IWCは2025年9月、米国の宇宙開発企業であるVAST社との技術協力提携を結び、公式タイムキーパーを務めることを発表した。これによって、宇宙開発と時計製造の歴史がより強力に推進されていくことが期待される。
パイロットウォッチのパイオニア、活躍の舞台を宇宙へ
IWCは2025年9月24日(水)、人類の次世代宇宙ステーションの開発に取り組む米国のVAST社との技術協力提携を結んだことを発表した。これによってIWCはVASTの公式タイムキーパーを務め、地球上の機械式時計の耐久性と性能の向上、および時計製造の限界を過酷な宇宙環境にまで押し上げることを目指す。
IWCはこれまで、民間有人宇宙飛行ミッション「Inspiration4」や「Polaris Dawn」への参加によって、宇宙探査における貴重な初期経験を蓄積してきた。今回のVASTとのコラボレーションは、IWCの約1世紀に及ぶ航空分野の開拓に新たな歴史が刻まれる布石となることだろう。IWCは、長時間の宇宙飛行に耐えうる時計の開発に着手し、VASTではその試作品に対する打ち上げ時の振動環境や宇宙ステーションでの材料の適合性を評価していく予定だ。この評価は他のハードウェアと同様の手順で行われ、見事クリアすることができれば、宇宙環境におけるIWCの時計の信頼性が証明されることとなる。
VASTは現在、世界初の民間宇宙ステーションである「Haven-1」の設計と建設を行っており、その実証用試験的プラットフォーム、「Haven Demo」の打ち上げを目前に控えている。Haven-1には、民間宇宙飛行士と政府委託業務の両方のためのイノベーション・ラボを備えられており、宇宙飛行士は、このラボで科学研究、技術開発、宇宙空間での製造を通じて、地球上の生活に役立ち、長期的な宇宙探査をサポートしていく予定だ。
VASTは長期的な目標として、すべての人が宇宙旅行可能な未来と、人類が宇宙で生活できる人工重力の居住施設の建設を掲げている。将来的に、IWCの時計を腕に宇宙へ行くことも夢ではないかもしれない。
