1971年の誕生から55周年を迎えた仮面ライダーシリーズ。その記念作品として、平成仮面ライダー史上最高平均視聴率を誇る『仮面ライダーアギト』が、25年の時を経て再び映画化される。主演を務めるのはもちろん要潤だ。今回は、そんな彼が愛用しているスイスの老舗ブランド、ファーブル・ルーバの「スカイチーフクロノグラフ」に注目する。

Text by Yukaco Numamoto
編集:土田貴史
Edited by Takashi Tsuchida
[2026年4月26日掲載記事]
25年の時を超えて。『仮面ライダーアギト』が、再び映画になる
1971年の放送開始から、今年で生誕55周年を迎える仮面ライダーシリーズ。その節目を飾る記念作品として制作されたのが、映画『アギト-超能力戦争-』である。
もともと「アギト」は、2001年1月から2002年1月まで毎週日曜日に放映されていた特撮テレビドラマだ。仮面ライダー30周年を記念した作品であり、平成仮面ライダーシリーズの第2作目にあたる。昭和仮面ライダーの第2作目『仮面ライダーV3』へのオマージュと受け取れる描写も盛り込まれ、新旧ファンが楽しめる工夫が随所に施されたのもヒットの要因だろう。
また複数の仮面ライダーが主役級として並び立つスタイルを初めて採用したことも特筆すべき点で、以降の仮面ライダー作品に大きな影響を与えたマイルストーン的な存在でもある。何より平成以降の仮面ライダー作品のなかでいまだ破られることのない、史上最高平均視聴率を記録した作品として語り継がれている。
その主演のひとりを務めたのが要潤だ。彼が演じたのは氷川誠/仮面ライダーG3——未確認生命体対策班S.A.U.L.へと転属された警部補であり、謎の生命体「アンノウン」に真正面からぶつかっていく熱血漢である。
そして今回の映画でも、オリジナルで共演した賀集利樹とのダブル主演で、25年ぶりに同じ役でスクリーンへ帰ってくる。新たな登場人物も加わり、本作が映画初出演となるゆうちゃみにも注目が集まるなど、公開前から話題が尽きない。
アルバイトを掛け持ちした下積みから、仮面ライダーG3へ
要潤の芸能界への入り口は、バラエティ番組「笑っていいとも!」のワンコーナーだった。1999年頃に放送されていた「看板男コレクション」は、街で働くいわゆる“イケメンスタッフ”を一般から募ってスタジオに招くというもの。当時、複数のアルバイトを掛け持ちしていた要潤は、居酒屋でのシフト中に番組スタッフから声をかけられた。ちなみに出演したのは「警備員のユニフォームのほうがカッコいいから」という理由で、居酒屋店員としてではなく警備員として出演したエピソードも残っており、1999年の第1回放送で見事優勝を果たしている。
もともと要潤は陸上競技に打ち込んでいた。オリンピックを目指すほど本気だったが、四国地区のインターハイ決勝で転倒・失格という形で区切りを迎え、高校卒業とともに俳優の道へ進むことを決意した。弁当屋、工場のライン、警備員——アルバイトをいくつも掛け持ちしながらオーディションを受け続けた下積み時代には、過労で血尿が出たこともあったという。それでも夢を追い続けた末、居酒屋でのバイト中に芸能事務所からスカウトを受けたことが、俳優へのキャリアを本格的に歩みはじめるきっかけとなった。
2001年、『仮面ライダーアギト』の氷川誠/仮面ライダーG3役でデビューを果たすと一気に注目を集め、同年公開の『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』で映画初出演も経験した。その後は昼ドラ、CM、バラエティへと活動の場を広げ、NHK連続テレビ小説『まんてん』や『まんぷく』といった作品にも顔を見せた。現在は俳優業と並行して、ロサンゼルスと日本の二拠点生活を送っている。
ドラマ撮影中も手放さなかった1本。ファーブル・ルーバとの縁
そんな要潤が愛用しているのが、ファーブル・ルーバの「スカイチーフクロノグラフ」だ。その証拠となるのが「要潤のシュールな日常#surreal daily life#」と題する公式YouTubeチャンネルに投稿されたこちらの動画である。
「誰でも出来るマジック講座[輪ゴム編]明日から使えるよ。」と題されたこの動画では、要潤自らがマジックを実演。カメラに手元を近づけているので、着用している時計がよく見えている。動画の2分前後が、最も見やすい。自動巻き(Cal. ETA 7753ベース)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径43.0mm、厚さ16.1mm)。10気圧防水。終売品。
18世紀創業という歴史を誇る老舗のクラシック・クロノグラフ
ファーブル・ルーバは1737年にアブラハム・ファーブルによって創業された、スイスの中でも古い歴史を誇る老舗時計ブランドだ。1960年代に自動巻きムーブメントへのダブルバレル採用をいち早く実現するなど、機械式時計の革新においても存在感を発揮してきた。現在展開するコレクションはいずれも1950〜60年代のヘリテージからインスピレーションを得ており、単なる復刻にとどまらず、製造方法や素材に現代的な革新を取り入れているところが特徴だ。
ブランドを代表するコレクションはふたつ。ひとつは特徴的な針のデザインと14角形のベゼルが目を引く「レイダー・コレクション」。そしてもうひとつが、要潤の愛用モデルを擁する「チーフ・コレクション」だ。チーフ・コレクションには「スカイチーフデイト」と「スカイチーフクロノグラフ」の2ラインがある。
要潤が着用していた「スカイチーフクロノグラフ」は、30分積算計とスモールセコンドのふたつのインダイアルを備えた古典的なバイ・コンパックスレイアウト。6時位置の日付表示と、1960〜70年代の同ブランドのヴィンテージモデルからインスピレーションを得たファセット(多面カット)インデックスが特徴で、視認性の高さと知的なエレガントさを兼ね備えた1本に仕上がっている。100m防水仕様のため、アクティブに使えるのも魅力だ。
搭載されるムーブメントはETA7753ベース。2万8800振動/時、パワーリザーブ約48時間という信頼性の高い自動巻きクロノグラフムーブメントで、多くの高級時計ブランドに採用された実績を持つ。なお現在このモデルは製造終了となっており、入手はヴィンテージ市場などに限られる。日本の輸入代理店も当時から変わっているが、後継モデルなどの詳細は現行の正規代理店へ直接お問い合わせいただきたい。
話を戻そう。氷川誠という熱血漢を演じてから25年、要潤はそのキャラクターとともに、ふたたびスクリーンへ帰ってくる。不器用ながらも誰より真剣にアンノウンへ立ち向かった氷川誠の姿は、アルバイトを掛け持ちしながらオーディションを受け続けた要潤自身の下積み時代と、どこか重なって見える。そしてドラマ撮影中も、YouTubeの動画撮影中も、変わらず手首に巻き続けたファーブル・ルーバの「スカイチーフクロノグラフ」——その一本もまた、長い歳月をともに歩んできた無言の証人だ。
25年という時間は、俳優・要潤にどんな深みを積ませ、氷川誠にどんな奥行きをもたらしたのか……。映画『アギト-超能力戦争-』の公開を、心待ちにしたい。
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