大谷翔平からマイク・トラウトまで! 侍ジャパンを中心にWBCで活躍した選手の愛用時計を一挙紹介!

世界のセレブたちがどんな時計を着けているのか、ワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は14年ぶりにワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一の称号を得た、大谷翔平はじめ「侍ジャパン」の選手たち、そして名勝負を見せたマイク・トラウト選手の愛用時計に着目する。

沼本有佳子:文
Text by Yukaco Numamoto
2023年3月26日掲載記事


WBC 大谷翔平

WBCで日本中を沸かせた侍ジャパンの選手が着用する時計

 2009年大会以来、14年ぶりにワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)の優勝を果たした侍ジャパンこと日本代表。

 今大会では大谷翔平選手やダルビッシュ有選手といったメジャー組から、昨年三冠王を獲得したヤクルト村上宗隆選手や日本人最高球速記録を持つ佐々木朗希選手、さらには日系メジャーリーガーとして初めて日本代表入りを果たしたラーズ・ヌートバー選手と、国内外の大スターがそろった。

 今回はそんな史上最強とも言われた侍ジャパンから、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手、福岡ソフトバンクホークスの牧原大成選手、西武ライオンの源田壮亮選手、そして優勝決定戦で決勝ホームランを放った読売ジャイアンツの岡本和真選手が着用する時計を紹介しよう。


大谷翔平選手はロサンゼルス・エンゼルス入団会見時に「セイコー アストロン」を着用

大谷翔平

Photograph by Aflo
2017年12月9日のMLBロサンゼルス・エンゼルス入団会見時にアナハイムのエンゼルスタジアムで撮影された大谷翔平選手。当時の契約金は2億6620万円だったと報じられている。ちなみに、2023年の年俸は43億4000万円だといわれており、今後もさらに上がる可能性がある。

 選手としての実力、知名度も世界的に高い上に、クリーンなイメージが強い大谷翔平選手のスポンサー企業になりたい企業は多い。そんな中、早い段階からセイコーはコラボレーションモデルを手掛けるなどして大谷選手を推していた。

 2017年に最初に発表されたのが上の写真で着用している「セイコー アストロン」だ。当時大谷選手が所属していた北海道日本ハムファイターズのチームカラーを連想させるカラーリングと特別表記のベゼルが特徴だ。通常バージョンのタイムゾーンには「TYO(東京)」のコードが記されているが、こちらはチームの本拠地である「SPK(札幌)」となっている。

セイコー アストロン 大谷翔平

大谷翔平選手の手元のアップ。

「セイコー アストロン」は、1969年にセイコーが世界で最初に発売したクォーツウォッチである「クオーツ アストロン」から名前を受け継いでいる。2012年に世界初のGPSソーラー腕時計として発表され、GPS衛生から電波を1日最大2回受信し、現在地の正確な時刻に自動修正できるのが最大の特徴である。

 駆動はソーラー充電のため、電池交換の必要はほぼない。GPSソーラーウォッチは海外へ行っても、空港から出て太陽光を浴びれば即座に現地時間を示してくれるため、大谷翔平選手のように世界で活躍する人にとっては実用性も高いモデルなのだ。

 大谷選手の着用モデルには裏蓋に大谷選手のサインがあしらわれている。それに加え、数量限定モデルの証しであるLimited Editionの文字と、0001/3000~3000/3000までのシリアルナンバーの印字があしらわれ、スペシャルボックスに収められた仕様となっている。

セイコー アストロン 大谷翔平

2017年に発表された「セイコー アストロン 大谷翔平 限定モデル」。GPSソーラー(Cal.8X22)。平均月差±15秒(受信できない状態で、気温5°〜35°Cにおいて腕に着けた場合)。ステンレススティール(直径45.2mm)。10気圧防水。世界限定3000本。


牧原大成選手はApple Watchをカスタムして着用

牧原大成

YouTube「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 侍ジャパン優勝帰国会見 2023年3月23日」でマイクを持つ牧原大成選手。

 続いて、侍ジャパンが日本へ到着してすぐの2023年3月23日にヒルトン成田で優勝会見を行った際、選手たちが着用していた時計を紹介しよう。まず、牧原大成選手はApple Watchをカスタムして着用していた。

 ソフトバンクホークスに所属する牧原大成は会見で「すごい選手が集まった中で、スタートからは試合に出ることはなかったけど、最後の瞬間に(中堅の)守備について優勝を迎えられたのはいい経験になった」と謙虚な感想を述べた。

