世界のウォッチパーソン紳士録 2018

FEATURE本誌記事
2018.07.25

Sylvain DOLLA シルバン・ドラ  ハミルトン/CEO

1972年12月21日生まれ。①1996〜99年、ドバイの通信機器企業で中東、北アフリカのリージョナルマネージャー、イギリスとアイルランドのカントリーマネージャーを歴任。その後、2004年に、スウォッチのハイテク&アクセス部門の本部長に就任。05〜10年までハミルトン インターナショナルのセールスVIPを務めた後、11年1月より現職。② ―― ③ ―― ④ ――

Laurent DORDET ローラン・ドルデ ラ・モントル・エルメス/CEO

1969年生まれ。①パリ高等商業学校卒業後、アメリカの会計事務所でキャリアを積み、1995年、エルメス・インターナショナルに入社。経理部門に所属し、2002年にはシルク部門の責任者を務める。07年にプレシャスレザー部門の最高責任者、11年にレザー部門の最高責任者を経て、15年より現職。②完売を目指した設備と、サプライチェーンマネジメントの整備を行う。③セイコーのクォーツ時計。④高級時計とは人生に長く寄り添ってくれる美しいオブジェであり、持ち主のスタイルや価値のステイトメントでもあると思います。時計ブランドはユーザーのスタイルを尊重した上で、それぞれのユーザーに見合う、かつ創造性や革新によって、新しい感覚をもたらす製品を提供することが必要です。我々は、トレンドに流されることなく、常にエルメスならではのスタイルで提案しています。だからこそ、ユーザーから厚い信頼を得ているのだと自負しています。

Gregory DOURDE グレゴリー・ドゥード HYT/CEO&パートナー

1972年4月12日/フランス生まれ。①パリの国立土木学校にて学位を取得後、1997年、同じくパリのビジネススクールでMBAを取得。その後、カルティエをはじめとする時計宝飾ブランドでキャリアを積み、スウォッチ グループのカルバン・クライン ウォッチの立ち上げにも貢献する。ハイエック・シニアのもとで、スウォッチ グループ内の関連会社の役員を務め、その後、医療、時計製造、ハイテク関連のプロジェクトを手助けする自身の会社を設立。②ふたつの針で時を表示するという既存の時計の概念にとらわれず、過ぎ去った時と残された時を、液体によって表現したHYTにおいて、そのコレクションの先進性を一層強調した「H0」「H2.0」を開発。「H0」は、レッド・ドット・プロダクトデザイン賞を受賞した。③イエマ。④クリエイティビティ、オーセンティック、統一感、ブランドとその製品に意味を持たせることが必要です。

Carole DUBOIS キャロル・デュボア ピエール ドゥロッシュ/共同創設者

1964年9月7日/スイス、ル・サンティエ生まれ。①2004年、夫であるピエールと、ピエール ドゥロッシュを共同創設。②ブランドの評判と正統性を国際レベルまで高める。③ジャンイヴの金時計。④顧客に対し、誠実かつフェアで、その声をよく聞くことです。ブランドの名声を構築するためには、この倫理観に沿ったものであるべきだと考えています。

Oliver EBSTEIN オリバー・エブシュタイン クロノスイス/オーナー兼CEO

1975年3月5日/スイス、チューリヒ生まれ。①チューリヒの高校を卒業した後、スペイン、マドリードのIEビジネススクールでMBAを取得。企業金融でキャリアを積み、その後は医薬品の分野で国際的な生産・運営を展開する中堅企業数社において、管理職を務める。2012年2月より現職。②クロノスイスのオーナー兼CEOに就任後、本社をスイスのルツェルンに移転。翌年には工房も移転した。コレクションの幅を見直すことに注力し、ブランドのプロファイルを先鋭化。クロノスイスを代表するコレクション、レギュレーターにも手を加え、新生クロノスイスを象徴するコレクションとして生まれ変わった。③ユニバーサル・ジュネーブ。④ブランドとしてのアイデンティティやDNAにこだわり、常に本物であり続けることにベストを尽くす。真の時計愛好家はこれを敬愛しています。

