エベラールの名作(迷作?)「ネイビーマスター」/ 時計修理の現場から

FEATUREその他
2020.02.28

針の袴を作り直す

 というわけで、元の針を完璧に生かすため、新しく袴を起こしてもらうことにした。ある人に、これほど手をかける時計じゃないと言われたが、思い入れのある時計はきちんと直したい。もっとも、ただのエベラールに手間とお金を費やす人間は、自分で言うのはなんだが、どっかヘンだ。

まずはクロノグラフ秒針の袴の作り直しから。元の外形を測って、固定された袴を完全にカットする。

真鍮の棒材に、ドリルで穴を開けていく。穴径は0.2mm。その後、外側を成形して袴の形に整えていく。

 袴の製作には相当てこずったらしい。針から袴を外し、そこに真鍮で作った袴を埋め込むが、その前に穴を開ける必要がある。クロノグラフ針には0.2mm径のドリルで、12時間積算系の袴は、0.1mm径のドリルで穴を開けた。

穴を開けた真鍮の外周に旋盤で加工をし、袴の形へ整形していく。

オリジナルの袴を針から抜き、代わりに新しく作った袴を埋め込む。

新しい袴を埋め込み、生まれ変わったクロノグラフ秒針。黒いチューブがオリジナルの袴である。

12時間積算計の針も同様に袴を作り直してもらった。こちらの穴のサイズは0.1mmで作られた。針と袴の固定は圧着のみ。

 依頼から2か月後、ようやく修理が完成した。袴の完全交換を含めた修理費は10万円(税別)。正直言うと買った価格よりも高いが、価格以上のことは完璧にやってもらった。袴を作り直してもらったため、今後はクロノグラフ針のぐらつきに悩むことはないだろう。ちなみにネジの頭は、ゼンマイワークスお得意のブラックポリッシュ仕上げ。裏蓋がシースルーでないためただの自己満足だが、俺の“ナナナナ”にはいいネジが入っている、というのは気分が上がる。


修理工房情報
「ゼンマイワークス」
住所: 東京都中央区八重洲2-11-7 一新ビル 2F
電話: 03-6262-3889
HP : https://www.zenmaiworks.jp/

創業年:2014年
社員数:4名 
料金目安(税別):
オーバーホール(分解掃除)/電池交換:
・クォーツ 中心価格3万円
・手巻き/自動巻き 中心価格4万円
・クロノグラフ 中心価格6万円
・複雑時計/アンティーク 見積もりによる
・電池交換:2000円〜