語るべき点が多い、至高のパーペチュアルカレンダー5選

FEATUREWatchTime
2022.03.03

時計が動き続ける限り、2100年までは日付の修正を必要としないパーペチュアルカレンダー。時計愛好家憧れの機構とされる同機構を搭載した現行モデルから、特に語るべき点が多い要素を持った5本を紹介する。

Originally published on watchtime.com
Text by Mark Bernardo
2021年2月10日掲載記事


ショパール「L.U.C パーペチュアル T」

L.U.C パーペチュアル T

ショパール「L.U.C パーペチュアル T」
手巻き(Cal.L.U.C 02.15-L)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約216時間。18KWG(直径43.00mm、厚さ14.90mm)。30m防水。1886万円(税別)。(問)ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922

ショパールの「L.U.C パーペチュアル T」は腕時計における最も複雑な機構を、直径43mmの18Kエシカルホワイトゴールドにふたつ組み合わせている。トゥールビヨンとパーペチュアルカレンダーである。コッパーカラーの文字盤もソリッドゴールド製で、放射線状に広がりを見せる手仕上げのギヨシェ模様は始点が文字盤中心ではなく12時位置のデイト表示となっている。12時位置のビッグデイトに加え、カレンダー表示は月表示とリープイヤーが3時位置、曜日が昼夜表示と共に9時位置に配されている。6時位置では秒針と共にトゥールビヨンが稼働する。この洗練されたタイムピースに搭載されるCal.L.U.C 02.15-Lは、ショパールが特許を取得する「L.U.C クアトロテクノロジー」によって可能となった2組の積載式二重香箱、つまり4つの香箱によって、約216時間ものロングパワーリザーブを得ている。パワーリザーブインジケーターがケースバック側にあるため、文字盤が混みあった印象にはなっていない。


パテック フィリップ「永久カレンダー搭載クロノグラフ 5270」

永久カレンダー搭載クロノグラフ 5270

パテック フィリップ「永久カレンダー搭載クロノグラフ 5270」
手巻き(Cal.CH 29-535 PS Q)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。18KYG(直径41mm、厚さ12.4mm)。30m防水。1841万円(税別)。(問)パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンターTel.03-3255-8109

パーペチュアルカレンダーとクロノグラフを組み合わせるのはパテック フィリップのお家芸で、このオートオルロジュリの分野に着手するほかのメーカーは多くない。特に注目したいのはRef.5270で、2020年には初めてイエローゴールドケースがお目見えしている。ゴールドのリーフ針を備えたシルバーオパーリンの文字盤では、12時下の開口部で曜日と月を、6時位置のインダイアルで指針式の日付とムーンフェイズが表される。その他の表示は3時・9時位置のサブダイアルがそれぞれ30分積算計とスモールセコンド、5時位置の数字がリープイヤー、7時位置の小窓が昼夜表示だ。搭載されるCal.CH 29-535 PS Qはクロノグラフの中でも特に複雑な機構と言われるスプリットセコンドをパーペチュアルカレンダーと併載しているにもかかわらず、厚さがわずか7mmに抑えられている。


フレデリック・コンスタント「ハイライフ パーペチュアルカレンダー マニュファクチュール」

ハイライフ パーペチュアルカレンダー マニュファクチュール

フレデリック・コンスタント「ハイライフ パーペチュアルカレンダー マニュファクチュール」
自動巻き(Cal.FC-775)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SS(直径41mm、厚さ12.65mm)。5気圧防水。105万円(税別)。(問)フレデリック・コンスタント相談室Tel.0570-03-1988

フレデリック・コンスタントは2000年に誕生したハイライフコレクションを20年に再投入した。この際、同社はシリーズの中で最も複雑なタイムピース用に自社製パーペチュアルカレンダームーブメントのCal.FC-775を42mm径のケースに納めた。「ハイライフ パーペチュアルカレンダー マニュファクチュール」のカレンダー機構はケース側面にあるボタンで調整が可能だ。5時位置のボタンはムーンフェイズを、8時位置のボタンは曜日を進める。リュウズと反対側のケースサイドにもボタンは3つあり、10時位置のものは日付と曜日を同時に前進させ、11時位置のボタンは月を進め、またそれに連動したリープイヤーの小生ができる。


グルーベル フォルセイ「QPイクエーション」

QPイクエーション

グルーベル&フォルセイ「QPイクエーション」
手巻き。75石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KRG(直径43.50mm、厚さ16.00mm)。3気圧防水。(問)カミネ・トアロード店 Tel.078-321-0039

グルーベル フォルセイの「QPイクエーション」の新バージョンが18KRGケースとチョコレートカラー文字盤だ。搭載されるのはグルーベル フォルセイが「メカニカル・コンピューター」と呼ぶムーブメントで、15世紀末の大きなアストロノミカル・クロックで使用されていたシステムからヒントを得て、カレンダー表示を行っている。より具体的には曜日、日付、月、西暦、四季、そして均時差表示である。全ての表示のコントロールは、巻き上げ用リュウズに組み込まれたセレクターのみで行われるのだ。


MB&F「レガシー・マシン パーペチュアル エヴォ」

レガシー・マシン パーペチュアル エヴォ

MB&F「レガシー・マシン パーペチュアル エヴォ」
手巻き。41石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約72時間。ジルコニウム(直径44mm、厚さ17.5mm)。80m防水。(問)https://www.mbandf.com/en

ジルコニウムを初めて時計作りで採用したMB&Fの「レガシー・マシン パーペチュアル エヴォ」は、創業者のマックス・ブッサーとその時計作りの「フレンズ」が共同で送り出した最もタフでスポーティなMB&Fの時計であろう。ジルコニウムはシルバーグレーカラーの金属で、スティールより軽量、チタンより耐久性があるが、高い可燃性は機械加工時のリスクと難易度を押し上げる。44mm径のケースは、耐アレルギー性の高さと抗菌性の高さから生物医学の現場では高く評価されているこの素材からできており、MB&F初の80m防水となっている。レガシー・マシン パーペチュアルから何が「エヴォ(=発展)」したのかは、「フレックスリング」と呼ばれる環状の緩衝材が挙げられる。これはケースとムーブメントの間に配され、垂直・平行方向からの衝撃を吸収するのに貢献している。ムーブメントの設計開発はアイルランドの独立系時計師ステファン・マクドネルによって行われ、ベースキャリバーやモジュールを使用せず1から行われている。デザインも同様で、ビジュアル的に訴求効果のある文字盤の要素である大きな吊り下げ型のテンプなども含まれている。


パテック フィリップ 2020新作「5270」永久カレンダークロノグラフに初のイエローゴールド

https://www.webchronos.net/news/49727/
MB&F「レガシー・マシン パーペチュアル エヴォ」が時計作りにジルコニウムをもたらす

https://www.webchronos.net/features/55571/