シンプルな操作が魅力のブルガリ「オクト ローマ ワールドタイマー」。アイコニックな8角形ケースも見どころ

FEATUREWatchTime
2023.03.30

グローバル化した現代において、ワールドタイム機能を搭載した腕時計はさまざまな場面で役に立つ。ブルガリが2022年に発表した「オクト ローマ ワールドタイマー」は、シンプルな操作でタイムゾーンを設定することができる時計だ。今回はオクト ローマ ワールドタイマーの着用レビューをお届けする。

オクト ローマ ワールドタイマー

ブルガリ「オクト ローマ ワールドタイマー」
自動巻き(Cal.BVL 257)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径41mm、厚さ11.35mm)。100m防水。124万3000円(税込み)。
Originally published on watchtime.com
Text by Rüdiger Bucher
2023年3月30日掲載記事


男女を問わず着用しやすい薄型の8角形ケース

オクト ローマ ワールドタイマー

今回着用したのは、ステンレススティール製のケースにブラックDLC加工を施したモデル。ダイアル、ケース、リュウズ、ストラップが黒で統一され、スタイリッシュな印象だ。

 ブルガリは「オクト フィニッシモ」シリーズで腕時計の薄型化に挑戦する一方で、「オクト ローマ」シリーズに搭載するワールドタイム機能も大きく進化させてきた。グローバル化した現代において、ワールドタイムを搭載した時計は、海外へ旅行する人たちだけでなく、日常的にも大きな役割を果たすようになっている。

 この「オクト ローマ ワールドタイマー」があれば、オフィスや自宅のデスクからでも、シンプルな方法で全世界を見わたすことができる。

オクト ローマ ワールドタイマー

サファイアクリスタル製のケースバックからは、搭載されているCal.BVL 257を眺めることができる。

 オクト ローマ ワールドタイマーのケースサイズは直径41mm、厚さ11.35mmで、男女を問わず着用しやすい。ジェラルド・ジェンタが生み出したケース形状は、現在の高級時計業界の中で最もアイコニックなもののひとつであり、オクト ローマ ワールドタイマーにおいては58面のファセットを備える。円形に傾斜したベゼルは、その下にある多角形のケース本体や、角ばったラグとともに印象的だ。8角形のケースはシャープに作られているが、尖っているわけではない。

 今回着用したのは、ブラックDLC加工が施されたステンレススティールケースのモデルだ。ケースバックはサファイアクリスタル製で、自動巻きキャリバーBVL 257の鑑賞を可能にしている。ケースへねじ込んだ後に光沢のある4本の黒いネジで固定されており、10気圧の防水性能を担保する。

オクト ローマ ワールドタイマー

4本のネジで固定されたねじ込み式のケースは、100mの防水性能を備える。


簡単に設定できる24のタイムゾーン

オクト ローマ ワールドタイマー

 時刻と都市の設定は、DLC加工が施されたステンレススティール製のリュウズで行うことができる。リュウズは小さいが握りやすい形状をしており、扱いやすい。設定では、まず希望するタイムゾーンの都市を12時位置に配置する。

 文字盤外周の24の都市名を記したシティリングは、ねじ込み式リュウズを1段引きすることで両方向に回転させることができる。シティリングにはローマからサモア、バンコクからニューヨークまで、24のタイムゾーンに対応する都市名が2列で表示される。

 この表示にはブルガリのラグジュアリーな世界感が示されている。例えば、カリブ海地域に記されるのはバミューダではなくリゾート地として有名なセントバーツだ。また、ドバイや北京、東京など、ブルガリがホテルを展開する都市も表示されている。

Cal.BVL 257

ワールドタイマーはいわゆるルイ・コティエ式で、ダイアルの外周に24の都市名を記したシティリングと24時間表示リングを併せ持つ。

 シティリングの位置を決めたら、リュウズを2段引きして時刻を設定する。時刻設定の際、シティリングと時・分・秒針の中間にある24時間表示リングも連動して回転する。針を正確に配置する際には、24時間表示があらかじめ選択したタイムゾーンと一致していることを確認することが大切だ。このシンプルな設定で、世界24都市における時刻を知ることができるようになった。24時間表示は設定した都市だけでなく、世界中の時刻と常に一致している。

 他のタイムゾーンに移動した場合、対応する都市を1段引きしたリュウズで12時位置に合わせると、時刻もそれに合わせて変更される。24時間表示リングは12時間表示と連動しており、一度設定されると、常にそれに合わせて動く。

Cal.BVL 257

オクト ローマ ワールドタイマーに搭載されているCal.BVL 257。この自動巻きムーブメントは、プラチナとアルミニウムを使ったペリフェラルローターを採用している。

 このワールドタイム機能を司る自動巻きムーブメントCal.BVL 257は、ル・サンティエのマニュファクチュールで開発、生産されたものだ。261個のパーツで構成されたこのムーブメントは「オクト フィニッシモ」に比べればシンプルだが、その機能性が示すように、技術的には決して侮れないものである。

 Cal.BVL 257は、24のタイムゾーンを同時に表示できるようにCal.BVL 191を改良したものだ。パワーリザーブは約42時間を保持している。構造的に特筆すべきなのは、安定したテンプ受けと、時計の厚さを抑えることに貢献している特殊な巻き上げ機構だ。ローターやブリッジにあしらわれたコート・ド・ジュネーブ仕上げは工芸的な精緻さを感じさせ、ムーブメントの機能性を強調している。


見どころの多いディテール

オクト ローマ ワールドタイマー

オクト ローマ ワールドタイマーには、サテンブラッシュとポリッシュド仕上げのステンレススティールケースにブルーダイアルを組み合わせたモデルもある。価格はブラックのモデルと同じだが、こちらはラバーストラップではなくステンレススティール製ブレスレットだ。

 文字盤には力強い長方形のインデックスと6、12のアラビア数字が配されている。時分針のドーフィン針はブラックポリッシュ仕上げでファセット加工が施され、暗所でも視認性が損なわれないようスーパールミノバが塗布されている。秒針には塗布されていないが、それはあまり問題ではない。

 フォーカスすべきは小さな時間の単位ではなく、より大きな世界時間であり、それは地球上のさまざまな場所の時間を認識する楽しさをもたらしてくれるからだ。ワールドタイム表示は明瞭なフォントと、黒と白の強いコントラストによって瞬時に視認することができる。

オクト ローマ ワールドタイマー

ムーブメントのローターやブリッジにあしらわれたコート・ド・ジュネーブ仕上げは、工芸的な精緻さを感じさせる。

 ブラックのオクト ローマ ワールドタイマーには、ブラックラバー製ストラップが組み合わされている。着けはじめは少々固い質感だが、使い込むうちになじんでくる。

 ストラップには、ブラックDLC加工を施しマットとポリッシュ仕上げを組み合わせたステンレススティール製のピンバックルが付属する。この尾錠はケースの角ばった形状を踏襲し、オクト ローマ ワールドタイマーを世界に通用するものとして完成させている。


Contact info: ブルガリ ジャパン Tel.03-6362-0100


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