「現代の名工」に盛岡セイコー工業の齋藤勝雄氏

2017.11.08
■齋藤勝雄氏 略歴
1968年 1月生まれ(49歳)
1986年 西根時計工業入社(盛岡セイコー工業の子会社で、1993年に合併)
1999年 1級時計修理技能士 資格取得
2002年 高級機械式時計の組み立て部門に配属、機械式時計の組み立てに従事
2006年 いわて機械式時計技能士 1級合格
2008年 時計技能競技全国大会 第1部門優勝
2016年 いわて機械式時計技能士 IWマイスター合格


 平成29年度「卓越した技能者(現代の名工)」に、盛岡セイコー工業株式会社の齋藤 勝雄(さいとう かつお)氏が選出された。

 昭和42年(1967年)に創設された「卓越した技能者」表彰制度は、卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目されている技能者を厚生労働大臣が毎年1回表彰するものである。2017年11月6日、東京都内において授賞式が行われた。

 齋藤氏は、平成14年(2002年)から岩手県岩手郡雫石町の盛岡セイコー工業の組み立て部門に所属。同じく高級機械式腕時計の組み立て・調整士で、先の「現代の名工」である桜田守氏のもと腕を磨いてきた。

 齋藤氏の功績についてまず述べるべきは、セイコーの高級ドレスウォッチ「クレドール」に搭載される厚さわずか1.98mmの極薄型ムーブメント「Cal.68」を10年以上にわたり作り続けてきたことである。この非常に薄いムーブメントに120点を超える部品を組み込む作業は、100分の1mm単位で部品調整のできる指先の感覚が頼りとなる。卓越した技能によって、齋藤氏が送り出した時計は世界中から高い評価を得てきた。

 このほかにも齋藤氏は国内外でセミナーや組み立て実演を行い、機械式時計のファンや市場の拡大を担ったほか、各種時計技能検定の検定員や指導員としても技能伝承に貢献してきた。これらの功績が認められ、今回の受賞へと至ったのだ。

機械式腕時計では一般的に、ムーブメントの厚さが2mmを切ると極薄型と呼ばれる。セイコーではこの世界最薄レベルの機械式ムーブメントを「Cal.68XX」のように68から始まる4桁で表記する(通称68系)。現在セイコーでこの68系ムーブメントを完全に組み立てることのできる職人は、雫石高級時計工房内の桜田守氏と齋藤勝雄氏の2名のみである。



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