Hiromitsu ENDO 遠藤弘満 ノット/代表取締役社長

1974月8月3日/東京都生まれ。①ウォッチプロデューサーとして、米国特殊部隊用ウォッチのルミノックスを日本に定着させ、スカーゲン、ヌーン、ベーリングといった北欧ブランド時計を年間20万本の市場へと成長させた。2011年、デンマークデザインを広く普及した実績が評価され、「デンマーク輸出協会賞及びヘンリック王配殿下名誉勲章」を受章。14年、「日本の伝統文化や技術をリストウェアを通じて世界に伝える」ことをテーマに、メーカーズ ウォッチ ノットを設立。②2014年、クラウドファンディング「マクアケ」で当時の史上最高額500万円を調達。翌年2回目には1000万円を達成。15年、経済産業省プロデュース「MORE THAN PROJECT」、日経ビジネス「次代を創る100人」に選出される。16年、グッドデザイン賞を受賞。創業からわずか4年で時計本体の販売本数が10万本を突破する。③G-SHOCK「aw-500」。④モノからコト消費への転換。LTVの最大化。

Thierry ESSLINGER ティエリ・エスリンガー ブレゲ/CEO

1963年/フランス、コルマール生まれ。①パリのIAEで経営学の学位、オルレアンE.S.E.Mでエンジニア学位を取得後、1988年、ドイツの冶金会社でキャリアをスタート。95年、コンサルティング会社、ハイエック・エンジニアリングに経営陣の一員として入社し、コンサルタントとしてスウォッチ グループのプロジェクトや会社運営に携わる。2017年9月、ブレゲのCEOに就任。② ―― ③ ―― ④ ――

Louis FERLA ルイ・フェルラ ヴァシュロン・コンスタンタン/CEO

1975年1月17日/ベルギー生まれ。①2001年、リシュモン グループに入社。香港、台湾、アラブ首長国連邦で海外勤務を経験する。その後、カルティエ中国のCEOを経て、17年より現職。②ヴァシュロン・コンスタンタン全体において、「勝利」そして「協調性」につながるマインドセットを育て、顧客中心型の戦略を実現。常に最良のアイデアが採用される組織を構築した。③カルティエ「タンク」。④完璧にバランスのとれた「美的外観」と「技術面」の卓越性を追求して製作された美しい作品。

Carole FORESTIER-KASAPI キャロル・フォレスティエ=カザピ リシュモン/ムーブメント製造部門責任者、カルティエ/高級時計ムーブメント開発責任者

1968年5月27日/フランス、パリ生まれ。①ラ・ショー・ド・フォン時計専門学校にて時計の修理と製造を学ぶ。1993~97年、ルノー・エ・パピの技術研究開発部責任者を務める。98~99年、ユリス・ナルダンでのムーブメント技術者を経て、99年、カルティエの高級機械式時計ムーブメント開発責任者に就任。現在はリシュモン グループのムーブメント製造部門責任者を務める。②ゼニス「エリート・シリーズ6」のキャリバー。ブレゲ賞を受賞したピアジェ向けのレラティフ・トゥールビヨン。カルティエ向けオート オルロジュリー コレクション、ベースムーブメントコレクション。1997年に「カルーセル・サントラル」でブレゲ賞を獲得。③20歳の誕生日に贈られた、オメガのコンステレーション。④技術面や意匠などの技巧の凝らし方、芸術性などにおいて、さまざまにあると思いますが、最も大切なことは、望まれているものを作ることです。

Stephen FORSEY ステファン・フォルセイ グルーベル フォルセイ/共同創立者

1967年3月28日/イギリス、セント・オールバンズ生まれ。①イギリスの宝飾会社アスプレイで時計修復部門の責任者を経て、1992年、ルノー・エ・パピに入社。ロベール・グルーベルのチームに配属され、複雑な機械式ムーブメントの開発に携わる。2004年、共同でグルーベル フォルセイを設立。②2011年、「ダブルトゥールビヨン30°テクニック」が、国際クロノメトリーコンクールにおいて1000点中915点の最高得点で優勝。10年に「ダブルトゥールビヨン30°イストリック」、15年に「トゥールビヨン 24 セコンズ ヴィジョン」が、ジュネーブウォッチグランプリで金の針賞を受賞。③クラシックなデザインのセンターセコンドの機械式時計。④真にラグジュアリーなものは、人が芸術的かつ知的に手で創造できるものが頂点にある。これには創作のそれぞれの段階において優れていることが必要だ。我々は革新性と機能性、信頼性、手仕上げの完璧なバランスを得ようと懸命に努力している。

