近年、さまざまな時計ブランドが機械式ムーブメントを搭載したレディスモデルをリリースするようになった。男性用とは違う色使いや、凝った造形など、非常に魅力的なモデルが多く存在する。しかし、機械式のレディスウォッチを選ぶ際は、大きく分けてふたつのチェックすべきポイントがある。今回はそれを詳しく解説しよう。

2022年11月04日更新
最も見るべきは“中身”
機械式ムーブメントを搭載したレディスウォッチは、最近になって増えている傾向にある。これまでは同じコレクション内でも、メンズモデルは機械式ムーブメントを、ケース径の小さなレディスモデルはクォーツムーブメントを搭載している場合が多かった。
それが時代の流れとともに変化し、機械式の価値が見直されている現在、優秀な小型ムーブメントも開発されている。3〜5年に一度電池を交換すれば、高い精度で動き続けるクォーツムーブメントは、腕時計として使用する分には楽だが、やはり“一生モノ”を見つけることは難しい。またモーターで針を動かすクォーツモデルは、トルク(針を回転させるための力)が弱いため、デザインに制約が出てしまう場合もある。
普段、そして一生着用する機械式のレディスウォッチは、やはりきちんと“使える”ものでなくてはならない。
自動巻きムーブメントならば、巻き上げ効率の高いものを
機械式ムーブメントは、手で直接ゼンマイを巻き上げる「手巻き」と、ローター(=回転錘)が腕の動きで振られ、ゼンマイを巻き上げる「自動巻き」に分けることができる。一部のモデルを除き、機械式のレディスウォッチには自動巻きのムーブメントが搭載されている場合が多い。
ここで見るべきポイントは、できるだけ巻き上げ効率の高い自動巻きムーブメントを搭載したモデルを選ぶこと。というのも、一般的に男性に比べて、女性の運動量は半分程度と言われており、仮に女性が男性用の自動巻き時計を買ったとしても、巻き上がらないことが多い。
そのため、特に大手のブランドでは、女性用機械式時計に巻き上げ効率の高い片方向巻き上げのムーブメントを採用したり、新しくレディスモデル用に自動巻きムーブメントを開発するようになった。最新設計の自動巻きであれば、巻き上げに困ることは少ないだろう。
磁気に強い(=磁気帯びしにくい)かも重要
もうひとつ、注視すべきは機械式ムーブメント磁気帯びだ。女性用のカバンには、しばしば留め金に磁石が使われているほか、今や誰もが持つスマートフォンや仕事で使用するPCなど、身近な道具に磁石が潜んでいる。
磁気は、金属製のパーツを多く使っている機械式ムーブメントにとって天敵。気を付けないと機械式時計は簡単に磁気帯びしてしまい、正常に動作しなくなってしまう。
機械式時計を日常使いしたい場合は、磁気帯びしにくい仕様のムーブメントを強くお勧めする。特に精度に大きく関わる重要なパーツである「ヒゲゼンマイ」に、磁気の影響を受けないシリコン製のものを使った機械ならば、普通に使っていて問題が起きてしまうことは少ないだろう。

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