ブライトリング/クロノマット

FEATUREアイコニックピースの肖像
2019.06.01

CHRONOMAT 2000
15年以上の歳月を経てたどり着いたアイコンにふさわしい完成度

クロノマット2000

クロノマット2000(2000)
Ref.13352。直径39mmモデルの最終型である。2000年前後に、外装の完成度は大幅に向上、独特の凝縮感を持つに至った。立体的なインデックスは先のRef.13350に共通するが、インダイアルの外周にリングをかぶせ、意匠上のバランスを回復している。なお搭載するCal.13はクロノメーター規格をパスしたもの。自動巻き。2万8800振動/時。25石。パワーリザーブ約42時間。SS。100m防水。参考商品。

 オリジナル・クロノマットの最終型が「クロノマット2000」(Ref.13352)である。サイズと基本デザインは不変だが、16年の間に、内容は大きく進化した。もっとも目を惹くのは1991年以降に採用された「パイロット・ブレスレット」だが、ベゼルとケースも、細部はかなり異なる。事実、84年のファーストモデルとクロノマット2000では、共通する外装部品はほとんどない。

 とりわけ興味深いのがベゼルで、Ref.13048以降は、ライダータブ以外の8本のネジで固定されるようになった。加えてベゼルの幅と厚み(側面が高くなった)も増し、インデックス自体も太くなった。12時位置のライダータブも、夜光塗料の面積を拡大させることで視認性を高めている。ケースに目を凝らすと、形状はオリジナルにほぼ同じだが、ベゼル同様若干厚みを増し、また下部が若干フラットになったことが見て取れる。併せて13350以降は、ケースバックがラウンドから、多角形のより頑強なものに変更された。

 ただし初代モデルとクロノマット2000のもっとも大きな違いは、ケースの製法だろう。当初はプレス打ち抜きであったが、90年代以降は冷間鍛造へと変更。回数を増やすことで、外装の質感(=ケースの平滑さ)は大きく向上した。また搭載するキャリバー13も、従来品と名称は同じだが、クロノメーター仕様となり、高い精度と等時性を持つようになった。このムーブメントは今なお、ブライトリングを代表する名機だ。残念ながらクロノマット2000は、2004年で生産中止となり、「クロノマット・エボリューション」に席を譲った。しかしオリジナルの造形に高い完成度を盛り込んだ本機は、多くの好事家にとって、今なおベスト・クロノマットの最右翼、なのである。

(左上)若干ツヤを残した文字盤。質感はかなり良好だ。「ジェンタ風」であった針の形状は、Ref.13350以降、先端のとがったものに変更された。またベゼル状のインデックスも幅が広い。
(右上)Ref.13050以降のディテールである、立体的なインデックスとサブダイアル。印字のクォリティは、Ref.13350以降大きく向上した。
(中)ケースサイド。基本的な造形はオリジナルに同じだが、ラグの下側が切り欠きされている点と、プッシュガード周りの造形などに違いが見られる。ケース厚も若干増した。
(左下)一方向回転ベゼルとライダータブ。84年モデルと比較すると、ベゼルがかさ上げされているのが分かる。
(中下)パイロット・ブレスレットとバックル。ブレスレットと時計の重量増加に対応するため、取り付け部はかなり強固だ。
(右下)ケースサイドと裏ブタ。Ref.13350以降は、裏ブタの設計が一新され、より強固なものとなっている。