Romain GAUTHIER ローマン・ゴティエ ローマン・ゴティエ/創業者

1975年2月2日/スイス、ル・サンティエ生まれ。①技術学校で精密機械のコンストラクターの資格を取得後、時計部品メーカーのプログラマー兼オペレーターとしてキャリアをスタート。2002年、自身のブランド設立のためにMBAを取得し、05年、ローマン・ゴティエを創設する。②07年、ファーストモデル「プレステージ HM」を発表。13年、ジュネーブウォッチグランプリにて「ロジカル・ワン」がベスト・メンズ・コンプリケーション賞を受賞。③ ―― ④クリエイティブかつイノベーティブ、そして時計愛好家たちの「憧れ」であり続けることが最も大切だと思います。その姿勢こそが、スイスの時計産業に対して過去の遺産をただ活用するだけでなく、時計産業の新しい歴史を刻むことにもつながると信じています。

Christoph GRAINGER-HERR クリストフ・グランジェ・ヘアー IWC/CEO

1978年2月27日/ドイツ、フランクフルト・アム・マイン生まれ。①2006年にIWCに入社し、マーケティング部門でキャリアを積む。11年よりエグゼクティブブランド設計者を経て、15年、副所長に就任。16年からは小売/海外営業取締役も兼任し、17年より現職。②2017年、アメリカでeコマースの運用をスタート。18年からは、IWCの公式webサイトで「インヂュニア クロノグラフ」の素材をユーザーが自由に組み合わせることができるオンラインツールサービス「IWC コンフィグレーター」を開始した。また同年、時計製造を1カ所に集約した最先端の生産拠点を完成させる。③2004年に購入したSS製ケースのIWC「アクアタイマー・クロノグラフ」。④高級時計業界で何よりも必要とされることは、永遠に時を超越する美しいデザインです。また、グローバルブランドの実現とクライアントサービスにおいて卓越していることも絶対的に必要な要素と言えるでしょう。

Frédéric GRANGIÉ フレデリック・グランジェ シャネル(パリ)/時計・宝飾部門社長

1969年10月9日生まれ。①インセックビジネススクール、Institut Supérieur de Marketing du Luxeを卒業後、ラグジュアリーブランドでキャリアを積み、2010~16年、日本のルイ・ヴィトンCEOを務める。16年7月より現職。②2017年、「プルミエール カメリア コレクション スケルトン」を発表し、ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリのレディス部門で受賞。同年、「コード ココ」を発表。18年、第3の自社開発ムーブメント搭載モデル「ボーイフレンド スケルトン」を発表。③80年代のカシオ「カリキュレーター・ウォッチ」。④私たちの顧客は、美しさに非常に敏感であると感じています。シャネルにとって、美しさはすべてのクリエイションの鍵であり、複雑機構や機械式ムーブメントを通じて表現できることを証明してきました。シャネルはブランドの価値とビジョンを表すために商品を開発し、常にクリエイションを優先します。マーケットリサーチに基づいて商品を作ることは絶対にありません。

Robert GREUBEL ロベール・グルーベル グルーベル フォルセイ/共同創立者

1960年1月19日/フランス、アルザス地方生まれ。①時計師の父のそばで幼少期より時計の基礎を学ぶ。1987年よりIWCでグランドコンプリケーションのプロジェクトに参画。90年にはルノー・エ・パピの共同最高執行責任者および共同経営者となる。99年に独立し、2001年にステファン・フォルセイと共にコンプリタイムを設立。04年に共同でグルーベル フォルセイを立ち上げる。②09年、ガイア賞を受賞。14年に「QP a Equation」を発表。07年に設立された「Time Aeon Foundation 」を通じて、ウォッチメイキングにおける伝統的な技術・知識を守る活動を続ける。③ ―― ④時計市場では、ウォッチメイキングに信頼性や信憑性を求める気持ちが育っている。我々は、年間わずか100ピースほどしか生産できなくとも、何よりも品質を求める。そうして製作された稀少でユニークなタイムピースが、時計市場を牽引する世界中の時計コレクターと唯一の関係を築いているのだ。

