IWCは、腕時計に一家言を持つ愛好家やビジネスパーソンから厚い信頼を集める時計メーカーである。なかでも「ポートフィノ」は、ブランドのエントリーシリーズに位置付けられているものの、熱心な時計ファンからの人気も高い。そんなポートフィノの魅力を探ってみよう。
クラフトマンの技が光るIWC
IWCは洗練されたイメージを放ち、世界の社交界や各界のエグゼクティブなどにも愛用者を持つブランドだ。
一流の時計メーカーは多数存在するが、そのひとつであるIWCの特徴は、高い技術力にある。
モノ作りを追求する姿勢においては他社の追随を許さない。そんなIWCの歴史とポリシーについて触れてみよう。
アメリカ人創業のスイス名門ブランド

高級時計といえば、スイスをイメージする人は多い。実際、高級時計ブランドとして名を連ねているのは、スイスの熟練技師が彼の地で創設したものが大半だ。
IWCも、スイスの名門として知られるブランドで、1868年に産声を上げた際の正式な企業名は、International Watch Company(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)という。
だが、その創業はアメリカ人の時計技師であるフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズによるものだ。この点に、大きな特徴がある。
アメリカで生を受け、時計に魅了されたジョーンズが、スイス人の職人であるヨハン・ハインリッヒ・モーザーと協力し、スイスのシャフハウゼンで設立したことが始まりなのだ。
高い技術を誇り永久保証を掲げる
IWCを一流時計メーカーに押し上げた背景には、同社の長い歴史のなかで培われた高い技術力がある。それゆえIWCの時計は、いずれも高い完成度を示している。
そして、時計作りに対する高いレスポンシビリティーも備えている。それを強く現しているのが「永久保証」だ。
良い時計ほど、愛着が深まるものである。だからこそ、一生ものとして時計を選ぶ際には修理や保証といったサポートを注視する必要がある。
過去に製造した時計の部品をいつまでも保管しておくことは、大きな手間とコストがかかる。多くの有名メーカーでも、一定期間が経過したら修理を受け付けないケースがあるのはそのためだ。
しかしIWCは、一度オーナーの手に渡った時計は必ず修理する姿勢を貫いている。1868年の創業から現在に至るまで、世に送り出したすべての時計の修理を受け付けている。
ポートフィノの魅力
「ポートフィノ」は、各界のトップを魅了するIWCの中でも人気シリーズのひとつで、同社の中心的なモデルだ。
クラシカルなデザインによってソフィスティケートされた雰囲気を生むポートフィノは、あらゆるシーンにマッチする。
高級時計に関心を寄せ始めた人から熱心な時計ファンまで、幅広い層に支持されるポートフィノについて掘り下げてみよう。
時代に左右されないデザイン
ポートフィノは、誕生から30年以上を経ても、年齢や性別を問わずに愛され続けるコレクションであり、IWCの中でも常に高い人気を獲得している。
その大きな理由に、時代に左右されることのないルックスが挙げられる。どの時代でもクラシカルなデザインは支持されるもので、ポートフィノはそうした声に確実に応えている。
シンプルな造形を追い求めた同シリーズは、スマートなリーフ型の針や立体感を生み出すアプライドインデックスを特徴とし、シンプルでエレガントなたたずまいに仕上げている。
流行におもねることなく、時計の伝統に裏打ちされた上品な魅力を追求。手にしてみればポートフィノだけがまとう品格を、存分に感じられるはずだ。
時計通からも愛される名機
実用性に優れたポートフィノは、大型のケースも特徴のひとつだ。視認性を確保した文字盤は、確実に時を教えてくれる。
ビッグサイズでありながらスマートさを感じさせるのは、ミニマリズムを追求した結果である。
不要な装飾を排除し、ディテールにまで研ぎ澄まされた意匠を凝らしたポートフィノには、名機の風格を感じさせる。
それゆえに、政財界などのトップが集うフォーマルなシーンにもふさわしい、時計通からも愛される、極上の逸品と言えるのだ。
ポートフィノの歴史
長い歴史を有し、いくつもの時代を駆け抜けてきたIWCであるが、「ポートフィノ」はその輝かしい1ページを鮮やかに飾るコレクションだ。
時代によって流行が移り変わる中、基本的なコンセプトを維持しながらも、時流に沿ったデザインを施しながら高い支持を得てきた。そのポートフィノの歴史を見てみよう。
1984年に生まれたロングセラーモデル

ポートフィノのデビューは、1984年のことである。誕生からわずか30年超の歴史において、たび重なる仕様変更が行われてきたが、基本的なデザインを守り抜きながら現在に至っている。
その名は、イタリアのリグーニア海外に面する漁村であり、高級リゾート地の「Portofino(ポルトフィーノ)」にルーツを持つ。絵画のような美しい港でも知られ、世界的テーマパークのセットのモチーフに採用されたことでも有名だ。
ポートフィノの多くで見られるのは、12時と6時のポジションにはローマンインデックスをあしらい、3時位置にはデイ表示を配したデザインで、時を刻む様子は実に優雅だ。
90年代から現在までの変遷

