着実に質の向上を続けるツールウォッチの星。チューダー「レンジャー」の進化が止まらない!

FEATUREその他
2022.11.03

『クロノス日本版』の編集部員4人が話題モデルをインプレッションし、語り合う連載。今回は、編集長の広田雅将、副編集長の鈴木幸也、ほそやんこと細田雄人、そして新人の土井康希の4人で、チューダー「レンジャー」を好き勝手に論評する。チューダーの実用時計としての高い完成度に、一同大絶賛だ。

沖田一真:写真 Photographs by Kazuma Okita
阿形美子:文 Text by Yoshiko Agata
2022年11月3日公開記事

チューダー レンジャー

チューダー「レンジャー」
英国下院軍によるグリーンランド遠征70周年を記念したモデル。ブランドの歴史の中で「レンジャー」の名を冠したコレクションは度々発表されてきたが、今回は1973年以来の登場となる。アラビアンとバーを組み合わせたインデックス、ケース一体型ブレスレットなどディテールを受け継ぎつつ、シリコンヒゲゼンマイを採用したムーブメントCal. MT5402を搭載。ブレスレットのほかに、ストラップも2種類から選ぶことができる。自動巻き(Cal. MT5402)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径39mm)。100m防水。37万1800円(税込み)。


ツールウォッチとしてますます完成度を高めるチューダー

細田今年のチューダーは非常に元気があるので、7月に発表された「レンジャー」を借りてきました。ケース径39mmでノンデイトの3針モデルという、オタクが非常に喜びそうなモデルになっています(笑)。一番の特徴は、T-fit付きのブレスレットですかね。基幹コレクションのブラック ベイでもまだ、一部モデルしか搭載していないものを先駆けて採用しています。

鈴木T-fitはブレスレットの調節機能だけど、どのくらい長さが変わるんでしたっけ?

広田5段階・8mmです。

チューダー T-fit クラスプ

ブレスレットのバックルには、“T-fit”クイックアジャストクラスプを採用した。コマを外すことなく最大8mmの調節が可能。

鈴木1.6mmずつか。これは便利でしたね。普通に生活していてもむくみで腕回りのサイズは微妙に変わりますし、体調にも関係しますし。あとは、夏とか汗ばむ時はブレスレットをピタピタに着けたくないから、これはとってもありがたいですね。

細田4月に発表されて話題を読んだブラック ベイ プロにもT-fitは使われています。チューダーの中で急速に搭載されつつありますね。

広田それから、バックルにはセラミックスのベアリングが入っているので、ガシガシ使っても摩耗しないと思います。

土井留める時の感触も良いですよね。


不満がほぼ見つからないクオリティ!?

広田さて皆さん、時計好きとしてはどうでしたか?

鈴木初っ端から結論めいたことを言っちゃってもいいですか?

広田おっ!?

鈴木全体としてすごく良かったので、不満点は大きくふたつしかなかったです。ひとつはバックル。作りは良いけど、エッジがちょっとシャープすぎて当たると痛い時がありました。もうひとつの不満点は、もう完全に好みの話だけど、時針のレンジャー針のデザイン。これはもう好き嫌いだよね。

チューダー レンジャー

過去のレンジャー同様、アラビアンとバーを組み合わせたインデックスを継承。独特な形状の時針(レンジャー針)と、先端をバーガンディーに着色した秒針も、個性を発揮するディテールだ。

広田僕は結構好きでしたよ。

鈴木その点が好きなら、もう最高な時計だと思います!

土井僕の時計好きの知り合いには、逆にスノーフレーク針があまり好きじゃないという人もいるので、そういった好みの人にはバッチリかもしれません。

広田スペックとしては、ケース径39mm、厚さが約12mm、ラグ幅が20mmでしたっけ? だから、時計としてのバランスはとても良かったと思います。全体的に完成度が高すぎるんで、僕もあまり文句言う点はないんですけれども、確かにバックルのエッジはもう少し落とした方がいいかもしれないです。なので、その意味でストラップを選ぶのはアリです。


ファブリックストラップにも注目を

細田ヘッドが軽いので、ファブリックストラップとの相性はすごく良かったですね。チューダーはフランスの飾り紐会社と提携して、ジャカード織機を使ったファブリックストラップを採用しています。だから、しっかり織り込まれていて、厚みもあって丈夫で。あと、引き通し式じゃないので腕周りにピッタリ着けられる点も、かなり良かったです。

土井僕は手首周りが15cmあるかないかくらいの細さなのでストラップしか試してないんですけど、それでも一番細いところから2番目で止まりました。細腕も使える仕様です。

細田ストラップは単独で売っているので、ブレスレット付きを買って、後からストラップを追加購入っていう楽しみ方もできます。

鈴木両方楽しめるって意味では、パッケージとしてもすごくバランスが良いよね。

細田で、また、このストラップのバックルもしっかりと丁寧に面取りがされているんですよね。

チューダー ファブリックストラップ

1世紀以上続くフランスの飾り紐会社との協業による独自のファブリックストラップ。ジャカード織機の技術を用い、強靭かつ柔軟に仕上げた。バックルにも面取りを施し、細部まで高級感のある仕上がり。

土井上面がヘアラインで、仕上げも綺麗です。

細田30万円くらいの時計で、ここまで手が入れられているのがすごい。

鈴木価格とのバランスを言ったら圧倒的ですかね。

細田ストラップはファブリックの他にレザーも選べますね。ただ、チューダーのブレスレットは簡単には外れないので、お店で交換してもらう必要はあります。

鈴木ブレスレットとストラップ、両方あると活用の幅は広がるよね。

広田ブレスレットに関しては、ラグ幅からブレスレットに向けてのかなりテーパーがかかっているなと思いました。普段使い向けの仕様にしているんだろうけども、もう少しバックル側を太くしても良かったのかな、とは思います。

細田それは、キャラクターとして、ということですか? 

広田いや、ホールドを考えた時のバランスですね。

チューダー レンジャー

レンジャーのブレスレットを伸ばした画像。ラグ側からバックル側にかけて大きくテーパードしているのがよく分かる。テーパーのかかったブレスレットは高級時計らしい要素のひとつだが、レンジャーの場合、バックル側が細くなりすぎている感が否めない。

細田確かに、ブラック ベイ プロのリベット留めタイプのブレスレットは、もうちょっとかっちりしているイメージです。レンジャーは意図的に絞っていますね。ただ、あちらとは約10万円の価格差がありますから、コスト面での兼ね合いもあるかもしれません。

土井厚みも薄くなってます。

広田現状でも不満はないですけど、でも、多分もう 2mm ぐらい幅が広かったらホールド感がより高まったかな?