オメガ「レイルマスター」の進化をファーストモデルから追う

FEATUREアイコニックピースの肖像
2021.06.10

SEAMASTER AQUA TERRA
“RAILMASTER” MASTER CHRONOMETER
マスター クロノメーター準拠の最新40mmケース

シーマスター アクアテラ “レイルマスター” マスター クロノメーター

シーマスター アクアテラ “レイルマスター” マスター クロノメーター
直径40mmのケースを持つ現代版。モダンさを強調すべく、ケースは全面サテン仕上げである。ムーブメントは1万5000ガウスという超耐磁性能を持つ。自動巻き(Cal.8806)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。SS(直径40mm)。150m防水。53万円。

 確かにトリロジーの復刻版は素晴らしい。しかし実用性と価格を考えると、最新版のレイルマスターは大変魅力的だ。ベースとなったのは1万5000ガウスの耐磁性能を持つ「シーマスター アクアテラ」。そこにレイルマスターのデザインを合わせたのが本作である。さらに厳密に言えば、40㎜というケースサイズは、このモデルのために新しく起こされたものだ。

 このモデルの美点は、高い耐磁性に加えて、現代のオメガらしい良質な外装にある。例えばサテン仕上げの文字盤。素材は真鍮ではなくスティール。インデックスをレーザーで彫り込み、表面にブラシ加工を施した後、インデックスにスーパールミノバを流し込んでいる。副社長のモナションはこう語った。「昔のシーマスターはプレスした文字盤を使っていた。しかしハイエックが文字盤に投資するようになって、こういう凝った文字盤を持てるようになった」。

 もうひとつの試みが、新しい「ナイアード」だ。1957年のナイアードはリュウズの防水性を高めるシステムだった。対して本作のナイアードロックは、ねじ込み式のケースバックが、常に正しい位置で固定される仕組みである。2016年の「シーマスター プラネット オーシャン ディープブラック」で採用されたバヨネットシステムが、本作にも転用された。シーホースのロゴが正しい位置に固定されるだけ、と言えばそれまでだが、美観に注力する今のオメガらしいアイデアだ。

 加えてこのモデルは、価格も魅力的だ。ブレスレット付きで53万円というプライスは、内容を考えれば驚異的である。良質な実用時計として復活を遂げたレイルマスター。その成り立ちを考えれば、むしろ本命は、トリロジーよりこちらかもしれない。

シーマスター アクアテラ “レイルマスター” マスター クロノメーター

(右)スティール製の文字盤。ただしその採用理由は、耐磁性を与えるためではなく、筋目仕上げを施すため。開発に携わったモナション曰く「真鍮だと強い筋目を施すことが難しかった」。インデックス部分は、レーザーで彫り込み、そこにスーパールミノバを流し込んだもの。文字盤の質感はさすがに優れているが、日付表示があれば実用性はさらに上がっただろう。(左)「シーマスター アクアテラ」と同形状のリュウズ。円錐形状に仕上げられたフォルムは、指がかりも良く、引きやすくするための配慮がされている。

シーマスター アクアテラ “レイルマスター” マスター クロノメーター

ケースサイド。緻密なサテン仕上げが示す通り、外装の仕上げはいっそう優れている。ケースは厚く見えるが、12.65mmに留まった。

シーマスター アクアテラ “レイルマスター” マスター クロノメーター

(右)新旧の大きな違いが、ラグの処理である。裁ち落とされた形状の復刻版に対して、本作はスピードマスターやシーマスター同様のうねった「竪琴ラグ」が与えられた。ブレスレットも良質だが、弓管とラグのクリアランスはやや大きい。(左)今のオメガの実力を示すのが、凝った裏蓋である。プレスと切削を併用した裏蓋は極めて緻密な仕上がりを見せる。またバヨネット式のナイアードロックにより、裏蓋は常にロゴが正しい位置で収まるように固定される。



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