ジャケ・ドローが、スーパーカーオーナーの情熱に刺激されてデザインし、そのオーナーと共同で作り上げたユニークピース「トゥールビヨン プラズマセラミック - オーバーアルプ峠」が発表された。文字盤には、オーナーの愛車がオーバーアルプ峠を走る情景が描き出され、12時位置にはトゥールビヨンが配される。また、自動巻きローターに複雑な加工を施し、愛車のホイールを精密に再現している。

自動巻き(Cal.2625SQ)。30石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約192時間。セラミックケース(直径42.30mm、厚さ12.41mm)。3気圧防水。ユニークピース。
V12スポーツカーへの情熱を腕時計に仕立てたユニークピース
ジャケ・ドローは、ひとりのスーパーカーオーナーの愛車から着想を得たユニークピース「トゥールビヨン プラズマセラミック - オーバーアルプ峠」を製作した。きっかけとなったのは、ジャケ・ドローがパートナーを務めるスーパーカー・オーナーズ・サークル(SOC)のミーティングで交わされた会話である。
ジャケ・ドローはここ2年、スイスで開催されるSOCのミーティングに参加してきた。SOCの春季ツアーでは、参加者がアンデルマットを拠点にオーバーアルプ峠を走り、その後に交流の場が設けられる。その席でSOCメンバーのひとりであり、本作のオーナーとなる人物が、手に入れたばかりのV12エンジン搭載の愛車が、GTとしての快適性とスーパーカーとしての性能を兼ね備え高い完成度を持つことをジャケ・ドローのチームに熱心に語ったのであった。その情熱に刺激されたチームは、その晩のうちに時計の構想を練り始め、翌朝には最初のスケッチを完成させた。これが、今回のユニークピースの出発点となった。
オーナーとともに作り上げたユニークピース
最初のスケッチが生まれた後は、ジャケ・ドローとオーナーの共同製作のプロセスへと移った。オーナーとジャケ・ドローのアトリエがアイデアを交換しながらデザインを練り、素材や技法を選定。さらに、ジャケ・ドローの「スタジオ 8」を活用し、オーナーはラ・ショー・ド・フォンを2度訪れただけでなく、その間にも4Kカメラを通じて製作工程を確認し、技術的な方向性を詰めていった。
ケースの素材には、オーナーの愛車が備える軽量かつ剛性の高いシャシーから着想を得て、セラミックスが選ばれた。さらにジャケ・ドローは、2万℃を超える焼成工程を加えることで、サンドブラスト加工を施したかのようなマットなアスファルトグレーに仕上がる独自のプラズマセラミックを採用した。
文字盤に細密画で描いたオーバーアルプ峠の情景
文字盤には、本作誕生のきっかけとなったSOCのツアーの舞台でもあるオーバーアルプ峠を、オーナーの愛車が駆け抜ける姿が描かれている。これは、ゴールド製のベース上に配したサファイアクリスタル製プレートに、伝統的な工芸技法を用いて手作業による細密画を施したものだ。前景にはオーバーアルプ峠のコーナーを駆けるスポーツカー、背景には雪が積もったアンデルマットの山々を描き、愛車だけではなく、その情熱が時計へと結実するきっかけとなった場所を表現している。

搭載するのは、約192時間のパワーリザーブを備えた自動巻きトゥールビヨンムーブメントのCal.Jaquet Droz 2625SQだ。ここでも、オーナーの愛車の意匠が反映されており、ブラックとシルバーによるツートンカラーを再現するため、ムーブメントにはブラックの電気メッキ仕上げを施し、トゥールビヨンには対照的なポリッシュ仕上げを採用している。
愛車のホイールをローターとして再現
そして、本作で最もユニークな意匠はケースバック側に隠されている。オーナーから寄せられたのは、愛車のホイールを自動巻きローターとして再現したいという要望だった。

そのホイールは、空力性能を考慮した複雑な形状と、象徴的なイエローのハブカバーを備えるものだ。これを時計の自動巻きローターとして成立させるため、ジャケ・ドローは運動エネルギーの観点から素材にホワイトゴールドを選択した。「オシレーティング・リム」と呼ばれる6本のスポークは階層状のらせん型に仕立てられ、ホイールを緻密に再現している。高級時計のローターに、これほど複雑な加工を施した例は極めて稀で、オーナーの情熱と、それに応えるジャケ・ドローの姿勢が反映されていると言えよう。



