父の所有していた腕時計が憧れのきっかけに。1962年製のオメガを街角取材

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2026.11.07

街角で時計ユーザーに、着用時計をインタビューする企画。その時まとっているモデルの購入理由や思い入れを語ってもらう。今回は、良い風合いに経年変化した、オメガの1962年製モデルを着用しているSさんを取材した。20代でありながら渋いヴィンテージウォッチを着けこなす、彼にとっての腕時計とは?

鶴岡智恵子(クロノス日本版):写真・文
Photographs & Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2026年11月7日公開記事]


オメガへの憧れを原点に

 ヴィンテージウォッチと聞くと、年々市場の広がりに比例するように裾野も広がっているとはいえ、まだ「オジサン時計」がイメージされることもあるかもしれない。しかしSさんは、20代でありながら1962年製のオメガをさらりと着けこなしていた。直径34mmという往年のサイズ感のケース、そして経年変化で焼けた文字盤やヤレた針から、ヴィンテージウォッチの妙味が伝わってくる。なぜヴィンテージウォッチを選択したのかという問いを、まず投げ掛けた。

オメガ シーマスター

Sさんが東京・銀座のWhite Kingsで購入した、1962年製のオメガ。自動巻きムーブメントCal.552を搭載したモデルだという。細みのインデックス、針や薄いリュウズがドレッシーな印象をもたらしている。

「父が着用していたオメガに憧れていて、『あんな腕時計が欲しいな』とずっと思っていました。『ここ一番の時計ならオメガ』という刷り込みですね(笑)。だから今は、『シーマスター アクアテラ』の直径38mmケースのモデルを購入したいなと考えています。ただ、予算の関係で、(現行モデルよりも価格が抑えられる)ヴィンテージを選択肢に入れた結果、2024年9月に銀座のWhite Kingsさんでこの腕時計を購入しました」

 もっとも、ヴィンテージウォッチそのものが、Sさんの嗜好に合っていたようだ。

「自分は手首が細いので、小ぶりなケースサイズが良いんですよね。そういった意味で、ヴィンテージウォッチは最適でした。このモデルは、薄型かつ3針表示のみというドレッシーさに引かれてお店で購入を決めました。経年変化によって良い表情になっていて、唯一無二だと思っています」

 なお、同じオメガで、「シーマスター ジャックマイヨール」も所有しているのだという。「ジャックマイヨールのモデルは、自分の誕生年に製造されたものなんですよ」。

 ヴィンテージウォッチをはじめ、人気モデルだけにとどまらずに憧れの食指を伸ばしていくSさんは、時計への考え方も独創性にあふれるものであった。

「時計と人は『共依存』の関係にあると思います。時計そのものに『1秒』などといった時間は分かりませんよね。人が時間という区切りを決め、『1秒』を設定して、初めて時刻が刻まれていると言えます。一方、人が設定したはずの時間は、時計がないと分かりません。時計がないと、『1秒』を知り得ません。人は時間を知るために、時計が必要です」

 これからもSさんは、愛用のオメガとお互いに依拠しつつ、彼の着用するヴィンテージウォッチがそうであるように、唯一無二の表情を育てながら共に時を刻んでいくのだろう。

オメガ シーマスター

取材時にはブルーのシャツをまとっていたSさん。ヴィンテージウォッチのミニマルな雰囲気とよく合っていた。なお、セイコー プレザージュやロードマーベルも所有しているとのこと。いつか彼の全コレクションを見てみたいものだ。


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