 出場辞退したシカゴ・カブス所属の鈴木誠也選手の代替選手として選出された際には悩みに悩んだという。WBCへ出場することによる、自身の所属チームへの影響も気になったそうだ。「世界一になれたことはうれしいけど、もっと自分のレベルを高くしていかなきゃいけないと思った」とさらに高みを目指す姿勢を見せた。

ゴールデンコンセプト

牧原大成選手の手元のアップ。

 アスリートに愛用者が多いApple Watchだが、牧原大成選手はアフターマーケットの電子カスタマイズサービス「Golden Concept(ゴールデンコンセプト)」のケースを組み合わせてカスタムしているようだ。ゴールデンコンセプトはスウェーデン発のラグジュアリーブランドで、高級なiPhoneケース、Apple Watchケース、アクセサリー類を展開するブランドだ。

 ケースの形状とベゼルの切り欠きから、牧原選手は同社のRST44をApple Watch Series 6もしくはSEに装着していると思われる。牧原選手はヒルトン成田で開催された侍ジャパン優勝帰国会見と、到着した成田空港内でも同じモデルを着用しているところがキャッチされている。

 着用モデルのRST44ケースにはチタンが採用され、ラバーストラップと合わせてさらに軽い着用感が実現されている。全体を覆うように装着されるケースはひと目見ただけではApple Watchかどうかが分からないほど印象を変える外観だ。バックケースは円形状にくり抜かれているので、ケースを装着したままで充電することができる見た目と実用面を両立させたウォッチケースといえる。

 どこでも守れるマルチプレイヤーとして名高い牧原選手は元々内野手であるが、少年野球時代にはキャッチャーをしていたこともあるそうだ。ケースによって変幻自在のApple Watchがお気に入りなのかもしれない。

ゴールデンコンセプトのRST44を装着したApple Watch Series 6もしくはSEが牧原大成選手の着用時計だ。


源田壮亮選手はオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ」を着用

源田壮亮

YouTube「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 侍ジャパン優勝帰国会見 2023年3月23日」でマイクを持つ源田壮亮選手。

 埼玉西武ライオンズに所属する源田壮亮選手は大会期間中に右手小指骨折の重傷を負いながら決勝戦でも8番遊撃手としてフル出場した。不屈の鉄人侍、として最後まで戦ったことで他のメンバーの気持ちも鼓舞したという。「素晴らしいメンバーと野球ができて、世界一という結果が付いてきて幸せ」と語る源田壮亮選手の侍スピリットはファンの感動を呼ん
だ。

 3月23日に行われた優勝会見では、印象に残ったシーンを聞かれて「決勝戦の9回2アウト、あとひとつで世界一というところで、ベンチのみんなが身を乗り出し、前のめりで試合に入り込んでいた。そして優勝した瞬間、みんなが集まった景色が印象的です」と語った。

 そんな源田壮亮選手は守備のスローイングでは小指を使えない状態のままで、打撃では革手袋の小指の部分を切り取り、テーピングされた指を外に出すという姿で、見ているだけで痛々しい様子だった。しかし、怪我を抱えた状態でもタイムリーを含め8打数2安打3四球という好成績で守備でも好プレーを連発した。

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ

源田壮亮選手の手元のアップ。

 源田壮亮選手が着用していたのはオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ」のコンビモデルだと思われる。おそらく縦3つ目のダイアルレイアウトから、Cal.3126/3840を搭載した前世代だろう。

 源田壮亮選手の不屈のプロフェッショナルな姿勢はオーデマ ピゲのロイヤル オーク オフショア クロノグラフの強さに通じるものがある。直径43mmのステンレススティールとブラックセラミックス製の屈強なケースと、エレガントな輝きを見せる「メガタペストリー」ダイアルを組み合わせている。

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ

こちらは現行品の「ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ」Ref.26420SO.OO.A002CA.01。ステンレススティールケースとブラックセラミックスのベゼルを組み合わせた。自動巻き(Cal.4401)。40石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。ステンレススティール(直径43mm)。10気圧防水。522万5000円(税込み)。


岡本和真選手はロレックス「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」を着用

岡本和真

YouTube「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 侍ジャパン優勝帰国会見 2023年3月23日」でマイクを持つ岡本和真選手。

 読売ジャイアンツに所属する岡本和真選手は侍ジャパンメンバーの中でもマイペースな性格だ。身長185cm、体重96kgという大柄な体格でともすれば威圧感を与えそうだが、会見時などの受け答えは笑いを誘うとSNSでも話題になっていた。

