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クロノグラフ購入を検討する際に知っておきたいポイント(前編)(1/1)

時計を購入する際に、どんなに見た目が好みでも、その時計が機能を持った時計であるならば、その機能が自分の行動ときちんと合っている方が良い。自分の嗜好と、実際に必要な時計とを合致させやすくするために、クロノグラフを選ぶために必要なポイントをまとめてみた。前後編に分けてお届けする。
Originally published on watchtime.com
Text by WatchTime

1.どのように使うか

 販売スタッフ「どのようにクロノグラフお使いになりますか?」 客「使う? そんなことは考えたことがないなぁ」。
 クロノグラフはレースの場で活躍するだけではない。他にも多くの実用的な使い道がある。調理時間、パーキングメーター、ウォーキングやランニング、バイクの運転、毎日のエクササイズ、会議そしてピザの配達時間などがよく挙げられる。「即時」と謳うオイル交換がいかに長いものかがよく分かる。レストランで「テーブルは5分で用意できます」と言われた瞬間にスタートボタンを押してみてほしい。また、あなたの奥さんが「5分で用意ができるわ」と言った時にボタンを……、いやこれは良くない例えだ。弁護士など時間を計り売りする職業の人たちは、請求できる時間を計ることができる。または交通渋滞にはまってしまったときに渋滞の間隔を計ることもできるし、テレビを観る時間、病院や歯医者での待ち時間を計ることもできる。または何か覚えておきたいアイデアが浮かんだとき、クロノグラフを駆動させてみてほしい。まだそのアイデアが頭の中に残っていることが前提ではあるが、後で時間を見たときに、あなたの記憶が呼び覚まされるだろう。

 他の使用法については、時計が特殊な機能を持っている必要がある。例えばほとんどのクロノグラフが水中では使用ができないし、長時間の駆動もできない。継続的に計測が可能なクロノグラフもあるが、そうでないものや、数度計り直す必要があるものがある。時計を選ぶときにあなたが必要な機能を備えているかどうかを知って、注意深く選んでほしい。


2.視認性

他のサブダイアルを「食う」ようなIWCとゼニスのモデルを例に見る、さまざまなクロノグラフの積算計表示。IWCは12時位置の同軸積算計で分および時積算を表示し、3時位置は月、9時位置は日付をディスクでデジタル表示する。

 視認性(計測時間の読み取りやすさ)は、今では常に保証されるものではなくなった。以前は、ブランドが、クロノグラフとは実用されるものであり信頼性が重要だと考え、計測時間を読み取りやすいように作っていた。現在では、計測時間はファッション性の犠牲となるケースが多い。ブランドは視認性を二の次にして、自分たちの求めるデザインを優先し、エンドユーザーたちに「かっこいい!」とその気にさせて、その財布にたどり着くようにしてきた。

 でもこれを読んでいるあなたは、クロノグラフにはっきりと見やすい表示を求めているかもしれない。その際はぜひ文字盤に注意を払ってほしい。特に表示されていないものがないかという点に注意を払ってほしい。例えば暗いところでクロノグラフを見る必要があるときには(それがどんな計測機会かは尋ねないことにするが)、より詳しく確認してほしい。なぜなら、暗所で計測時間を確認できるクロノグラフは非常に限られるからである。


3.どこで作られたものか

A.ランゲ&ゾーネのダトグラフ アップ/ダウンのキャリバーL951.6はようやく自社製のものとなった。

 クロノグラフのムーブメントにはさまざまな種類がある。自社製、外注のもの、ハイブリッド、モジュールとして組み込まれたものなど、いろいろである。物によってはそれが事実上のカースト制度ともなる。出自がどこであるかということと物理的なフォルムが深く関わり、結果、それがステータスともなり、また聖痕ともなり得るのである。

 自社製のクロノグラフは典型的な機構が設計の中に組み込まれており、モジュールを使用しておらず、コラムホイールが中心となった。特に写真2点で挙げたムーブメントをはじめ、自社製のムーブメントは機能的部分が活かされた丁寧な仕上げが施され、細心の注意を払って調整され、そして結果として高品質で使いやすい印象を与える。同時にそれらのムーブメントは時計の外観的な美しさも生み出す。インハウスでの製造はブランドに独自のデザインを作ることを可能とし、すべての製造工程におけるコントロールを可能とする。もちろん、こういったことには資本投下が必要だ。自社製ムーブメントを搭載したクロノグラフはある程度高価であり、アフターサービスもコストがかかりやすい。またアフターサービスには時間もかかり、遠方へ送られる可能性もある。コレクターたちはよく自分たちがコレクションしているタイムピースが貯める、フリークエントフライヤーのマイルに関して冗談を言い合うが、これはユーモアで痛みを隠す方法でもあるのだろう。