Ricardo GUADALUPE リカルド・グアダルーペ ウブロ/CEO

1965年3月5日/スイス、ヌーシャテル生まれ。①1988〜94年、ブルガリのプロダクトマネージャーを務め、95〜96年、ブランパンのブランドマネージャー、97年、同セールス&マーケティングディレクターに就任。2001年に独立。04年よりウブロのマーケティングと製品コンサルタントを務める。05年、マネージングディレクターに就任。12年から現職。②08年、ジャン-クロード・ビバーとともにウブロのサッカー界進出を推し進めた。今ではワールドカップのオフィシャルタイムキーパーを務めるほどの地位を確立。③ヌーシャテルで作られた「MICROMA」というスイス時計。④夢を見せること、そして感情をかき立てること。

Harry GUHL ハリー・グール チャペック/チェアマン

1969年5月15日/スイス、バーゼル生まれ。①1990年代後半より、ブランドの構築とコンテンツの生産、アートの世界における動員数の増加に特化したコンサルタント事業を独立して行う。近年では、エンジェル投資家として、いくつかのラグジュアリーブランドを支援している。②チャペックの創立。③曽祖父が身に着けていた1920年製造のロンジン。④信頼性と誠実性、そして一貫性。

Shinji HATTORI 服部真二 セイコーホールディングス/代表取締役会長兼グループCEO、セイコーウオッチ/代表取締役会長兼CEO

1953年1月1日/東京都生まれ。①1975年、慶應義塾大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。84年、精工舎に入社。2003年、セイコーウオッチ代表取締役社長就任。10年、セイコーホールディングス代表取締役社長就任。12年、同社代表取締役会長兼グループCEO就任。15年、セイコーウオッチ代表取締役社長兼CEO就任。17年に同社代表取締役会長兼CEO就任。②2011年、「スプリングドライブ ミニッツリピーター」を発売。12年、世界初のGPSソーラーウォッチ「セイコー アストロン」を発売。14年、グランドセイコー「メカニカルハイビート 36000GMT限定モデル」が、ジュネーブウォッチグランプリで「プティット・エギュイーユ」部門賞受賞。17年、グランドセイコーの独立ブランド化。③父に譲ってもらったグランドセイコー。④スペック、機能だけでなく、技術の継承、美意識、匠の技など、時計の「個性」につながるエピソードをもって、人の感性に訴えかけること。

Marc A. HAYEK マーク A.ハイエック ブレゲ/社長、ブランパン/社長兼CEO、ジャケ・ドロー/社長、スウォッチ グループ/取締役

1971年2月24日/スイス、ルツェルン生まれ。①1992年からスウォッチのPR&マーケティングアシスタント、サーチナのマーケティングマネージャーを経て、チューリヒのレストランオーナーに。2001年、ブランパンのマーケティング担当ヴァイスプレジデント、02年より社長兼CEO。②流通と顧客サービス向上のためにシステムを再構築。05年にスイス初のブランパン・ブティックをジュネーブに開設。同年、ル・ブラッシュの工房をリニューアル。③ティソ。④高級時計の需要は品質に比例して増加していくだろう。したがって、製品をさらに絞り込んで品質を向上させ、非常に高い水準を自らに課し、常にブランドを定義付け、信頼性を維持しなければならない。

Francisco A. HERRERA フランシスコ・A・ヘレラ ボール ウォッチ/CEO

1945年/エルサルバドル生まれ。①グローバルに金融事業を展開する企業のグループで30年以上のキャリアを積み、その後、現職。②過酷な環境下でも耐えうる頑強さや性能を備えた機械式時計の開発。そして従来の常識にとらわれない発想や技術を積極的に採用し、顧客から喜ばれるような製品を数多く提供した。③ ―― ④ブランドの使命、信念を貫き、そして長きにわたりファンから愛されること。

Ulrich W. HERZOG ウーリック・W・エルゾック オリス/会長

1943年6月10日/スイス、バーゼル生まれ。①1978年、マーケティングマネージャーとしてオリス入社。82年、代表取締役就任。2001年、会長兼CEO就任。05年、オリス・グループ会長に就任。16年よりオリス・グループ会長として製品開発の統括開始。②1985年、クォーツ時計の生産をやめて機械式時計生産に専念するため、マネジメントバイアウトを打ち出す。独自のムーブメントを適正価格で提供し、さらにユーザーに付加価値を提供する商品開発にも注力。時計製造におけるさまざまな特許を取得する。2010年からは、海洋環境保全のプロジェクトを支援している。③12歳の時に祖母からもらった2針の金時計。④ラグジュアリーマーケティングの鍵は、持続性です。製品は常に、その時におけるサステナブルな基準を満たし、そして最高水準のプロダクトであること。従業員が公正な待遇で働ける環境であることなど、あらゆる意味における持続性が必要です。

