアタマに焼き付いている人は多そうだ。高名な美容外科医でありながら、独自のキャラクターと自由奔放な言動で広く注目を集める高須院長。ドバイ上空をヘリで飛び回るCMのイメージからは、さぞ豪華な腕時計を着用して大活躍しているのかと思いきや、SNSで見せる腕時計は意外なチョイスだった。今回はマルチな才能を輝かせる高須院長が選んだ1本に、着目したい。

Text by Yukaco Numamoto
編集:土田貴史
Edited by Takashi Tsuchida
[2026年5月17日掲載記事]
独自のキャラクターが魅力的な高須院長
歯に衣着せぬ発言と豪快な笑い——幅広い年齢層から支持される高須クリニックの院長、高須克弥。「人生を楽しんでいますか?」という同院の合言葉を、そのまま自らの生き様に体現してきた男だ。現在81歳を超えてなお精力的に活動を続け、2025年10月には激動の人生を綴った最新著『高須の遺言』を上梓している。
美容外科医としての美学も明快だ。涙袋やアヒル口といったトレンドに対して「僕の美的感覚とズレている」とバッサリ切り捨てる媚びない姿勢が、多くの共感を呼んでいる。交友関係は芸能界にとどまらず広範で、元横綱・朝青龍や白鵬の父親たちとも親交があり、モンゴルでビデオを延々と見せられたというエピソードも残る。
そんな高須院長が考える“親友”の定義は明快だ。「何か問題が起こったときに本当の親友がわかる。一斉に逃げちゃうから、残ったのだけ。何度も修羅場くぐってるから残った人たちが全部親友」……。その言葉には、長い人生で培われた信念がにじんでいる。
医師としてだけでなく、僧侶・タレント・篤志家・政治活動家としても顔を持つ、まさに多彩な人物でもある。ヒアルロン酸注入や脂肪吸引といった美容技術をいち早く日本に導入した先駆者でありながら、僧侶となった理由を問われると「死後の話もしないと老人の精神面のケアができないから」と答える。
2011年には京都・東本願寺で得度式に臨み、正式に僧侶の資格を取得している。僧侶名は「釈克念」。その名の中にも、強く生き抜くという意志が感じられる。医師であり、仏の道を歩む者として、人の心に深く寄り添う姿勢こそが、高須院長のあらゆる言動の根底をなしているのだろう。
漫画家・西原理恵子との、型破りな絆
高須院長の人生を語るうえで欠かせないのが、漫画家・西原理恵子との事実婚関係だ。出会いのきっかけは、西原が自身の漫画の中に「高須クリニックのCMが下品すぎて素敵。友達になってやってもいい」と描いたこと。それを知った高須院長が手紙を送ったことから交流が始まったという、いかにも両者らしい型破りなエピソードだ。
交流はやがて家族ぐるみの親交へと発展した。当時、西原の元夫・鴨志田穣が腎臓がんの末期と診断された際、高須院長は「再び家に迎え入れてはどうか」と助言したという。医師として、僧侶として、そしてひとりの人間として、さまざまな立場から相手の気持ちを思いやることができる高須院長の人間性がうかがえる。また、西原が脂肪吸引やフェイスリフトを希望しても「君はそのままが良い」と言って応じないというエピソードからは、打算のない、長年にわたる深い愛情が感じられる。
さて、あらゆるスポーツへのスポンサードや被災地支援など、惜しみなく力を尽くす高須院長は、いわゆる経済的成功者だ。にもかかわらず、意外にもこれ見よがしに「高級腕時計」を着用していないようだ。自身のSNSに投稿された写真を見ると、その手首に光るのは驚くほどシンプルな時計である。
高須院長が選んだ時計「シチズンコレクション」とは
SNSの投稿から確認できる腕時計は、「シチズンコレクション」のエコ・ドライブモデルと思われる。シチズンコレクションとは、光発電エコ・ドライブや機械式といった同社の基幹技術を搭載し、高い機能性と美しいデザインを両立させたシリーズ。価格帯は数万円台と手が届きやすく、日常使いに適した高品質な時計として幅広い層に親しまれている。
高須院長が着用するモデルは、無駄のないホワイト文字盤にシンプルなアラビア数字のインデックスを配した、視認性の高いデザイン。ケース径38mm、厚さ8.8mmという、腕元に自然と収まるサイズ感で、10気圧防水を備える。光さえあれば動き続けるエコ・ドライブ搭載のため、定期的な電池交換も不要だ。フル充電時には約6カ月動き続ける実用性も大きな魅力である。豪快なイメージの高須院長が選んだのは、いたってシンプルで機能的な一本……その意外性もまた、院長らしい選択と言えるだろう。
がんとふたり連れで、人生劇場を演じきる
高須院長は、全身にがんが広がっていることを公表している。2014年の発病から約12年——その闘病生活もまた、高須院長らしい。自身のX(旧ツイッター)には「かっちゃんのがんはしぶとい。あらゆる攻撃に耐えて領土を広げている。戦術的な武器も効かない。もはや打つ手なし。何をしても現代治療では僕のがんが治らないことがわかった」と率直に綴りながらも、「がんとふたり連れで人生劇場を演じきることに決めた。今日からかっちゃん主導の攻撃的緩和ケアを始める。どこまでいけるか。楽しみなう」と前向きなメッセージも発信している。
自らの死後についても、独自のビジョンを描いている。テレビやラジオの出演データ、SNSやブログのテキストをすべてAIに読み込ませ、「AI高須」として発信し続けるというアイデアを明るく語るのだ。
「もし可能だとしたら、思いっきり投資したい!」。その言葉には、高須院長らしいユーモアと、尽きることのない前向きさが満ちている。医師から余命を宣告されようとも、最後まで自分らしく生きることを選ぶ。高須院長のそんな姿勢こそが、世代を超えて多くの人々の心を動かし続けているのだろう。