 外注のムーブメントにも、それなりのメリットがある。ほとんどが既に長く市場にあり、何度もテストされた設計を基にしているため非常に信頼性が高い。それに伴いアフターサービスに関してもあまり高額でなく、海外に送られることなく対応が可能である。交換パーツも在庫にあるケースが多い。これらのムーブメントには安定性があり、良きタイムキーパーとなる。ETA社はさまざまなグレードのムーブメントを提供しており、クォリティの梯子を上るたびに、時計は改良されていくのである。トップレベルはC.O.S.C.認定付きだ。
 他方で、外注のムーブメントは大量生産されている、つまり特別なものではないのである。手仕上げの仕事はわずかか、もしくはまったく加えられない。これらの部品の多くは型抜きで、削り出しではない。
 クロノグラフムーブメントは美しさよりも設計コストを抑えることを優先されやすい。このようなムーブメントは価格が100USドルから数千USドルのものに見られるが、時には数万USドルするものもあり、高価格帯のものを購入しようとする人を悩ませる要因になるのである。


4.一体型かモジュール式か

ジラール・ペルゴのクロノグラフムーブメントは一体型で、コラムホイールがデザインに調和している。

 クロノグラフのムーブメントの設計について原理主義者たちはモジュール式よりも一体型を好む。なぜなら一体型の場合は、どのように内蔵するかが初めから設計に組み込まれているからだ。その点が特に重要なのは、クロノグラフはそれなりの力を必要とする「ヘビー」な機構だからである。モジュールの加わったムーブメントはサンドイッチやピギーバックとも呼ばれ、基本的にベースムーブメントの文字盤側にクロノグラフモジュールを加える。シースルーバックから美しいクロノグラフ機構を眺めたければ、一体型ムーブメントをお勧めする。

 最も大切で繊細な部分に関わるが、モジュールを使用したものは精度があまり良くないという人もいる。これは、モジュール追加式の場合、クロノグラフを駆動させた時にテンプの振り角が落ちるために起こる。ウォッチタイムによる直近のふたつのテストでは、モジュール式のクロノグラフでは、クロノグラフ駆動時に振り角が平均73.5°落ちた一方で、一体型では19.5°に留まっていた(一体型モデルも垂直クラッチを採用していた)。もし手にした時計がどちらの方式のムーブメントを搭載しているかはっきりしない場合のために、いくつかのモジュール式の特徴を述べる。多くの石が使われ、シースルーバックからクロノグラフ機構が見えず、日付表示が文字盤のすぐ下ではなく開口部の奥の方に収まっており、リュウズがクロノグラフのプッシュボタンと水平になっていない(いくつかのブランドはこれを解消するために大きめのリュウズやプッシュボタン、プッシュガードなどを採用している)などが挙げられる。


5.コラムホイール式かカム式か

ブライトリングのキャリバー01(上)とロレックスのキャリバー4130(下)。いずれもスタート、ストップ、リセットを制御するのにコラムホイールが使われている。

 クロノグラフ駆動中にリセットボタンを押してしまった場合を考えてみてほしい。「輪列脱線」という言葉が頭に浮かぶだろう。そう、まさにその通りなのだ。こういった惨事を避けるために、クロノグラフはプッシュボタンによる操作をまとめるシステムを採用している。お察しのようにさまざまなシステムがあるが、それぞれに賛否両論がある。
 原理主義者の人々が好む伝統的な機構はコラムホイール式である。この名称は、この部品が、横たわる歯車の上にいくつかのコラム(円柱)が垂直に立ち上がる形状をしていることによる。プッシュボタンを押すたびにコラムホイールが回転し、同時に歯車の上のコラムも回転する。これによって、コラムに接している作動レバーの先端が動かされ、このレバーがクロノグラフのスタート、ストップ、リセットの動きを制御する。
 伝統的な機構であるコラムホイールは、製作にも調整にもコストがかかり、アフターサービスの対応も難しい。外観的には非常に美しく、プッシュボタンの操作感を滑らかにする。別の言い方をすれば、この機構は高級感を求めるクロノグラフのために作られているということだ。

 コラムホイール式はかつて一般的なクロノグラフの制御機構だった。しかしより効率的な方法を模索してきた時計メーカーやムーブメントメーカーの中には、コラムホイールに取って代わるカムメカニズムを開発したところもある。新しい機構は伝統的なそれに似ているが、薄い金属製パーツの奇妙な形状のカムがコラムホイールの代わりを果たしている。このカム式はさほど製作費がかからない。調整もアフターサービスもより簡単であるが、しかし見た目があまり良くないのだ。使い勝手はというと、コラムホイールと同等である。NASAは宇宙飛行用の時計として、オメガ スピードマスター プロフェッショナルのコラムホイール式とカム式の両方を認めている。現在、最も普及しているカム式を採用したクロノグラフムーブメントが、ETA社のキャリバー7750である。
 しっかりとした時計を探していて、あまりムーブメントの見た目を気にしないのであればカム式はお手頃だろう。一方、伝統的なものが好みで、シースルーバックからの眺めにこだわり、原理主義者の証が欲しいのであればコラムホイール式という選択肢が合っていると言える。

(続く)


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