幻のプロトタイプを現代的にリファインしたチューダー「ブラックベイ P01」

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2019.11.08

チューダー「ブラックベイ P01」

ブラックベイ P01

チューダー「ブラックベイ P01」
4時位置のリューズ、ベゼルの回転防止機構を組み込んだエンドリンク、腕に沿うように張り出したラグ等、一度見たら忘れられない特徴的な外観を持つ。しかしよく見ると、それらが過酷な環境での使用に耐えられるようにデザインされた結果であることが分かる。自動巻き(MT5612)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径42mm)。200m防水。38万8000円(税別)。

半世紀の時を超えてよみがえる、先駆性にあふれたダイバーズウォッチ

 チューダーより「ブラックベイ P01」が発売された。特徴的なデザインを持つこのモデルは、かつてアメリカ海軍用にチューダーが開発したダイバーズウォッチがベースとなっている。

 チューダーは、1926年にロレックスの技術と信頼性を備えた先駆的な腕時計を世に送り出すことを目的に、ロレックスの創立者であるハンス・ウイルスドルフ氏が創立したブランドである。そのため、チューダーの腕時計にはロレックス譲りの高い防水性能が備わっており、50年代にはアメリカ海軍へ「オイスター プリンス サブマリーナー」を提供していた。そして67年、チューダーはアメリカ海軍に提供するための次世代のダイバーズウォッチの開発に着手した。その結果、技術者の叡智を結集して完成させたのが、「コマンドー」というコードネームを持つモデルである。しかしながらこのモデルは定番化されず、プロトタイプのままにその役目を終えることとなった。

ブラックベイ P01

12時位置のエンドリンクを押下することで、ベゼルを回転させることが可能。一般の逆回転防止ベゼルでは、時計回りに回転はしないものの、知らず知らずのうちに反時計回りにベゼルが回転してしまう恐れがある。しかし、「ブラックベイ P01」のシステムではエンドリンクを操作しない限りベゼルが不意に回転してしまうことはない。また、ベゼルは双方向に回転するため、目的の位置まで最短距離で回転させることができる。

「ブラックベイ P01」は、そんなプロトタイプを現代的にリファインしたモデルである。特徴的な外観は大きく変えることなく、12時位置のエンドリンクに両方向回転ベゼルの回転防止機能を新たに付加させている。ムーブメントはC.O.S.C.公認クロノメーターにパスしたチューダー自社開発のCal.MT5612が採用されており、約70時間ものパワーリザーブやシリコン製バランススプリングによる高い耐磁性能を備えている。

Cal.MT5612

チューダーの自社開発ムーブメントであるCal.MT5612。派手な仕上げはされていないが、テンプを両方向から支えるダブルブリッジやシリコン製バランススプリング等、実用性や精度を重視した仕様となっている。ブラックベイ P01に相応しい、質実剛健なムーブメントである。

 チューダーが求めた技術、信頼性、先駆性を兼ね備えた時計のひとつの姿がコマンドーであった。残念ながら定番化されることがなかったが、約半世紀の時を超えた今、こうしてブラックベイ P01としてよみがえったのは、当時からその完成度が高いレベルにあったからであると言えるだろう。

ブラックベイ P01

左が通称「コマンドー」である。比べて分かるように、各部をアップデートしつつも外観はほぼこのプロトタイプを踏襲している。エンドリンクの形状はもともとベゼルの分解を容易にするためのものであったが、「ブラックベイ P01」では新たにベゼル回転防止機構が与えられ、ラグは汎用品のベルトを装着できるように改められた。「ブラックベイ P01」に装着されるストラップは、レザーとラバーのハイブリット仕様のものである。


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