ポートフィノの原型は、IWCの懐中時計「レピーヌ」にある。大型ケースを特徴としているのはそのためだ。
1990年代に入ると、ベーシックなコンセプトはそのままに、サイズダウンが図られていく。その結果、腕時計としての実用性がより向上することとなる。
「IW3513」には、90年代におけるポートフィノの特徴が随所に盛り込まれている。ケースは直径34mmと小ぶりなサイズで身に着けやすく、ファンも多い。
2003年に発表された「IW3533」では、大きな変化が見られた。それは、筆記体ロゴが無くなったことだ。
11年になると、また新たな変化が現れる。「IW3565」では、12時と6時にローマンインデックスが採用されたのである。
愛好家が好む筆記体ロゴ
IWCのかつてのモデルは「オールドインター」とも呼ばれている。クラシカルなデザインと永久保証による安心感からアンティーク市場でも高い評価を受ける同社の時計に対する、敬意を込めた呼び名だ。
そんなオールドインターのファンから支持を得ているのが、筆記体ロゴをあしらったモデルだ。
現在はブロック体であるロゴ表記だが、筆記体ロゴにIWCの歴史を感じ、ノスタルジーに触れる愛好家は多い。
ポートフィノのおすすめモデル
高い技術力に支えられつつ、いつの時代にもフィットするモデルがリリースされる「ポートフィノ」は、高級時計の世界への入口としても最適なコレクションといえる。
そんなポートフィノのおすすめモデルを紹介していこう。
ポートフィノ・クロノグラフ

「ポートフィノ・クロノグラフ」は、シリーズ特有の伝統的なデザインを基に、スポーティーなテイストを加味した、幅広い世代に人気のモデルだ。
最大の特徴は、独特な形状のプッシュボタンで、ダイアルもクラシックカーのコックピットを思わせるレトロかつ機能的なデザインとなっている。
アリゲーターストラップ、ステンレス製ブレスレットのどちらでも、行動力や若々しさが感じられる。それゆえ、若い時計ファンにも適したモデルだ。
ポートフィノ・ハンドワインド

「ポートフィノ・ハンドワインド」はポートフィノの伝統に忠実なモデルで、クラシックスタイルを愛するファンからの支持も高い。
ケース直径は45mmとシリーズのなかでも最大で、ポケットウォッチをそのまま身に着けているかのような印象がIWCらしさを感じさせるのだ。
同コレクションの最上位にある「ポートフィノ・ハンドワインド・エイトデイズ」では、リュウズを引くと秒針がストップするハック機能付きのムーブメントを搭載している。このような点も、オールドウォッチファンからの人気が高い理由だ。
ポートフィノ・ムーンフェイズ

ムーンフェイズ仕様の時計は、ロマンティックな雰囲気を醸し出すことで人気のスタイルだ。
「ポートフィノ・ムーンフェイズ」は、クラシカルなたたずまいに月の満ち欠けを示す表示機能を組み合わせることで、よりエレガントな装いを演出してくれる。
ポートフィノコレクションのうち、ハンドワインドやオートマティックのシリーズにおいてラインアップされるムーンフェイズから、好みのデザインを見つけて欲しい。
ポートフィノ・オートマティック

「ポートフィノ・オートマティック」は、コレクション内で最もスタンダードなモデルとして根強い人気を集めている。
84年に発表されて以降、数回のモデルチェンジを経ており、いつの時代にも控えめでありながらも高貴な空気を生み出してきた。
シンプルで飽きのこないデザインは、いつまでも愛用できるモデルを探す高級時計初心者に打ってつけといえる。
近年のモデル
「ポートフィノ」は、伝統に強く根を張りながらも、時代ともしっかりと歩調を合わせて進化を続けている。近年のモデルを紹介していこう。
女性でも着用しやすいIW357406

自動巻き(Cal.35100)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KRG(直径34mm)。3気圧防水。216万7000円(税込み)。
「IW357406」は、ポートフィノコレクションにおいて独特の存在感を放つ「ポートフィノ・オートマティック 34」の中でも、特別なモデルに位置付けられる。
18Kレッドゴールド製のケースにホワイトダイヤモンドを92個セットした極めて豪華ないで立ちで、ドレスアップした女性にも最適な時計である。
同シリーズには他にも、「IW357401」「IW357404」「IW357405」「IW357403」などがラインアップされており、それぞれが高貴な雰囲気を携えている。
直径40mmのケースを使ったIW459401

自動巻き(Cal.35800)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SS(直径40mm)。3気圧防水。77万5500円(税込み)。
「ポートフィノ・オートマティック・ムーンフェイズ」シリーズの「IW459401」は、ムーンフェイズ機能を搭載した時計としては初めて直径40mmのケースを採用したモデルだ。
それまでは37mmもしくは45mmというサイズであったが、ミドルサイズにすることで存在感と機能性を両立させ、より幅広い層からの人気を得ている。
ステンレススティール製ケースやロジウムメッキの針が美しい輝きを放ち、ブラックのアリゲーターストラップでシャープな印象を与える「IW459402」もおすすめだ。
ブルーの文字盤を採用したIW356522

自動巻き(Cal.35111)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KRG(直径40mm)。3気圧防水。143万円(税込み)。
コレクションの中で最もスタンダードなスタイルを貫く「ポートフィノ・オートマティック」シリーズにラインナップされる「IW356522」は、ブルーの文字盤を採用したルックスが異彩を放つモデルだ。
18Kレッドゴールド製のケースとブルーの文字盤のコントラストによって生まれる重厚な雰囲気は、強い存在感を導き出すことに成功している。
「IW356523」では、ケースにステンレススティールを採用し、引き締まった精悍な印象となっている。
シンプルでクォリティの高いポートフィノ
質実剛健というイメージが強いIWCの真骨頂は、伝統に支えられた技術力にある。一切の虚飾を排したシンプルなたたずまいと高い品質にその真価が表れている。
ポートフィノは、そんなIWCの理念を最も具現化した、代表的なコレクションである。真の時計ファンにこそ、その魅力にぜひ触れて欲しい。

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