 準々決勝のイタリア戦では盗塁で走ってアウトになってしまった岡本和真選手だが、この日の優勝会見で一塁コーチャーを務めた清水コーチが「あれは僕が横から大ウソを教えてしまって……。エンドランだということを言いました。本当に申し訳なかったです。それでアウトになりました」と岡本和真選手に真摯に公開謝罪をするという一幕もあった。

オイスター パーペチュアル サブマリーナー

岡本和真選手の手元のアップ。

 周囲を和ませる優しい雰囲気を持つ大柄な岡本和真選手の着用モデルがロレックスの「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」だ。タフに使えてあらゆる面で信頼度が高いサブマリーナーを岡本和真選手が愛用していることに納得だ。

オイスター パーペチュアル サブマリーナー

ロレックス「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」。自動巻き(Cal.3230)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径41mm)。300m防水。

 1953年に誕生以来、ほぼ外観が変わることなく継承されていることが特徴の、ロレックスのシグネチャーモデルのうちのひとつが「サブマリーナー」である。時計製造において、ダイバーズウォッチのひとつの基準となったモデルで、歴史的ターニングポイントの象徴として今も人気を誇る。

 ブラックダイアルは水中での視認性確保のため、三角形、円形、長方形といったシンプルかつ大きめのアワーマーカーを備え、瞬時に正確な時刻を読み取ることができる機能性が高いモデルである。岡本選手が着用しているモデルの品番までは特定できないが、現行品は2020年に発表されたムーブメントである自社製 Cal.3230を搭載している。

 このムーブメントは高いエネルギー効率と信頼性を両立させる特許取得のクロナジーエスケープメントを採用している。これは従来の機械式時計に搭載されている標準的なスイスレバー脱進機の動作を分析し、性能をさらに高めたものである。


アメリカ代表のマイク・トラウト選手はブライトリング「クロノマット」を着用

 最後に、番外編としてアメリカ代表のマイク・トラウト選手が着用する時計に関しても触れておきたい。

マイク・トラウト

Photograph by GettyImages
2020年1月25日にニューヨーク市のシェラトンニューヨークで開催された第97回ニューヨーク野球記者ディナーに登場した際のマイク・トラウト選手。MVPを獲得した彼の腕には大切そうに盾が抱かれている。

 WBC決勝戦の最後のシーンで、大谷翔平選手と対峙したマイク・トラウト選手は、同じMLBロサンゼルス・エンゼルスの所属だ。2020年1月25日にニューヨーク市のシェラトンニューヨークで開催された第97回ニューヨーク野球記者ディナーのバックステージショットを見ると、彼の腕時計を確認できる。

 上の写真でははっきりと文字盤部分が見えないが、所属するロサンゼルス・エンゼルスの公式サイト(https://thehaloway.mlblogs.com/2019-al-most-valuable-player-mike-trout-937dc06d2d52)ではこの日のトラウト選手の手元がはっきり写っている写真を見ることができる。

マイク・トラウト選手の手元のアップ。

 この着用モデルは、特徴的な縦目のクロノグラフやリュウズの配置バランスから、ブライトリングのクロノマットではないかと推測される。しかしブレスレット部分はブライトリングのものではなさそうだ。もしかすると、着用感をより重視して心地よいブレスレットを別に選んだのかもしれない。

 クロノマットと思われる時計は2014年に投稿された自身のインスタグラムの写真にも登場しており、長い間愛用していることが分かる。姪っ子をとても可愛がっている様子がほほえましい。

 マイク・トラウト選手が着用している時期から察すると、この着用モデルは「クロノマット2000」である可能性が高い。ただ「ブライトリングには3連リンクのブレスレットの展開がないので、確信はできない」というのが『クロノス日本版』編集部の見解だ。

 特徴的なポイントとしては「縦目」と呼ばれる配列のクロノグラフ配置だ。ブライトリングの歴代クロノマットの中でも人気が高く、販売されていたのは2000年から2004年にかけての短い期間であったにもかかわらず、現在も中古市場を探しているファンがいるモデルである。ベゼル上のインデックスは幅が広く、立体的な爪状になっている。

クロノマット2000

2000に発表された「クロノマット2000」。自動巻き(Cal.13)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SS。100m防水。参考商品。


選手それぞれの個性が表れた腕時計

 素晴らしい試合の数々で世界中の野球ファンを感動させた侍ジャパンの選手陣とアメリカ代表のマイク・トラウト選手。今回紹介したメンバーは、全員が独自の世界観を貫いているように感じる。

 選ぶ時計にも個性が出ていると言えるのではないだろうか。世界規模でいうと野球はサッカーほどメジャーなスポーツではないかもしれないが、野球が持つ面白さや楽しさを全力で見せてくれたことに感謝したい。


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