街角で時計ユーザーに、着用時計をインタビューする企画。その時まとっているモデルの購入理由や思い入れを語ってもらう。今回は、映画『007』、特にダニエル・クレイグが演じるジェームズ・ボンドを愛し、「ダニエル・クレイグに近づくために」身に着けるものから所作までに気を配るともやさんに話を聞いた。

Photographs & Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2026年10月30日公開記事]
20年以上の『007』ファンとして
「20年以上、映画『007』が好きで、見続けてきました。元々はピアース・ブロスナンが演じるジェームズ・ボンドが好きだったのですが、ダニエル・クレイグになって、よりイメージに合っているなと思って、彼が演じた最後のボンド作品にも出たこの時計を買ったんです。もう、『買うしなかいな』って(笑)」
そう語る30代会社員のともやさんの袖口からは、“ボンドウォッチ”こと、オメガが2021年にリリースした「シーマスター ダイバー300M 007 エディション」がのぞいていた。彼が語るように、同年10月に公開された映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、ダニエル・クレイグにとって最後のジェームズ・ボンド役だ。2006年公開の『007/カジノ・ロワイヤル』以来、6代目ボンドとして活躍してきたクレイグだが、惜しまれつつもMI6のエージェントを引退することになったのだ。ともやさんが着用していたオメガは、そんな『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の劇中で、実際にクレイグによって着用されたモデルだ。また、クレイグの意見が製品開発に取り入れられていることでも発表当時、話題になった。例えばグレード2チタンを外装の素材としたのは、クレイグが「軍人には軽量な時計が重要」と考えたためだ。

自動巻き(Cal.8806)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。Tiケース(直径42mm、厚さ13.48mm)。300m防水。168万3000円(税込み)。
自身の好きな作品やブランドとコラボレーションした腕時計を購入する話は耳にすることがある。しかしともやさんにとってのこの腕時計は、「好き」だけにとどまらない、特別な存在意義があった。
「自分にとってこの“ボンドウォッチ”は、憧れに近づくためのアイコンです。目指す姿──それはダニエル・クレイグが演じるボンドですが、その目標を認識させてくれる1本なんです。自分はこの腕時計をはじめとした身に着けるもののみならず、日頃の所作も、ボンドらしくあろうと心掛けています」

なお、ともやさんが現在所有しているもうひとつのオメガウォッチも「シーマスター アクアテラ」の007エディションだ。また、今年の8月には、ブライトリングがアストンマーティンとコラボレーションし、「DB5」から着想を得て製品化した「トップタイム」の予約も入れているという。DB5はショーン・コネリー演じるボンドの愛車だ。
憧れに近づくための努力は、人によっては厳しさを伴うだろう。しかしともやさんは、その道のりを“ボンドウォッチ”とともに楽しんでいることが印象的であった。