Jack William Edouard HEUER ジャック・ウィリアム・エドワード・ホイヤー タグ・ホイヤー/名誉会長

1932年11月19日/スイス、ベルン生まれ。①電気工学の学位を取得後、1958年に家族が経営するホイヤー社に技術者として参加。62年、エドワード・ホイヤー・アンド・カンパニーSAの筆頭株主。64年、ライバル関係にあったレオニダス・ウォッチ・カンパニー社を買収し、ホイヤー・レオニダスSAに社名を変更。63年、初代「カレラ」を発表。82年にホイヤー・レオニダスSAを離れるが、99年にタグ・ホイヤーがLVMHグループに加わったのを機に、名誉顧問として招聘される。2001年に名誉会長に就任。②名誉会長就任後は、アンバサダーとして各国を訪問し、「タグ・ホイヤー 360 ミュージアム」のアドバイザーも務める。14年に自伝『TIMES OF MY LIFE』を上梓。③ ―― ④ ――

Christine HUTTER クリスティーネ・フッター モリッツ・グロスマン/創立者、CEO

1964年2月2日/ドイツ、アイヒシュテット生まれ。①ヴェンペ、モーリス・ラクロア、グラスヒュッテ・オリジナル、A.ランゲ&ゾーネでキャリアを積み、2008年11月11日にグロスマン・ウーレン社を設立。②モリッツ・グロスマンを創立。12年に新しい自社工房を設立。伝統的な職人技と最新のテクノロジーを融合し、「ベヌー」「アトゥム」「テフヌート」という3つのプロダクトラインを発表。海外に販売拠点を広げる。③母からもらったゴールド製の機械式時計。④高品質で、魅力的なデザインの製品。ブランドの認知度を向上させるとともに、リテーラーや顧客との信頼関係を構築すること。そして、市場動向に合わせたクリエイティブな解決策、ユーザーのニーズに迅速に対応することが必要です。

Stefan IHNEN ステファン・イーネン IWC/研究開発副所長R&D部門責任者

1973年8月18日/ドイツ、オーリッヒ生まれ。①1992年より時計師としてのキャリアを積み、2002年、IWC入社。06~09年までムーブメント研究開発責任者を務め、10年より現職。②IWC初の自社製クロノグラフムーブメントCal.89360の開発に深く関わる。ムーブメント研究開発責任者就任後は、「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー・デジタル・デイト/マンス」や「ポルトギーゼ・トゥールビヨン・ミステール・レトログラード」など、複雑機構を搭載したモデルを開発。現職就任後は、チタンアルミナイドや炭化ホウ素などの新素材の採用や、セラミックス、チタンといった既存の素材のリバイバルを推し進める。③子供の頃に祖父からもらったタイメックス。④ブランドのルーツと歴史に照らした、力強い本物のデザインと、頑丈で信頼のおける技術を組み合わせることが必要です。ユーザーに付加価値を提供し、動作が簡単で、読み取りやすくなければなりません。

François-Paul JOURNE フランソワ-ポール・ジュルヌ F.P.ジュルヌ/代表

1957年3月22日/フランス、マルセイユ生まれ。①マルセイユとパリの時計学校を卒業後、叔父のもとでアンティークウォッチの修復に携わる。82年にトゥールビヨン懐中時計を完成させ、99年より自身の名を冠したメゾンを創立。②モントル・ジュルヌ社の創設者兼代表として、全コレクションの設計からデザインに至るまですべてひとりで行う。ジュネーブウォッチグランプリで、2004年、06年、08年に金の針賞を受賞。③5歳の時に持っていた懐中時計。その時計を「ベベ・ガダム」(石鹸の銘柄)と呼んで大切にしていた。④私は面白味のない時計に興味はありません。それは誰もが共通だと思います。私が心掛けていることはただひとつ。今まで通り時計と真摯に向き合い、F.P.ジュルヌにしか創り出せない、革新的な時計製作を続けていくこと。それが最も重要です。