米国人から見たG-SHOCKレビュー。日本の伝統防具“YOROI”をデザインモチーフとした「MRG-B1000D」

FEATUREWatchTime
2021.02.15

G-SHOCKはフラッグシップコレクション、MR-Gを拡張・アップグレードすると同時に、その着想の源として生まれ故郷である日本の歴史と伝統を探求し続けている。今回紹介する「MRG-B1000D」はミドルサイズのチタン製ケースを採用したモデルで、日本古来の鎧と剣の外観を想起させるブラックとレッドがアクセントとなっている。

Originally published on watchtime.com
2020年1月掲載記事

G-SHOCK「MRG-B1000D」

MRG-B1000D


深層硬化処理を施したチタン製ケース

「MRG-B1000D」のケースとブレスレットは軽量なチタン製である。このチタンは深層硬化処理を施すことで、純チタンと比較して5倍の硬度を得ている。また同時に、チタンカーバイド処理によって表面はさらに高い硬度を得ている上、表面にシルバーの輝きをもたらす。ベゼルは4本のスクリューで4カ所が留められ、DLCコーティングによってなめらかなブラックの仕上げとなっている。なお、このシリーズにはケースとブレスレットにチタンカーバイトではなく、DLCをコーティングしているモデルも存在する。

MRG-B1000D

G-SHOCK「MRG-B1000D」
タフソーラー。駆動時間約5カ月。Ti(直径46.2mm、厚さ14.6mm)。20気圧防水。26万円(税別)。

デザインのインスピレーションは鎧

 文字盤の表面には、はっきりとした赤のディテールが見て取れる。センター針、9時位置にある「モード」選択用のサブダイアル、ダイアル外周のミニッツスケールなどがそうだが、そのインスピレーションの源は封建時代の武士たちがまとっていた鎧に見られる赤の縅(おどし)である。縅とは鎧の札(さね)を皮や糸で結びあわせた物である。

 ケースとブレスレットのリンクに見られる美しい輝きは、匠によるザラツ研磨によって得られる。この研磨方法はいわゆるバフ掛けとは異なり、研磨紙をセットしたザラツ研磨機という特殊な研磨機を用いて行う。

MRG-B1000D

ブレスレットのリンクにもザラツ研磨が施される。

 美しい鏡面仕上げをもたらす上に、稜線の角を丸めないザラツ研磨だが、残念ながら現在では日本の一部のメーカーのみが採用するのみだ。というのも、この特殊な研磨機を開発したスイスのザラツ兄弟社はすでに廃業しており、日本で作られる代替機のみでしかザラツ研磨を行えないのである。また、ザラツ研磨を採用する日本メーカーも特殊で手間の掛かるこの研磨方法をすべてのプロダクトで採用する訳ではなく、ごく限られたモデルでしか行っていない。

マルチバンド6とスマートフォンリンク、ふたつの時刻調整機能

 ムーブメントには既存のMR-Gモデルと同様、太陽光で発電する「タフソーラー」を採用。さらに「マルチバンド6」という標準電波受信機能を持つことで、日本、北米、英国、ドイツ、中国の時刻電波を自動で受信し、時刻を自動で修正してくれる。

 また、Bluetoothを用いた「スマートフォンリンク」も搭載している。このため、スマートフォンと連動させれば上記5エリアのみでなく、世界各国の現地時刻を自動で合わせることができる。

 そのほかの機能としては、日付表示、300都市以上のワールドタイマー表示、クロノグラフ、カウントダウンタイマー、アラーム、バッテリー残存量表示、2099年まで正確に表示するフルカレンダーが挙げられる。

MRG-B1000D

 またG-SHOCKの伝統的な衝撃吸収システムももちろん採用している。また、モジュールに組み込まれた耐磁性プレートを使用することによって電波の受信感度を高める上、日常の使用における耐磁性能も確保している。

 耐傷性の高いサファイアクリスタル製風防には内面無反射加工がコーティング、その下には立体的なアプライドインデックスが配される。そのため、視認性は高い。暗闇ではLEDライトを点灯させることができるため、夜間や天候の悪い日、採光が充分ではない環境でも表示の読み取りが容易になっている。

 Bluetooth用の機械と時刻測定シグナル受信モジュールサイズが小さくなったため、MRG-B1000Dは「MRG-G1000」シリーズと比べて直径が3.6mm小さく、厚さは2.3mm薄く作られている。よってG-SHOCKの堅牢性と存在感はそのままに、装着感は改善された。


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